陥入爪とは
陥入爪(かんにゅうそう)は、爪の横が皮膚に食い込んで炎症を起こし、腫れて痛みがでてしまった状態です。
原因としては、深爪といわれる爪を短く切りすぎてしまうことや、爪の横が割れてしまって棘状になり皮膚に刺さってしまうこと、オーバーサイズネイルといって指の大きさに対して爪の幅が生まれつき広いことなどがあります。
巻爪(まきづめ)という言葉もありますが、巻爪は爪が巻いているのを指す言葉で陥入爪とは少し違います。もちろん、巻爪で爪が皮膚に食い込んで陥入爪になってしまうこともあります。
陥入爪の症状
足の親指によくみられますが手の指にもみられたり、親指以外の指にもみられます。爪が食い込んだ場所が、赤く腫れて痛みます。また肉芽(にくげ)といって、爪の横に「もこもこ」した盛り上がりがみられることもあります。
腫れた皮膚に菌がついてさらに腫れたり、腫れた皮膚がさらに爪に食い込んで腫れるという悪循環におちいるため、治療をしないとなかなか治りません。
陥入爪の予防
爪の切り方を注意しましょう。爪を丸く切るのではなく、四角く切ることと爪を1mmくらい少し伸ばした状態で残しておくことも大切です。またきつい靴など足に合わない靴を履いて、足指に負担をかけると陥入爪になりやすくなります。
陥入爪の治療
陥入爪の治療は、皮膚に爪が食い込まないようにすること、起こっている炎症を抑えることです。
当院では症状に合わせて下記の治療法を行なっています。
棘状になった爪の端を切る取る
食い込んでしまった爪が、棘状に鋭くなっていることがあります。この場合、棘になった爪をきれいに切り取ることが大切です。ただ切り取るだけでなく、その後爪がスムーズに生えていけるように工夫して爪を切ります。
ステロイドの塗り薬、液体窒素、抗菌薬の飲み薬
この3つは爪が皮膚に食い込んで起こった炎症や肉芽を軽減するための治療です。
陥入爪は、爪の食い込みを解除し、肉芽や赤く腫れた場所にステロイドの塗り薬を塗る治療が基本です。
時に肉芽を小さくするために液体窒素治療を行うこともあります。菌が悪さをしている場合は抗菌薬の飲み薬の治療を同時に行います。
以下の3つは 爪が皮膚に食い込んでいる状態を解除する治療です。
テーピング法
軽傷の陥入爪であればテーピングで改善が期待できます。
粘着力の強いテープを使って、爪が刺さっている部分の皮膚を爪から遠ざけるように引っ張ります。爪と横の皮膚に隙間を作り刺激を減らすイメージです。
ご自宅で継続的に行っていただきます。
食い込みの程度が軽く、腫れて少し痛みがあるという程度の症状はまずテーピングを行います。
1、2週間程で腫れと赤みが引いて改善するか様子を見ます。テーピング治療をしても腫れや赤み、痛みが改善しない場合は陥入爪手術を行うか検討します。
ガター法
食い込んでいる爪と皮膚の間に柔らかいチューブを挟み、爪が皮膚に食い込まないようにします。 挟んだチューブは爪が伸びて外れるまでそのままにします。
陥入爪手術
足の親指に行うことが多くなります。テーピングやぬり薬、飲み薬、液体窒素治療で改善しない場合に手術を検討します。
テーピングで数年にわたって治療して改善の無かった方が陥入爪手術後にすぐに良くなりとても楽になることも多く、テーピングなどの他の治療で痛みや腫れに改善がみられない場合は陥入爪手術を行うことをおすすめします。
陥入爪手術のメリット
食い込みを物理的に取り除けるため、速やかに腫れ・痛みの改善が得られることです。また肉芽も切り取ることができます。
陥入爪手術のデメリット
爪の幅が狭くなってしまうことと爪と側爪郭(爪の横側の皮膚)が離れてしまうため将来的な爪の変形のリスクがあります。できるだけ変形が起こらないように調節し手術致します。
陥入爪手術の方法
まずは指の根本に麻酔を行い、指の先まで麻酔が効くのをお待ちいただきます。これで痛みがなくなります。
麻酔が効いたところで食い込んでいる部分の爪を短冊状に切除します。爪の生えてくる根本の部分を変性させることで、食い込んでいる部分の爪を生えないようにして、今後爪が食い込んで困らないようにする処置です。
爪を除去した部分は軟膏を塗り、3週間程度で傷が埋まります。
食い込みが解除されるので術後から痛みが軽減します。陥入爪手術施行当日はシャワー、飲酒、運動は控えていただきますが、翌日からシャワーで創部を洗っていただきます。傷が治るまでは湯船に入ることは控えてください。
術後はガーゼで厚く保護するため、帰りは靴が履けませんので注意が必要です。ご希望の方は指先のあいたサンダルを持ってご来院ください。
まとめ
当院では、陥入爪の手術を行っております。まずはテーピングやぬり薬、飲み薬等になりますが、それでも良くならない方は適切な診断をして、手術をおすすめすることがあります。巻爪、深爪、陥入爪でお困りの方は当院にご相談下さい。