いぼ

2025.11.19 いぼ

顔の白いイボの正体は?原因・種類・見分け方と治療法を皮膚科専門医が徹底解説【脂漏性角化症・稗粒腫・汗管腫など】

顔にできる気になる白いできもののついて画像付きで8種類解説 原因や治療法についても詳しく説明します

鏡を見ていて「小さな白いポツポツが増えてきた」「ニキビではない白いできものが取れない」と感じたことはありませんか?
実は、顔にできる“白いイボ”には複数の種類があり、見た目が似ていても原因・治療法がまったく異なります
誤った自己判断で市販薬を使ったり、つぶしてしまうと、炎症や色素沈着、傷跡が残るリスクもあります。

この記事では、皮膚科専門医が「顔の白いイボ」の代表的な種類8つ(脂漏性角化症・脂腺増殖症・軟性線維腫・汗管腫・血管線維腫・稗粒腫・白ニキビ・粉瘤)を、
見た目の特徴・原因・治療法・見分け方のポイントまで詳しく解説します。


1. 脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)|老人性イボとも呼ばれるざらざらしたイボ

※詳細は脂漏性角化症のページをご覧ください

脂漏性角化症の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

皮膚の表面が少し盛り上がり、色は肌色〜茶色、白っぽいものまでさまざま。
20代でもできますが、加齢とともに増えるため「老人性イボ」とも呼ばれます。触るとザラつきがあり、頬の外側やこめかみ、おでこ、首などに紫外線の当たる部位に多くみられます。

原因

紫外線や加齢によって表皮の角化細胞が増殖することが原因。シミ(日光黒子・老人性色素斑)が盛り上がり脂漏性角化症になります。また遺伝的な体質も関与します。

治療法

液体窒素による凍結療法サージトロン(高周波メス)による除去が一般的です。液体窒素療法は色素沈着のリスクがあり、1回で除去するにはサージトロンがおすすめです。再発しにくく、跡も比較的きれいに治ります。

2. 脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう)|Tゾーンにできる白っぽいイボ

※詳細は脂腺増殖症のページをご覧ください

脂腺増殖症の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

白〜黄白色のやや盛り上がった小さなイボ。中央に少しくぼみがあることが多く、Tゾーンや頬、額など皮脂腺の多い部位に発生します。

原因

皮脂腺が加齢やホルモンバランス、紫外線の影響で肥大することが原因。

治療法

自然治癒は難しく、サージトロンで除去することが可能です。数が多い場合はポテンツァのワンニードル(アグネスモード)で少しずつ小さくしていく方法や、皮脂腺を小さくする内服薬であるイソトレチノインで治療することもあります。再発しやすいため、除去する際は注意が必要です。

3. 軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)|スキンタッグ・アクロコルドンとも呼ばれる小さなイボ

※詳細は軟性線維腫のページをご覧ください

軟性線維腫の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

首やまぶた、頬にできるやわらかい肌色〜白っぽいポツポツ。細い茎のようにぶら下がる形のものもあります。

原因

衣服による摩擦、加齢、紫外線、ホルモン変化が関係しています。

治療法

サージトロンでの切除が一般的。短時間で処置でき、再発しにくい治療法です。液体窒素により除去することも可能ですが、1~2週間ごと3~5回の治療が必要になり、また色素沈着にも注意が必要です。他には小さく突起があるものは、医療用のはさみで切除することも可能で、出血もごくわずかとなります。

4. 汗管腫(かんかんしゅ)|目の下に多い白いプツプツ

※詳細は汗管腫のページをご覧ください

汗管腫の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

目の周り、特に下まぶたに多い白〜肌色の小さなポツポツ。左右対称に多数できることが多く、全身どこにでもできます。夏に大きくなったり、盛り上がったりする傾向があります。

原因

汗が通る管「汗管」の細胞が増殖してできる良性腫瘍です。遺伝的傾向もあります。

治療法

自然に消えることはなく、サージトロンやRFニードル(ポテンツァのワンニードル)を用いた熱凝固治療を行います。深い層まであるため、数回の治療が必要になることもあります。

5. 血管線維腫(けっかんせんいしゅ)|鼻周囲にできる白〜ピンクのイボ

※詳細は線維性丘疹(血管線維腫)のページをご覧ください

血管線維腫の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

鼻周囲、頬にできやすい白〜ピンク色のイボ。脂腺増殖症や汗管腫と見た目が似ています。鼻にある場合は線維性丘疹(せんいせいきゅうしん)と呼ばれます。

原因

血管と線維成分が増殖する良性腫瘍で、思春期以降に目立ってくることがあります。まれに結節性硬化症などの全身性の疾患に関連する場合もあります。紫外線で増えやすくなることがわかっています。

治療法

サージトロンで除去します。再発しやすい傾向があるため、深い層まで除去する必要があることがあります。

6. 稗粒腫(はいりゅうしゅ・ひりゅうしゅ)|目の周りに多い白いポツポツ

※詳細は稗粒腫のページをご覧ください

稗粒腫の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

まぶたや頬にできる白くて小さな粒状のイボ。直径1~2mm程度で、触ると硬くコリっとしています。

原因

皮膚の下に角質が閉じ込められてできた嚢腫(袋)です。外からの刺激や摩擦、傷などが関係します。

治療法

自然に取れることはあまりなく、細い針で開けて内容を除去する治療を行います。再発を防ぐために摩擦を避けるようにスキンケアの見直しも重要です。

7. 白ニキビ(閉鎖面皰)|毛穴づまりでできる白いポツポツ

※詳細はニキビ(尋常性ざ瘡)のページをご覧ください

白ニキビの症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

毛穴が詰まってできる白いポツポツで、皮脂が酸化していない状態。赤ニキビや黒ニキビに混ざっていることが多くなります。

原因

皮脂の分泌過多やターンオーバーの乱れ、スキンケアやホルモンバランスの影響で毛穴が詰まることが原因です。

治療法

ニキビ薬であるベピオ、ディフェリン、エピデュオや角質ケア(アゼライン酸、レチノール、トレチノイン)、ケミカルピーリングが有効です。3ヶ月間外用を継続すると徐々に減っていきます。大きいものは面ぽう圧出で除去可能です。

8. 粉瘤(ふんりゅう)|中に皮脂・角質がたまるしこり

※詳細は粉瘤のページをご覧ください

粉瘤の症状写真 特徴や原因 治療法について解説

特徴

皮膚の下にしこりのように触れるできもので、中央に黒い点(開口部)があることがあります。初期は白いできものに見えることも。稗粒腫とは異なり、触ると柔らかい。

原因

毛穴の出口が詰まり、角質や皮脂が内部にたまって袋状になることが原因。放置すると徐々に大きくなることや炎症を起こして赤く腫れることもあります。

治療法

内容物を出すだけでは再発するため、手術で袋ごと摘出することが根本治療です。局所麻酔による手術で短時間に行えます。

顔の白いイボの見分け方と注意点

白いポツポツは見た目が似ていても、皮脂腺・角質・線維・血管など、できている組織が異なります。
市販薬では治らないものも多く、自己処理で無理につぶすと跡が残ることもあります。

特に以下のような場合は皮膚科受診をおすすめします。

  • 急に数が増えた
  • 赤く腫れてきた
  • 痛みやかゆみがある
  • 長期間治らない
名称主な見た目・特徴好発部位主な原因治療法
脂漏性角化症(老人性イボ)肌色~白~茶色のザラザラした盛り上がり
こめかみ
紫外線・加齢・遺伝液体窒素・サージトロン
脂腺増殖症白~黄白色の丸いイボ。中央が少しくぼむ額・鼻
皮脂腺の肥大(加齢・ホルモン)サージトロン・ポテンツァワンニードル
軟性線維腫(スキンタッグ)やわらかく垂れ下がる白っぽいできもの
まぶた
摩擦・加齢・ホルモン変化サージトロン切除
汗管腫下まぶたに多発する白~肌色のポツポツ目の周り汗管細胞の増殖・遺伝ポテンツァワンニードル・サージトロン
血管線維腫鼻・頬にできる白~赤みのある小結節鼻・頬血管と線維組織の増殖。紫外線サージトロン
稗粒腫白く硬いツブツブ。押しても出ないまぶた
角質が皮下にたまる。摩擦針で開放・圧出
白ニキビ(閉鎖面皰)白い角栓が詰まったポツポツTゾーン
皮脂分泌・毛穴づまりニキビ外用薬・ピーリング
粉瘤白いしこり。中央に黒い点があることも顔・首
耳下
毛穴の詰まりと角質の蓄積手術で袋ごと摘出

よくある質問(Q&A)

Q1. 白いイボを自分でつぶしても大丈夫ですか?

A. 自己処理はおすすめできません。
無理につぶすと炎症や感染、色素沈着、傷跡(瘢痕)の原因になります。
気になるイボは皮膚科でご相談ください。

Q2. スキンケアで治せる白いイボはありますか?

A.白ニキビは角質ケアや保湿で改善できますが、稗粒腫・汗管腫・脂腺増殖症などはスキンケアでは取れません。
イボのタイプに合わせた皮膚科での処置が必要です。

Q3. 白いイボが再発するのはなぜ?

A.汗管腫や血管線維腫のように肌深層まで原因があるできものや、紫外線や摩擦など日々の習慣が原因になっているイボが多いためです。
再発予防には、紫外線ケア・皮脂コントロール・摩擦の回避が大切です。

Q4. レーザー治療やサージトロン治療の跡は残りますか?

A.ほとんどの場合はきれいに治りますが、治療後は3ヶ月ほど一時的な赤みが出ることがあります。脂腺増殖症では深層まで病変があるため、肌がへこんで治らないよう注意して除去しています。再生テープや軟膏での処置を決められた期間しっかり行うことが傷をきれいに治し、跡を残さないために大切です。
紫外線対策と保湿を徹底することで、色素沈着を防げます。

Q5. どのタイミングで皮膚科に行けばいいですか?

A.以下のような場合は早めの受診をおすすめします。

  • 数が急に増えた
  • 赤く腫れて痛みがある
  • 長期間治らない
  • 徐々に大きくなって目立ってきた

早期に正確な診断を受けることで、跡を残さずに治療できる可能性が高くなります。徐々に大きくなる場合は、基底細胞癌や有棘細胞癌といった皮膚癌の可能性もあります。

まとめ|白いイボの正体を見極めて適切に治療を

顔の白いイボは、「ニキビかな?」と思っても、実は脂腺増殖症や汗管腫などの別の皮膚腫瘍であることが少なくありません。
それぞれ原因や治療法が異なるため、皮膚科で正確に診断し、適切に治療を行うことが美肌への近道です。

見た目の印象を左右する白いポツポツが気になる方は、早めに皮膚科にご相談ください。

参考資料・文献>

この記事を書いた人

上條 広章

上野御徒町ファラド皮膚科 院長

上條 広章(かみじょう ひろあき)

  • 資格
    • 医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
    • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
    • 日本美容外科学会(JSAS)認定 美容外科専門医
    • 日本レーザー医学会専門医
  • 所属学会
    • 日本皮膚科学会
    • 日本美容外科学会(JSAS)
    • 日本美容皮膚科学会
    • 日本レーザー医学会
  • 受賞歴
    • 第7回日本皮膚悪性腫瘍学会賞(石原・池田賞)
    • 第20回マルホ研究賞
    • Poster Prize, 47th Annual Meeting of European Society for Dermatological Research

略歴

2012年 東京大学医学部医学科 卒業
2014年 藤枝市立総合病院 初期研修 修了
2014年 東京警察病院 皮膚科
2016年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
2019年 東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教
アトピー性皮膚炎専門外来、皮膚悪性腫瘍専門外来、レーザー専門外来担当
2021年 都内大手美容外科 入職
2022年 都内大手美容外科 本院 部長
美容皮膚科治療監修を担当
2022年 上野御徒町ファラド皮膚科 開院

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