毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)とは
毛孔性苔癬は、思春期以降に目立ってくる、二の腕や背中のぶつぶつのことです。
毛穴に同じような大きさのぽつぽつがみられ、ざらざらした感触から一般的に「さめ肌」や「とり肌」ともよばれます。
毛孔性苔癬は、「毛孔性」=毛穴に、「苔癬」=同じような大きさのぽつぽつがあるという意味の言葉です。
思春期以降の日本人の半数近くに見られるものであり、遺伝的な要素が強い症状になります。皮膚病というより肌質と考えられています。
顔面毛包性紅斑黒皮症について
毛孔性苔癬のような毛穴のぽつぽつが、頬の外側など顔に見られる場合は顔面毛包性紅斑黒皮症(がんめんもうほうせいこうはんこくひしょう)とよばれ、若い男性によくみられます。
治療は毛孔性苔癬と同じになります。
毛孔性苔癬の症状
毛孔性苔癬は、二の腕や肩、背中、太ももに左右対称にぽつぽつがみられます。茶色のこともあれば、赤みがあることもあります。
冬に目立つことが多く、肥満者に目立つ傾向があります。かゆみなど自覚症状はありません。
思春期に目立ちはじめて、40歳代で目立ちにくくなる方もいますが、逆に年齢を重ねて目立ってくる方もいらっしゃいます(1)。
毛孔性苔癬の原因
遺伝的に毛穴近くの角質が塊を作りやすい体質が原因と考えられています。
今までの研究では、毛穴周りの皮膚のRasシグナルが活性化していることが関わっていることがわかっています。
アトピー性皮膚炎・乾燥肌の方、肥満、糖尿病が関係しています(2)。
毛孔性苔癬の治療法
毛孔性苔癬はよくみられる症状になります。皮膚病というより肌質になりますので、うまくスキンケアを含めた治療を行い目立ちにくくすることを目標にしていきます。
治療のポイントは
- 保湿をする
- 角質の塊を溶かす・作りにくくする
- 角質の塊を壊す
- 赤みが気になる場合は血管を減らす
になります。
1.保湿をする
乾燥していると毛孔性苔癬が目立ちやすくなりますので、ヒルドイド等で保湿することが大切です。
乾燥による湿疹がみられることもありますので、湿疹がある場合はステロイドの塗り薬も使用することがあります。
2.角質の塊を溶かす・作りにくくする
尿素クリームであるケラチナミンクリーム・パスタロンクリーム、サリチル酸ワセリン、ザーネ軟膏などの塗り薬をまずは使います。
これらのお薬は角質を溶かす効果がありますので、毛孔性苔癬のぽつぽつを溶かして目立ちにくくすることができます。
さらに治療を追加する場合は、活性化ビタミンDであるオキサロール軟膏や、トレチノインクリーム、タザロテンクリームを使用します。
これらのお薬は、ぽつぽつの原因である角質の塊が作られにくくする効果があります。
ニキビ治療や毛穴治療でも行うピーリング、サリチル酸ピーリングも効果があります。
サリチル酸ピーリングについてはこちらをご参照ください
3.角質の塊を壊す
細い針で無数のごく小さい穴をあけ、肌の再生を促すダーマペンも毛孔性苔癬に効果があります。
針により、毛穴の角質の塊を除去することで毛孔性苔癬に効果があります。
ダーマペンについてはこちらをご参照ください
4.赤みが気になる場合は血管を減らす
毛孔性苔癬の赤みが気になる方は、Vビームレーザーで治療することができます。
赤みの原因となっている血管を破壊し、赤みを改善することができます。
Vビームについてはこちらをご参照ください
まとめ
毛孔性苔癬は、二の腕のぽつぽつのことです。多くの方にみられ、思春期から目立ってきます。
保険適用の塗り薬もあり、目立ちにくくすることも可能ですので、お悩みの方は当院にご相談ください。
参考
(1) Poskitt L, Wilkinson JD. Natural history of keratosis pilaris. Br J Dermatol. 1994;130:711-3.
(2) Thomas M, Khopkar US. Keratosis pilaris revisited: is it more than just a follicular keratosis? Int J Trichology. 2012;4:255-8.