傷の処置の大切さについて
手術や怪我の傷は、通常時間の経過とともに少しずつ薄く、目立たなくなっていきます。しかし、治ったばかりの傷は、まだデリケートな状態で、この時期に余計な刺激が加わってしまうとなかなか傷が治りきらず、傷あとの回復が遅れてしまい、傷あとが目立ちやすくなってしまいます。
傷を早く、きれいに治すために適切なケアをしていくことが大切です。
傷あとについての分類
傷あとは4つに分類されます。未熟成瘢痕(みじゅくせいはんこん)、成熟瘢痕(せいじゅくはんこん)、ケロイド・肥厚性瘢痕、瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)です。
未熟性瘢痕
傷が治り始めて半年から1年くらいまでの間の傷あとに赤みが残っている状態の傷あとです。まだまだ未熟な傷あとですので、外からの刺激に弱く、大切に保護して処置していくことが大切です。紫外線にも弱く、色素沈着しやすいので日焼け対策も必要です。
成熟瘢痕
傷が治ってから長い時間が経っており、赤みがなく白色で平らな状態です。
ケロイド・肥厚性瘢痕
盛り上がって治ってしまった傷あとです。関節の近くや胸や肩など力が加わりやすい場所にできやすい特徴があります。ケロイドと肥厚性瘢痕は似ていますが少し違います。ケロイドは、傷の大きさよりも徐々に広がり、赤みが強く、痛みやかゆみがあることもあります。肥厚性瘢痕は、元の傷より大きくなることはなく、かゆみなどの症状がないことが特徴です。
瘢痕拘縮
傷がひきつれて治ってしまった状態をいいます。
傷あとの処置のポイント
傷が治り始めてすぐの未熟性瘢痕の時期に処置を開始して、傷あとを保護していくことが大切です。
ケアのポイント
保護
未熟で弱い傷あとを摩擦や傷から守る
保湿
適度な湿度を保つことで肌の修復力が高まる
紫外線対策
未熟な傷あとは紫外線に弱く色素沈着しやすいため紫外線ケアをする
ケアの方法としては、保護・保湿として、塗り薬、茶色テープ、シリコン(ジェル)シート、紫外線対策として、日焼け止めクリーム、UVカットテープがおすすめです。
塗り薬
ヒルドイドソフト軟膏
保湿剤としても広く使われているお薬です。主成分のヘパリン類似物質に保湿効果があり、また傷あとを保護する効果もあります。ソフト軟膏、クリーム、ローションと使い分けができ使いやすいのが特徴です。
アットノン
薬局やネットで購入することができます。ヒルドイドと同じヘパリン類似物質が主成分となっています。コンシーラータイプもあり使いやすくなっています。
ケロコート
塗るタイプのシリコンで海外ではよく使われており効果も確立しています。透明なジェルなため、テープの貼りにくい顔の傷などに特におすすめしています。ネットで購入が可能です。
茶色テープ
茶色で遮光効果のある医療用のテープになります。いろいろな種類がありますが、当院でおすすめしているのは「マイクロポアテープ」になります。傷あとの上から貼ることで、傷あとを隠し、紫外線を防ぐこともできます。傷あとは左右などに引っ張られる力に弱いのですが、傷あとにかかる緊張をテープで減らすこともできます。費用も比較的高くなく、当院では12.5mm幅 280円(税込)、25mm幅 550円(税込)で販売しております。
使い方
頻繁に交換するとテープかぶれの原因となるため、テープがはがれたら交換で問題ありません。大体、週1~2回くらいの交換となります。
3cmほどの長さに切って、傷と直角に少し重ねて横に貼っていきます。
シリコン(ジェル)シート
薄いシリコンのシートです。傷あとを保護し、皮膚の緊張を減らす効果と保湿効果があります。ケロイド予防・治療としても効果が高く、傷あとの赤みやかゆみ、痛みも改善することができます。そのため、胸や肩、関節部などケロイドになりやすい場所の傷あとには特におすすめです。海外ではよく使われている治療になります。
当院では「メピフォーム」と「メピタック」をおすすめしています。
メピフォーム
シリコンジェルシートです。洗って再利用できます。値段は高めになりますが、一番おすすめです。傷あとより大きく切って貼り、1日1回お風呂に入る前にはがし、お風呂あがりにまた貼ります。インターネットで購入できます。
メピタック
シリコンシートで使い捨てになります。ロールで売っておりますので、傷の大きさに合わせて切って使用します。それほど高価ではなく使いやすいものとなります。
日焼け止めクリーム
色素沈着を予防するために日焼け止めの使用をおすすめしています。紫外線は皮膚の老化も起こすため日頃からケアが大切です。SPF 30以上をおすすめしています。
UVカットテープ
傷あとの色素沈着の原因となる紫外線をカットする透明なシートになります。おすすめは「エアウォールUV」です。厚さ0.007mmと極薄で、使用感がとてもいいものです。顔にも使いやすく、テープの上からファンデーションを塗ることも可能です。紫外線を約97%カットすることができ、どうしても塗りムラができてしまう日焼け止めクリームより紫外線カットできます。インターネットで購入頂けます。
手足の傷あとやレーザー後の色素沈着予防におすすめです。
実際の使い分け
基本的には使いやすい茶色テープ「マイクロポアテープ」をおすすめしていますが、しっかりケアをしたい方は以下を参考になさってください。
顔の傷あと(ホクロ除去後含め)
透明なジェルであるケロコートによる保護や、盛り上がっていない傷あとであればエアウォールUVの使用もおすすめです。
ケロイド体質の方 ケロイドができやすい方は手術後や怪我のあとにシリコン(ジェル)シートをおすすめしています。
関節の付近、胸、肩などケロイド好発部位の傷あと
シリコン(ジェル)シートや、少なくとも茶色テープによる処置を3ヶ月は行いましょう。
腕や手足など露出しやすい場所の傷あと
紫外線が当たりやすい場所のため、エアウォールUVや茶色テープによる保護をおすすめしています。
傷あとが盛り上がってきたら
傷あとが固くなり盛り上がってきた場合はケロイドになってきているかもしれません。リザベンという飲み薬や、ステロイドの塗り薬・テープ・注射を使用し、ケロイドの治療・悪化予防をすることもありますのでご相談ください。
まとめ
未熟な状態の傷あとでは保護するケアが大切になります。様々なものがインターネットで購入可能ですので、傷あとの場所や状態に合わせ使用をおすすめしています。