アタマジラミとは
ヒトのシラミ症には、アタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種類があり、これらはヒトのみに寄生します。シラミは寄生した直後は自覚症状がありませんが、1ヶ月ほどでかゆみがでてきます。
アタマジラミはお子さんに多く、兄弟姉妹、友人、親子の間で集団感染してしまいます。
ちなみにコロモジラミは衣類に寄生しホームレスの方によくみられ、ケジラミは性感染症として大人に多いのですが、タオルなどでお子さんにうつってしまうこともあります。
アタマジラミの検査
アタマジラミは、成虫が2~4mmほどの細長い体をしています。卵は1mmくらいです。1日に4、5回吸血し、強力な足とするどい爪をもち、髪の毛にしがみつくことができるため洗髪では落とせません。羽はなく飛ぶことはできず、はって移動します。アタマジラミの場合は、卵は比較的簡単に見つかりますが、虫体はみつかりにくいことが多いです。アタマジラミの卵は、フケとは違い髪の毛にしっかりくっついているので簡単には除去できません。卵とよく間違えやすいものとしてヘアーキャスト(毛根部の皮膚がリング状に抜けたもの)や皮脂がありますが、これらは簡単に取り除けるので卵と区別ができます。
アタマジラミの治療
保険適応のお薬はありませんので市販のお薬を使って頂きます。スミスリンシャンプーが昔から使用されてきましたが、沖縄県で検査したアタマジラミは96%がスミスリンシャンプー耐性であったとの報告もあり、スミスリンシャンプーでも効果が不十分なことがあります。そこで開発されたのが、アースシラミとりローションになります。ジメチコン製剤という海外では昔からシラミ治療によく使用されてきた成分を使用しています。ジメチコンは、虫体や卵の呼吸のための気門を物理的に閉塞し窒息される効果があるため、虫のみでなく卵にも有効です。ジメチコン製剤の駆虫率は70~97%という報告があります。
お薬と平行して、目の細かいシラミ用の梳き櫛で、毎日15分くらいの除去作業を行います。男の子で本人の了解があれば、髪を短く切ることも有効です。
【スミスリンシャンプー】フェニトインが主成分になります。卵には効かず、虫のみに効果があります。使い方は通常のシャンプーと同様に使用し、5分おいたのち洗い流します。2日おきに3~4回繰り返します。
【アースシラミとりローション】ジメチコンが主成分になります。髪全体にローションをぬり、5分待って、水またはぬるま湯で十分に洗い流し通常のシャンプーで洗髪します。1日1回、2~3日おきに3回繰り返します。
生活上の注意点
アタマジラミは園や学校、家庭内で集団発生しますので一斉に治療することが大切です。お子さんに見つかった場合は家族みんなを一斉に治療しましょう。シラミは羽がないため、頭同士の直接接触かタオルや櫛、帽子などの共用で感染するので注意しましょう。
まとめ
集団生活しているお子さんがシラミにかかってしまうことはよくあります。頭の湿疹かな、と皮膚科を受診されアタマジラミであったこともあります。頭のかゆみがある方は当院にご相談ください。