虫刺され・虫刺され対策

虫刺されとは

虫刺されは、医学用語では虫刺症(ちゅうししょう)といいます。誰もが蚊やブユなど虫に刺されたことがあると思います。虫刺されは、虫の吸血や刺咬、毒棘毛などにより肌に皮膚炎が起こり、かゆくなったり、赤くなったり、膨らんだりします。虫刺されの症状は、虫の種類によっても変わり、また同じ虫でも刺された回数で人によって症状の出方が変わります。例えば、蚊ではお子様では大きく腫れて長く続きますが、年齢とともに症状が軽くなっていきます。

虫刺されの特徴

虫刺されの特徴としては

  • 赤みやかゆみの皮疹が、左右非対称で一部に集まっていることが多い
  • 赤み、ふくらみの真ん中に刺し口がある
  • かゆみや痛みがある
  • 同じ虫でも刺された回数で症状の強さが人によって変わる

ことがあります。

特に蚊では、新生児期は無反応ですが、蚊に刺されたことの少ない乳幼児では比較的強い遅延型反応(ゆっくり長い期間腫れる)がでて,幼児期~青年期は即時型反応(すぐに腫れる)と遅延型反応の両者がでることがわかっています。また青年期~壮年期になると即時型反応のみがでて、さらに年齢が増して高齢になると無反応になっていくとわかっています。
一方、ハチやムカデ、ブユでは刺されているうちに体がアレルギーを獲得してしまい、刺されてアナフィラキシーという重症アレルギー反応が起こってしまいことがあります。これは、ハチなどに対する特異的IgE抗体というものができ、次にハチに刺されたときにこの抗体が体に過剰な免疫反応を起こしてしまうからです。

注意が必要な虫刺され

トコジラミ

海外でトコジラミが流行し、日本でも刺される方が増えてきました。トコジラミは刺されると赤く腫れ、我慢できなくなるほどかゆくなることも多く注意が必要です。
トコジラミはダニではなくカメムシの仲間で、大きさは5mmほどでリンゴの種くらいの大きさになります。人が寝ているときに、パジャマから出ている肌を刺します。
ホテルや旅館のベッドやシーツ、部屋の隅にいることも多く、また映画館や電車の中など日常にも潜んでいます。高級ホテルにもいることがあります。ですので、ホテルに滞在するときは、ベッド・床・壁にトコジラミがいないかチェックするのをおすすめしています。またトコジラミはスーツケースや書類、洋服などと一緒に家に持ち帰ってしまうこともあります。トコジラミを見つけた際はプロポクスルやメトキサジアゾンなどの殺虫剤の使用をおすすめします。
刺された後の治療は、他の虫刺されと一緒ですが家にトコジラミが住んでしまうとずっと刺されてしまいますので対処が必要になります。

毛虫(チャドクガ)

ドクガの毛虫には0.1mmほどの多数の毒針毛があり、これに触れてしまうと赤みかゆみが出ます。毛虫に直接触らなくても、毒針毛が風で舞って洗濯物についたり、肌についたりすることで虫刺され症状がでることもあります。6月~10月頃に多く、腕などにたくさんのかゆい赤みポツポツがでて受診される方が多いです。チャドクガはツバキ、サザンカ、お茶の木など、モンシロドクガは桜、梅などにみられます。

マダニ

マダニは、ライム病や日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症も媒介してしまうため刺されないように十分な注意が必要になります。
マダニは山林や草地に生息しており、人が通ると素早く洋服にくっつき肌を這い回って吸血します。口器で刺されてもかゆみや痛みがでないため、刺された数日後に気がつくことも多いです。おへそ周りや下腹部など肌の柔らかいところを刺すことが多く、数日から10日くらいして吸血によりマダニが大きくなり初めて気がつきこともあります。シュルツェマダニでは口器が肌に深く入っているので、局所麻酔をして虫体ごと肌を一部切り取る必要があることがあります。タカサゴキララマダニやフタトゲチマダニは刺されて2日以内であれば虫体のみを除去できることもあります。また赤みがある場合はライム病を疑って抗菌薬の飲み薬を処方することもあります。

ネコノミ

ネコやイヌ、タヌキ、ハクビシンなどの動物を吸血するノミです。ノミが跳べる範囲の膝から下を刺すことが多く、水ぶくれができることもあります。ネコとの接触がなくても、庭や公園で刺されることもあります。

イエダニ

クマネズミなどのネズミにつくダニで、イエダニに刺されたことがきっかけでネズミがいたことが判明することもあります。一軒家だけでなくビルの上層階でもみられます。イエダニは、体温が高く、柔らかい脇、胸、お腹、太もも内側など洋服で出にくい場所に症状が出やすい特徴があります。殺虫剤を撒いてもいなくならないため、ネズミの駆除が必要です。

虫刺されの治療

虫刺されは、虫の成分に対するアレルギー反応ですので、抗炎症のお薬を使います。
塗り薬としては、ステロイドの塗り薬を使います。効果の強いステロイドのお薬を塗って早めに炎症を抑え、赤みやかゆみを改善させます。特にお子様では虫刺されを掻いてしまい、菌がついてとびひ(膿痂疹)になってしまうこともあり注意が必要です。
飲み薬としては、かゆみや赤みを抑えるために抗ヒスタミン薬を使います。効果の強さや眠気の強さなどいろいろなお薬があります。虫刺されの腫れがとても強いときは、短期間にステロイドの飲み薬を処方することもあります。
ハチやムカデに刺され、重症アレルギーであるアナフィラキシーが出てしまった方にはエピペンを処方することもあります。エピペンはアレルギーを抑えるとても重要なお薬ですが、使い方や使うタイミングをよく知る必要があります。当院でも処方可能ですのでお気軽にご相談ください。

虫除けの選び方

虫除けの成分としては、①ディート(DEET)、②イカリジン、③天然由来成分、④ペルメトリンのものがあります。

①ディート(DEET)はしっかり虫除け対策をしたい方におすすめの成分です。ただし年齢制限や1回の使用回数制限がありますので注意が必要です。
持続時間としては、10%のものでは2~3時間、30%のものでは5~8時間の持続となります。一般的な使用では10%をおすすめしていますが、山に行く際は30%を使用することもあります。濃度が高いものではポリエステル、ポリウレタン等の合成繊維が変色劣化することがあり洋服につかないようにする必要があります。
年齢・回数制限としては、以下となります。

  1. どの濃度も6か月未満の乳児には使用できません
  2. ディート12%以下の商品は、6か月以上2歳未満は、1日1回まで、2歳以上12歳未満は、1日1~3回まで
  3. ディート30%の商品 12歳未満には使用できません

②イカリジンは年齢制限や、1日の回数制限がないため普段使いにおすすめの虫除け成分になります。特に小さいお子さんにおすすめです。ただし、防げる虫の種類が少ないため、山に行くなどしっかり対策が必要な際はディートをおすすめします。
持続時間としては、濃度5%のものは6時間、濃度15%のものは8時間ほどになります。

③天然由来成分としては、ユーカリ、ハッカ、レモングラス、ミントなどがあります。おすすめのものはレモンユーカリ油で、蚊にはディートと同じくらい効果があったというデータもあります。持続時間ははっきり報告されていないものの、比較的長めとなります。

④ペルメトリンはマダニに効果の高い虫除け成分となります。洋服やテント、寝袋などに使用し、直接肌に塗ることはできません。山に行く方は必要に応じて使用するのをおすすめしています。

虫刺され跡の治療

虫刺され跡の赤みや色素沈着が気になる方も多いです。虫刺されはまずはしっかりステロイドの塗り薬で炎症を抑えることが大切です。また痒疹といって、虫刺されが固くできもののようなしこり跡になってしまいことがあり、かゆみがなかなかひかないこともあります。この場合は、ステロイドの塗り薬やテープ薬、場合によっては紫外線治療を使って治していきます。
虫刺され跡の赤みや色素沈着が残ってしまったらトラネキサム酸クリームやハイドロキノンクリームもおすすめしています。

まとめ

虫刺されは身近なものではありますが、刺される虫によって症状の出方が変わります。また年齢やそれまでどのくらい同じ虫に刺されたかによっても反応は違うので、同じように刺されても腫れる方と腫れない方がいます。虫刺されは跡になってしまうこともありますし、かゆみや赤みが強い方はお気軽にご相談ください。

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