尋常性白斑とは
尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)とは、肌の一部の色が抜けてしまい白い斑点ができる皮膚疾患です。昔は白なまずとも呼ばれていたもので、全人口の1%がかかっているとわかっています。本来は細菌やウイルスを攻撃する免疫が、肌のメラニン色素を作るメラノサイトを攻撃してしまいメラニンを作れなくなり白斑になります。
肌の色が抜けてしまい脱色素斑になっている症状をまとめて白斑といいますが、白斑の代表的なものが尋常性白斑になります。
尋常性白斑の特徴
肌が茶色であるのは、メラニンという茶色い色素が肌にあるからです。シミが茶色いのもこのメラニンが増えてしまっているからです。またメラニンは日焼けで増えるため、紫外線で日焼けした後は茶色くなります。これはメラニンを増やすことで、それ以上の紫外線が肌に通さないように肌を守るからです。
尋常性白斑では、このメラニン色素を作るメラノサイトに異常が起こり、メラニンを作れなくなり白い斑点ができます。最初は小さな白い斑点も徐々に大きくなり、増えてしまうこともあります。
尋常性白斑はくっきりとした白斑で、頭皮にできるとその部分は白髪になります。こすれる刺激を受けやすい手足、腰、お腹、脇・股、顔、首に左右対称にでることもあります。
尋常性白斑の分類
尋常性白斑は白い斑点の出方で大きく3種類に分かれます。
分節型(ぶんせつがた)
医学的に、皮膚はいくつかの領域に分けられています。その領域内で白斑が現れるものを指します。片側に見されることが特徴です。
非分節型(ひぶんせつがた)
汎発型(はんぱつがた)と呼ばれる神経支配領域に関係なく、全身に白斑が広がるタイプや肢端顔面型(したんがんめんがた)と言われる口周りや手足の限られた範囲に白斑ででるタイプなどがあります。体の左右両側に出ます。
混合型
分節型と非分節型がまざっているものです。
尋常性白斑の原因
尋常性白斑は、橋本病といった甲状腺の病気や糖尿病、アディソン病に関係していることがわかっており、また遺伝的な要素もあることがわかっています。
尋常性白斑と似ている症状
単純性粃糠疹(はたけ)
幼児や小学生の、主に顔に出現する境界があまりはっきりとしない脱色素斑(白抜け)のことです。わずかにかさかさしています。保湿剤だけで治ることもありますし、短期間弱めのステロイドを塗ることもあります。
老人性白斑
腕やスネなど手足や体に点状の白い斑点ができるもので、加齢の変化によってメラニンが減り白斑になります。
脱色素性母斑
生まれつき肌の一部でメラニンを作る力が弱くなり、皮膚が白く変化します。成長に従って増えたり大きくなったりしません。
癜風
胸や背中など汗をかきやすいところにできます。マラセチア菌が増えてしまっており、茶色になることもあれば白色に色がぬけてしまうこともあります。顕微鏡検査で診断することができます。
サットン母斑
ホクロの周りに白斑ができます。ホクロに対する免疫反応で、ホクロの周りのメラニンが作れなくなり発症するとわかっています。
ハンセン病
白い斑点がでて、そこの部位の感覚が鈍くなります。
尋常性白斑の治療
尋常性白斑の治療には、ステロイドやタクロリムス、ビタミンDの塗り薬や紫外線治療、手術療法、カバーメイクアップがあります(日本皮膚科学会の尋常性白斑ガイドライン準拠)
塗り薬
ステロイドの塗り薬
速効性もあるため尋常性白斑の出始めに使うことが多い治療です。尋常性白斑の炎症をとることでメラニンを回復させます。白斑の症状の出始めから半年間の間に使用することが多くなります。
タクロリムス(プロトピック)の塗り薬
長期間塗っても副作用が少ないためにステロイドの副作用が心配な場合に使用されます。
ビタミンDの塗り薬(オキサロール軟膏など)
ビタミンDの塗り薬は肌の状態を整える効果があるため尋常性白斑に効果があることが報告されています。特に紫外線治療との相性がよく同時に使われることがあります。
紫外線療法
アトピー性皮膚炎や円形脱毛症の治療で使われる保険適用の紫外線治療は、尋常性白斑にも有効で保険適用となっています。紫外線によって肌の免疫状態を調節して、徐々にメラニンを再生していきます。週1~2回ほど治療していきます。
当院では局所型のエキシマライトと全身型のナローバンド紫外線装置で治療を行っています。狭い範囲でも広い範囲でも尋常性白斑の紫外線治療ができますのでお気軽にご相談ください。
紫外線療法についてはこちらもご参照ください。
手術療法
白斑のない普通の肌の一部をとってきて白斑部に皮膚移植する方法があります。
カバーメイクアップ
尋常性白斑の方に向けたカバーメイクアップを行っている会社があります。
まとめ
尋常性白斑は治療に時間がかかり、なかなか治りにくいこともあります。当院では、紫外線治療を始めとした様々な治療を行っておりますので白斑にお困りの方はお気軽にご相談ください。