赤ら顔(酒さ)

2025.06.27 赤ら顔(酒さ)

赤ら顔・酒さを悪化させないために知っておきたい10のこと

今回は、赤ら顔・酒さを悪化させない習慣について解説します。
赤ら顔・酒さは、顔の赤みが出るだけでなく、ポツポツ(丘疹)や筋状の血管が透けて見える「毛細血管拡張」がみられ、ほてり感やヒリヒリ感、かゆみが出ることもあります。困っている方の多い症状です。酒さでは、日常生活に気をつけることがとても大切です。悪化要因となるだけでなく、発症のきっかけとなってしまうこともあります。

1.ステロイドやタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)に注意

顔の湿疹や皮膚炎でよく皮膚科で処方されるステロイドやタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)が酒さの原因や悪化要因になることがあります。
特にこれらの薬剤で発症したものを、ステロイド酒さや酒さ様皮膚炎と呼びます。ほとんどの方は問題ありませんが、1週間外用するだけでもステロイド酒さになってしまう方もいらっしゃいます。
またステロイド薬やプロトピック軟膏でニキビダニ(毛包虫)が増えてしまい、酒さを悪化させることがあります。ただステロイド薬やプロトピック軟膏が絶対悪いというわけではなく、酒さと湿疹が混ざっているときはステロイド薬やプロトピック軟膏を使用することもあります。
プロトピック軟膏と同じ非ステロイド薬で、アトピー性皮膚炎で使われるモイゼルト軟膏は酒さを悪化させない印象があります。

2.ヘパリン類似物質(ヒルドイドやビーソフテンなど)に注意

皮膚科でよく処方されるヒルドイドやビーソフテン、ヘパリン類似物質の保湿剤は保湿力も高いですが、肌の血流を良くする効果があり、赤ら顔が悪化してしまうことがあります。
赤ら顔の方は必ず避けた方がいい、というわけではありませんが、赤みが気になる方は避けるのがいいかもしれません。ヘパリン類似物質の変わりにセラミドが入った保湿がおすすめです。
赤ら顔患者では、肌のセラミドが減っており、肌バリアが弱くなっていることがわかっています。セラミドで保湿することで、外からの刺激を減らすこともできるため、肌の赤みが気になる方におすすめです。

3.ピーリング成分に注意

AHA(フルーツ酸)やサリチル酸などのピーリング成分にも注意が必要です。
AHAは、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸などが含まれます。化粧品にも含まれていることが多く、角質のバリアを弱くしてしまい、肌に赤みが出ることがあります。赤ら顔や酒さの方も、肌状態が調子いい時はこの成分も使用できることもあります。
肌に赤みがあり、さらに皮脂や毛穴づまりが気になる方は、アゼライン酸がおすすめです。アゼライン酸は、抗炎症効果や皮脂抑制効果が期待でき、酒さ・赤ら顔・ニキビ跡の赤みに効果が高くなります。

4.レーザートーニングやピコトーニングに注意

肝斑や色素沈着治療によく行われるトーニングも、繰り返すと肌に慢性的な刺激となって肌の赤みが悪化してしまうことがあります。
特に赤ら顔の方は、肝斑を合併していることも多く、知らずにトーニングを行い赤みが悪化して来院する患者さんも多いです。トーニングができないわけではないので、肌状態をみながらトーニングを行うことをおすすめしています。

5.ユベラ(ビタミンE)の飲み薬に注意

ビタミンEは抗酸化力もあり、またビタミンCの効果を助けるため、肝斑やくすみが気になる方など多くの方が飲んでいます。しかし、ビタミンEは血流をよくする効果があるため、飲むと赤ら顔やほてりが悪化してしまう方がいらっしゃいます。
ビタミンEの飲み薬を中止したところほてり感がなくなった方もいらっしゃいますので、赤ら顔・酒さの方は注意するのがいいかもしれません。またトコフェロール(ビタミンE)配合のコスメも念のため、避けることをおすすめしています。

6.高血圧薬(カルシウム拮抗薬)に注意

高血圧のお薬としてよく処方されるアムロジピンやアダラートは血管を広げて血圧を下げるお薬です。
血管を広げるお薬のため、顔の血管が広がり、赤ら顔を悪化させてしまうことがあります。実際に、赤ら顔が気になると受診された患者様の原因がこのお薬であることもあります。
顔の赤みがなかなか治らない方は、違うタイプの高血圧薬に変更できるか、かかりつけの内科の先生に相談することもおすすめです。なお、このタイプの高血圧薬は肝斑や色素沈着を引き起こすことも論文で報告されています。

7.紫外線ケアをしない

紫外線は、肌に炎症を起こし老化を促進します。
赤ら顔や酒さは紫外線が発症のきっかけとなっていることも多く、紫外線ケアはとても大切です。紫外線が強くなる6月に赤ら顔が悪化して受診される方も多いです。超敏感肌の方向けの日焼け止めもいくつかありますので、診察時にご相談いただけましたらと思います。さらに日焼け止めだけでなく、日傘やUVカット生地の洋服による対策もおすすめです。

8.レチノールやニキビ薬に注意

レチノールは、肌のコラーゲンを増やし、肌のターンオーバーを整えることができ、エイジングケアにおすすめの成分です。またベピオやディフェリン、エピデュオなどの保険適用のニキビ薬は、ニキビに対する効果が高いお薬になります。
しかし、これらの成分・薬剤は、ピーリング効果があるなど肌をかさかさ、赤くさせ、赤ら顔や酒さが悪化してしまうことがあります。酒さとニキビが混ざっていることも多いため、お薬をうまく使い分けることが大切です。うまく使い分けることができれば、ニキビ薬を使える方も多いです。
またレチノールは酒さに有効であったという論文もあります。ただ、赤ら顔とニキビが両方気になる方は、アゼライン酸やイソトレチノイン、ビブラマイシンなど両方に効果のある治療からまず行うことも多いです。

9.アルコール配合スキンケアに注意

化粧水や乳液のアルコールが肌の刺激になり、赤みの原因になることがあります。
アルコールの中で注意するのは、エチルアルコール(エタノール)のみで、ステアリルアルコールやベへニルアルコールなど他の〇〇アルコールは問題ありません。
またスキンケアではウォータープルーフなど落としにくいメイクや日焼け止めは、メイクを落とす時に肌への負担となってしまうため避けることがおすすめです。

10.激しい運動や飲酒、辛いものを食べることに注意

肌の血流が良くなると、赤みが増すだけでなく、肌に炎症物質が集まりやすくなり酒さ・赤ら顔の赤みが悪化してしまうことがあります。
適度な運動は、逆に赤ら顔にいいというデータもあり、適度な運動であれば問題ないと思われます。飲酒については、赤ワインは酒さの悪化につながりやすいため避けた方がよく、それ以外の白ワインなどにするのがおすすめです。

当院の治療方針

当院では、赤ら顔や酒さの方が多く受診されています。
肌の赤みの原因や炎症具合を判断しながら、塗り薬や飲み薬、症状によってはVビームレーザーやポテンツァによる治療を組み合わせています。塗り薬も、ロゼックスゲル、イベルメクチンクリーム、アゼライン酸の3種類を使い分け、また飲み薬もビブラマイシンやルリッド、イソトレチノインなど複数の飲み薬を使い分けています。

当院の症例

【40歳代女性】酒さ・赤ら顔

酒さ 赤ら顔の症例写真(治療前後)

両頬に赤みやポツポツが出現し、多数の皮膚科で治療するもなかなか良くならず当院を受診されました。
肌の状態を分析し、生活指導とともに炎症が強いタイプでしたのでまずはイベルメクチンクリームの塗り薬、ビブラマイシン内服から開始し、さらにVビームレーザー治療を5回行いました。
まだ少し赤みは残っていますが、かなり赤みとポツポツが改善しています。

【費用】イベルメクチンクリーム 30g 4,400円(税込)Vビームレーザー両頬 21,780円(自費の場合・税込)(本症例では、総額113,300円(税込))
【副作用・リスク】腫れ・内出血など

まとめ

酒さ・赤ら顔は、ロゼックスゲルやイベルメクチンクリーム、Vビームレーザーなどの治療だけでなく、日々の生活がとても大切です。
うっかり日焼けで赤みが増してしまうこともあります。当院は、赤ら顔・酒さの患者さんの治療経験も豊富です。肌の赤みが気になる方はお気軽にご相談ください。

上野御徒町ファラド皮膚科院長|上條 広章 監修

<ポテンツァについて>

医薬品医療機器等法上の承認:未承認
入手経路:当院では医師の判断の下、輸入代行業者から入手
国内の承認医薬品の有無:同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
諸外国における安全性などに係る情報:MFDSより承認を受けています。諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。

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