じんましんとは
じんましんは強いかゆみと一緒に皮膚が赤く盛り上がります。どんどん赤い盛り上がりが増え、地図の様につながってしまうこともあります。じんましんと湿疹を一緒に考えている患者様も多いですが、じんましんは湿疹のようにがさがさしていません。またじんましんは1日の中で発疹が出たり消えたりして出る場所が移っていくことが特徴です。一箇所をみていると、じんましんは24時間以内には消えていることがほとんどです。さっきまでかゆくてひっかくとひっかいたところが赤くはれていたが、今になったら消えていた、といわれることが多くなります。
じんましんの原因
皮膚科に来た患者様は皆様原因を気にされます。しかし、9割ほどの患者さんでは原因が不明のことが多く、特発性じんましんと呼ばれます。毎日のように夕方から夜にかけてじんましんがでてしまうことが多く、食事や生活に関係なく毎日出たり引っ込んだりを繰り返しているじんましんとなります。もちろん原因がはっきりするじんましんもあり、食べ物やお薬が原因のこともあります。この場合はじんましんのでる少し前に原因となる食べ物を食べたり、飲み薬を飲み始めたりというエピソードがあります。子どもでは卵、牛乳、大豆に対するアレルギーが多く、大人ではエビ、カニなどの甲殻類が多いです。そのほか、小麦、ピーナッツやソバなども蕁麻疹の原因として有名です。まれなタイプでは納豆アレルギーがあり、納豆を食べた半日後くらいにじんましんなどのアレルギー症状がでることがあります。これは納豆の中の原因物質が体の中で分解され吸収されるのに時間がかかるからとされています。お薬の副作用ででるじんましんは少ないと報告されています。
じんましんは、数日ですぐにおさまってしまう「急性じんましん」と4~6週間以上続き、場合によっては年単位で症状が出たり消えたりする「慢性じんましん」に大きくわけられます。食べ物など、原因がある場合には原因がなくなるとおさまるので、急性じんましんのことが多くなります。
特定の原因を疑った場合にはMast 36、View 39といったアレルギーテストや総IgEや好酸球といったアレルギー関連の項目を含めて採血を行うことがあります。当院での検査は可能ですのでお気軽にご相談ください。
じんましんの治療
じんましんはヒスタミンという物質によって皮膚にむくみや赤みがでます。このヒスタミンを抑えるお薬が「抗ヒスタミン薬」です。花粉症やアレルギー性鼻炎の治療でもよく飲まれるお薬になります。アレグラやアレジオン、クラリチンなど一部は市販もされています。抗ヒスタミン薬はたくさんの種類があり、眠気が少ないもの、パイロットの方でも飲めるもの、小さなお子さんでも飲めるもの、1日1回のもの・2回のもの、食事と関係なく飲めるものなどたくさんの違いがあります。ただ一般的には眠気が少ないお薬であっても眠気がでてしまう方がいらっしゃいます。また一部の抗ヒスタミン薬は、効果が不十分な場合に一度に飲む量を増やして対応できるものもあります。当院ではこれら違いを理解し、ひとりひとりにあったお薬を提案いたしますのでご安心ください。薬が合わないときは変更し調節致します。
抗ヒスタミン薬を飲み始めてすぐにじんましんが消えても少し長めに飲んで止めたほうがよいこともあります。少し長めに飲むことによってその後にじんましんがでにくくなることもありますのでそのような指導も当院では行っています。
じんましんが長い間出てしまい慢性化してしまった患者様は、いつまでじんましんがでるのか不安になってしまう方もいます。これもひとりひとり経過は様々で、抗ヒスタミン薬を数ヶ月間飲んで落ち着かせた後は飲み薬を止めても症状が出ない方もいれば、年単位で飲んでも止めると症状が出てしまう方もいらっしゃり、人によって様々です。
抗ヒスタミン薬の飲み薬の補助にレスタミンクリームなどぬり薬を使うこともありますので適宜ご提案致します。
飲み薬でも症状が落ち着かないじんましんの方は、ゾレア(オマリズマブ)という注射のお薬もあります。IgEというアレルギーなどに関係するタンパク質を抑えるお薬になります。総合病院や大学病院にご紹介して使用するような特殊なお薬になります。
じんましんはかゆみもつらく、症状に驚いてしまい受診される方も多くなります。抗ヒスタミン薬で抑えられることがほとんどですし、お薬も調節可能ですのでお気軽にご相談ください。