2023.07.25 肌のトラブル
皮膚生検とは?|気になる傷跡やメリットを解説
皮膚生検とは、見た目では判断が難しい病変部の一部、または全部を切除し、正確に病気を診断するための手法です。
今回は、皮膚生検のメリットや注意点、実際の皮膚生検の流れなどをご説明します。
皮膚生検(皮膚組織試験採取)とは
皮膚生検とは、視診だけでは診断が難しい場合などに病変部の一部を切除し、顕微鏡で調べることでより正確に診断するために行う方法です。
皮膚の病気は他の疾患と異なり、血液検査や尿検査で有益な情報が得られないことがあります。
皮膚生検によって採取した皮膚の表皮・真皮・皮下組織を詳しく観察でき、炎症の有無や増殖している細胞の種類などを判別できます。
通常、切除後は縫合しますが、切除した部位の大きさによっては処置で縫合せずに終了となる場合もあります。
切除後は、病理学的検査を行います。
病理学的検査とは皮膚組織をホルマリンにつけて固定し、染色した後、顕微鏡で観察することです。
複数の工程が必要となるため、詳細な結果が出るまで、2週間ほどかかります。
1回の局所麻酔で病変部が取り切れる場合には、全体を切除します。
しかし場合によっては、部分的に切除することがあります。
病変の一部を採取して確定診断後、全体を切除するか、液体窒素や塗り薬など手術以外の方法がよいかを判断できます。
皮膚生検には、大きくわけて2つの方法があります。
パンチ生検
局所麻酔後、直径1~6mmのトレパンという円形の型抜きでくり抜く方法です。
表皮・真皮・皮下組織を筒状に採取します。
切除後は縫合しますが、縫合しない場合にも1~2週間ほどで傷が治ります。
縫合した場合は線状の跡、縫合しない場合にはニキビ跡のような見た目になります。
紡錘形切除
局所麻酔後、病変部をメスで紡錘形に切除します。
パンチ生検と比較して、より皮膚の深いところまで検査したい場合に行います。
皮膚生検が必要になるときとは
皮膚生検は主に皮膚がんや皮膚腫瘍など、視診だけでは確定診断が難しいときや、強い薬剤を使用する治療が必要な場合、また腫瘍の切除後などに残っている病変があるかどうかなどを確認するときにも行うことがあります。
特に皮下腫瘍で皮膚表面には病変が現れにくい場合に多用されます。
皮膚炎の場合も、血管に炎症がないかや病気の確定診断のために皮膚生検を行う場合もあります。
当院の皮膚生検についての詳細はこちらもご覧ください。
皮膚生検のメリット
皮膚生検のメリットとして、主に以下の点があげられます。
- 見た目では判断が困難な皮膚の病変部の詳細がわかる
- 早期に確定診断をすることで、適切な治療を受けられる
- 皮膚病変の正確な状態がわかる
- 表皮、真皮、皮下組織の断面図を見ることができる
- 必要に応じて培養検査や追加の染色検査などを行うことが可能
皮膚生検を行うことにより、視診では確定診断が難しい病変部の診断ができます。
表皮、真皮、皮下組織の断面図を見ることで炎症の有無や種類など、細胞の詳しい情報を得ることが可能となり、早期に適切な治療計画を立てて治療を進めることができます。
皮膚生検で傷跡はできる?
パンチ生検で縫合した場合や、メスで切除して採取した場合に傷跡が残ります。
パンチ生検で縫合しない場合にはニキビ跡のようになります。
皮膚生検により少し傷跡は残りますが、通常は時間の経過とともに少しずつ目立たなくなります。
皮膚生検は見た目ではわからない病変部の確定診断や、悪性腫瘍、皮膚がんなどを判断する場合に大切な検査となります。
気になることや不安なことは、皮膚生検を行う前になんでもお尋ねください。
皮膚生検の注意点
以下は、一般的な皮膚生検の注意点です。
実際の傷の状態や部位などによって、対処が異なることがあります。
必ず担当医の指示に従ってください。
痛み、検査時間
局所麻酔をするため、検査中の痛みはありません。ご希望に応じて、貼るタイプの麻酔も併用し、できる限り痛みを軽減する工夫をしています。
麻酔が切れた後は痛みを感じることがあるため、痛み止めの飲み薬と塗り薬をご用意しています。
皮膚生検の完了後、検査部位の腫れや強い痛み、出血、発熱などがある場合には医療機関へ連絡してください。
検査時間は10~30分程度です。
入浴
出血のリスクがあるため、当日の入浴はお控えください。
翌日からはシャワー浴が可能です。
よく泡立てた泡で撫でるようにやさしく洗い、十分に洗い流しましょう。
湯船の中には雑菌がいるため、抜糸するまではお控えください。
運動
出血のリスクがあるため、当日の運動はお控えください。
切除した部位や大きさによってはしばらく安静が必要となります。
抜糸後は問題ありませんが、詳しくは医師へ相談しましょう。
飲酒
当日の飲酒は腫れるリスクが高まるため、お控えください。
翌日からの飲酒は問題ありません。
遮光
顔や首など、紫外線が当たる部位を切除する場合は、皮膚生検後に色素沈着を起こす可能性があります
予防のために紫外線対策をしてください。
その他、検査当日は以下の点にご注意ください。
- 食事は普段通り済ませてからご来院ください。
- 着脱のしやすい服装にしてください。
- 病変部がある部位へのメイクはお控えください。
- 時計や腕時計、アクセサリー類は外してください。
以下に該当する方は、当院での皮膚生検をお控えいただく場合があります。
- 局所麻酔薬にアレルギーがある方
- ケロイド体質の方
- 局所麻酔による検査が難しい小児
皮膚生検の流れ
1.皮膚生検が必要かどうかを判断
病変部の診察をし、視診や病歴、ダーモスコピーでの診断が難しい場合や強い治療を行う前、悪性を疑う場合に、皮膚生検の目的や必要性をご説明し、ご納得いただいた後に皮膚生検を行います。
2.皮膚生検の準備
診察後、同意書を頂き、皮膚生検の準備をしている間は待合室でお待ちいただきます。
準備ができたら処置室へお呼びいたします。
病変部を写真で記録に残します。検査部位によっては、周囲の毛を最低限剃る場合があります。
3.皮膚生検
消毒後、検査部位の周囲に局所麻酔をします。
局所麻酔後は痛みはなく、何かに触れているような感覚だけが残ります。
麻酔が効いていることを確認後、パンチ生検によるくり抜き、またはメスで紡錘形切除をします。
圧迫止血、または電気凝固による止血を行い、縫合します。皮膚生検が完了したら、傷口をガーゼで覆って終了です。
4.術後処置の説明
傷の処置方法をご説明します。
化膿しないように飲み薬や痛み止めの飲み薬と塗り薬を処方します。
5.抜糸、傷の診察
抜糸は1週間後に行います。
切除から2週間後に結果の説明をし、確定診断後に治療方針を決定します。
皮膚生検に興味のある方は上野御徒町ファラド皮膚科へ
皮下にできる皮膚の病気は他の臓器の病気と異なり、血液検査や尿検査による診断が難しい場合が多いです。
皮膚生検は視診で判断がつきにくい場合に行うことがあります。
確定診断後は疾患に応じて適切な治療を進めることできるため、大切な検査となります。
院長は東大病院皮膚科にて皮膚生検・病理検査の統括を行っていました。
そのような経験を活かし当院では適切な皮膚生検・病理検査を行っております。
皮膚生検に興味がある方は、当院へお気軽にご相談ください。