2024.01.15 肌のトラブル
このかゆみは何が原因?アレルギーによる湿疹や皮膚炎について解説
肌のバリア機能が低下した場合などに、特定の原因物質や外部からの刺激によって、接触性皮膚炎やじんましんなどが生じることがあります。
またアレルギー体質の人はストレスや乾燥、花粉など外からの刺激により、さまざまな皮膚炎が生じやすいです。
今回は、アレルギーによる湿疹の症状や治療法などをご説明します。
湿疹とは?
皮膚は表皮・真皮・皮下組織からなり、外部からの異物から体を守っています。
湿疹とは、皮膚の表皮や真皮上層で生じる皮膚の炎症のことをいいます。
湿疹と皮膚炎は同じ意味です。
大きく外的要因と内的要因にわけられ、原因がはっきりしないこともあります。
急性湿疹と慢性湿疹があり、急性湿疹はかゆみ、赤み、丘疹、水疱などが生じ、湿疹が長引いて慢性湿疹になると皮膚がザラつき、ごわごわした状態となって色素沈着が起きる場合があります。
湿疹は、いくつかの種類にわけられます。
接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、慢性単純性苔癬、自家感作性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、異汗性湿疹、顔面単純性粃糠疹、その他です。
この中で外からの刺激やアレルギー反応によって生じる湿疹は以下がよくみられます。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎はいわゆる「かぶれ」といわれ、外部からの刺激により生じる皮膚炎です。
洗剤や化学物質などが皮膚に付着することにより生じる刺激性接触皮膚炎、花粉やハウスダストなど特定の物質にアレルギーをもつアレルギー性接触皮膚炎にわけられます。
かゆみや赤み、水疱などが生じます。
手湿疹
手のひらや指、手の甲などに赤みや腫れ、水疱などを生じ、かゆみやひび割れがみられることもあります。
洗剤やお湯などによって手の水分が失われることやヘアカラーなどの化学物質などに長時間触れること、アレルギーによって発症する場合などを総称して「手湿疹」と呼んでいます。
アレルギーとは?
私たちの体には、外部からの細菌やウイルスなどの異物から守るための免疫が備わっています。
普段は免疫機能によって体は守られていますが、なんらかの原因によって免疫が異常をきたすことで体に害がないものに反応し、発疹やくしゃみなどの症状を引き起こすことを「アレルギー」といいます。
アレルギーの種類は、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、薬物アレルギーなどさまざまです。
たとえば、以下の症状がある方はアレルギーの可能性があります。
- 皮膚が弱く、湿疹ができやすい
- 果物を食べると、喉がイガイガすることがある
- ヘアカラーで頭皮がかぶれた
- 特定の時期、または一年中、目の周りが荒れやすい
- 毎年、ある時期になると目のかゆみや鼻水、くしゃみなどの症状が出る
アレルギーの原因となっている物質が「抗原(アレルゲン)」です。
アレルゲンには、花粉や食べ物、ハウスダストなどが存在します。
アレルゲンが体内に侵入すると、免疫機能がはたらき、アレルゲンを異物とみなして体外へ排出しようとIgE抗体がつくられます。
IgE抗体が作られた後に再びアレルゲンが侵入すると、IgE抗体とアレルゲンが合体することでヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、アレルギー症状が引き起こされます。
アレルギーにはいくつかの種類があり、Ⅰ型~Ⅳ型の中でもじんましんが出ることの多いⅠ型の即時型をアレルギーと一般的に呼んでいます。
Ⅳ型は遅延型と呼ばれ、かぶれの症状があらわれます。
アレルギー物質にふれたらすぐに症状が出るのが即時型(Ⅰ型)、ゆっくり症状としてでてくるものが遅延型(Ⅳ型)です。
当院では、Ⅰ型とⅣ型の検査が可能で、Ⅰ型はアレルギーの採血検査、Ⅳ型はパッチテストがメインの検査になります。
アレルギーによる湿疹の症状
アレルギーによる湿疹の症状には、かゆみ、赤み、腫れ、痛みなどがあります。
症状の種類や程度は、アレルギーによる湿疹の原因や体質により異なります。
アレルギーによる湿疹は、皮膚が薄く、やわらかい部位にできやすく、目や口のまわり、額などに生じる傾向があります。
手のひらや手足の関節、首などにもできやすいです。
また再発することが多く、一度治っても再発を繰り返すと皮膚が硬化し、ごわごわしやすいことが特徴です。
アレルギー皮膚が硬化した場合、苔癬化と呼ばれています。
アレルギーによる接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は花粉やハウスダストなど、特定の物質によるアレルギー反応としても症状があらわれることがあります。
ピアスかぶれも金属に対するアレルギー性接触皮膚炎です。
肌の赤みやかゆみ、腫れや水疱など、さまざまな症状がみられます。
アレルギーによる手湿疹
手湿疹は皮膚への刺激や物質によるアレルギー反応により生じることがあります。
手湿疹の症状として、初期は肌が乾燥して皮がむけ、進行すると指先などが硬くなりひび割れが生じてかゆみや赤みがみられます。
さらに進行した場合、皮膚がただれて赤くなり、強いかゆみや出血、痛みなどが生じる場合もあります。
アレルギーによる湿疹の診断・検査
アレルギーによる湿疹は、アレルゲンを特定し、除去することが基本です。
しかし、原因を特定できないこともあり、症状を軽減させる対症療法(抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服など)が中心となるケースも少なくありません。
当院では、アレルギーによる湿疹の可能性がある場合、アレルギーの採血検査やパッチテストを行うことがあります。
パッチテストとは、原因として化学物質、食べ物、薬剤、化粧品、歯科金属などが関係しているかを調べるものです。
背中などにそれぞれのアレルゲンを貼って48時間後に剥がし、72時間後、1週間後の経過を見て診断します。
アレルギーによる湿疹の治療法
アレルギーによる湿疹は、アレルゲンを特定し、除去することが基本です。
アレルギーによる湿疹の可能性がある場合はアレルギーの採血検査やパッチテストなどを行い、湿疹の原因となっている物質を特定します。
原因物質を除去することが大切ですが、原因物質がわかっても生活の中で除去しきれない場合もあります。
この場合は、症状を軽減させる治療として、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を内服する場合や、湿疹が出ている部位にステロイド薬を塗布するなどの対症療法を行います。
また、毎日のスキンケアを見直すことや生活指導によって、症状の改善が見込まれます。
具体的にどのような薬剤を使用して治療を進めるかは、症状の種類や程度によって異なります。
詳しい治療法は、医療機関にご相談ください。
アレルギーによる湿疹の予防法
アレルギーによる湿疹の予防として、以下のようなものが考えられます。
原因物質を避ける
原因物質がわかっている場合は、花粉や食べ物などの原因となる物質を避けることが重要です。
できる限り、原因物質に近づかない、触れないように気をつけましょう。
刺激物を避ける
アレルギーによる湿疹が出ている場合は、紫外線や天然ゴム製品、アルコールなど、刺激物や添加物などに触れないようにしましょう。
肌の清潔を保つ
肌のバリア機能を高めることも予防のひとつです。
肌を清潔に保ち、肌をしっかり保湿しましょう。
皮膚に刺激を与えない
かゆみの症状があっても、できるだけ皮膚をかかないようにすることが大切です。
かゆみが強い場合は、タオルでくるんだ保冷剤などで冷やすとかゆみが軽減します。
またアトピー性皮膚炎は、新生児期からの保湿剤の塗布により、アトピー性皮膚炎の発症が3割以上低下することがわかっています。
アレルギーによる湿疹でお悩みの方は、上野御徒町ファラド皮膚科へ
アレルギーによる湿疹は、原因となっている物質を特定して近づかない、触れないことが大切です。
アレルギーの検査をすることで、これまで気づかなかったアレルゲンが判明することもあり、湿疹の予防にもつながります。
アレルギーの湿疹でお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。