2025.11.21 ニキビ跡
ブレッシングとポテンツァの違い|毛穴・ニキビ跡治療の選び方とダウンタイム比較

近年、肌質改善や毛穴、ニキビ跡の治療として人気を集めている美容施術「ブレッシング(BLESSING)」と「ポテンツァ(POTENZA)」。
どちらもマイクロニードルRF(針を使った高周波治療)の一種ですが、構造や仕組み、治療の目的、そしてダウンタイムには明確な違いがあります。
本記事では、皮膚科専門医の立場から、両者の特徴と選び方について詳しく解説します。
1. ブレッシングとは
ブレッシング(BLESSING)は、針の先端から高周波(RF)を照射し、真皮層に熱刺激を与えることで肌の再生を促します。また肌を引き締める効果もあります。
同時に、針先から薬剤導入が可能であり、毛穴やニキビ跡、肌質改善、小じわなどを目的に幅広く使われます。

特徴
- 傾斜型マイクロニードルを肌に刺入し、針先からRFを照射
- 熱刺激でコラーゲン産生を促進
- 針穴から薬剤導入ができる(薬剤を肌の深部まで直接届ける)
- ダウンタイムを抑えつつ、毛穴・肌質をなめらかに整える
ブレッシングのメリット
ブレッシングの最大の特徴は、傾斜型ニードルと針先から直接薬剤を導入できる点です。
この構造により、真皮を効率的に加熱し、作り変え(再構築)、引き締めることができます。またポリ乳酸(ジュベルックなど)、ポリヌクレオチド(リジュランやプルリアルデンシファイなど)、アミノ酸製剤(ジャルプロなど)など、目的に応じた薬剤を真皮層にしっかり届けることができます。
熱の広がりをコントロールしやすく、毛穴や肌のキメの改善を狙いつつ、赤みや腫れを最小限に抑えられることも魅力です。
2. ポテンツァとは
ポテンツァ(POTENZA)は、モノポーラRFとバイポーラRFを切り替えられるマイクロニードルRFです。
目的に応じてチップを選択できるため、ニキビ跡、毛穴、赤ら顔、たるみなど幅広い肌悩みに対応できます。
特徴

- モノポーラRF:深部への熱刺激によりコラーゲンを増生
- バイポーラRF:表層への熱刺激でニキビ跡、毛穴、赤みや肌質を改善
- 各チップで熱の広がり方が異なり、ダウンタイムを調整可能
- 陰圧・陽圧を使って薬剤を導入するチップ(CPチップ)も搭載
ポテンツァのチップの種類

- Sチップ:バイポーラRFのみ照射できるチップ。浅めにRFを照射し、毛穴・赤み・肌質改善に。赤みや腫れが少なくダウンタイムが短い。
- CPチップ:モノポーラRFとバイポーラRFを照射でき、さらに陰圧と陽圧を利用しながら薬剤導入が可能なチップ。ニキビ跡や毛穴、赤みに有効で効果が高いチップ。
- ダイヤモンドチップ:針を使わないチップ。モノポーラRFとバイポーラRFを照射でき、ハリや引き締め効果がある。
3. ブレッシングとポテンツァの仕組みの違い
| 項目 | ブレッシング | ポテンツァ |
| RF(高周波)の仕組み | 斜めに刺入した針先からRFを照射。肌に密着させた電極に垂直に熱が発生する。 | 垂直に刺入した針先からモノポーラ/バイポーラRFを照射。 |
| 薬剤導入方法 | 針先から直接導入 | 陰圧・陽圧を利用して導入 |
| 熱の広がり | 針周囲と針より上側に熱が発生する | チップや設定により針間や深部に熱が広がり可変 |
| 対応する悩み | ニキビ跡・毛穴・赤み・シワ | ニキビ跡・毛穴・赤み・シワ |
| ダウンタイム | 設定によってポテンツァより短い | チップにより幅あり(Sチップ<CPチップ) |
4. ダウンタイムの比較
ブレッシングのダウンタイム
ブレッシングのダウンタイムは、針の深さ・熱量・使用薬剤によって異なります。
毛穴モードの場合、一般的には赤みやむくみが1~2日程度、軽度のざらつきが1〜2日ほどで落ち着きます。針を深く行うニキビ跡モードでは、赤みが3~4日程度、点状出血が4~7日程度で落ち着きます
斜めに刺入した針先から薬剤導入が行われ、さらに高周波の熱による止血効果があるため、微小な針痕は数日残るものの、出血や強い腫れは起きにくいのが特徴です。
一般的にはポテンツァのSチップよりはやや長く、CPチップよりは短いダウンタイムとなります。
そのため「できるだけ赤みを抑えたいけれど、しっかり毛穴治療をしたい」という方に向いています。
ポテンツァのダウンタイム
ポテンツァは、チップやモードにより大きく異なります。
- Sチップ:ダウンタイムが最も短く、赤みは数時間〜2日程度
- CPチップ:熱入れをしっかりすることやショット数も多いため点状出血や赤みが3~4日程度続くこともあります
- ダイヤモンドチップ:直後に少し赤みが出る程度でほとんどダウンタイムはありません
特にニキビ跡治療を目的とした深めで強めの設定では、かさつきや一時的な赤みが数日間みられることがあります。
5. 効果の違いと得意分野
| 治療目的 | ブレッシング | ポテンツァ |
| 毛穴の引き締め | ◎ 熱と薬剤導入で毛穴を集中的にケア。皮脂抑制効果。 | ◎ モノポーラRFとバイポーラRFでコラーゲンを増やし、引き締め。皮脂抑制効果。 |
| ニキビ跡・クレーター | ◎ 効率的な薬剤導入・熱刺激と傾斜型ニードルのサブシジョン効果で効果高い | ◎ モノポーラRFとバイポーラRFによる浅層と深部への熱刺激でコラーゲン産生、真皮の再構築を促す |
| 赤み | ◯ RFによる熱刺激による赤み改善 | ◎ 血管新生を抑え、赤ら顔・酒さの赤み改善(論文あり) |
| シワ | ◎ 目周りや口周りなど細かい部分のシワにもアプローチ可 | ◎ 目の下のシワ、額のシワにもしっかり熱入れ可 |
| 肌質改善 | ◎ 熱と薬剤によるコラーゲン新生 | ◎ 熱と薬剤によるコラーゲン新生 |
| たるみ | ◎ 傾斜型ニードルによる効率的な熱刺激による引き締め | ◎ モノポーラモードで深部加熱可 |
| ダウンタイム | 短〜中程度 | チップにより可変(短〜やや長) |
6. どちらを選ぶべき?
治療目的や生活スケジュールによって、最適な機器は異なります。
- 毛穴・キメ改善・ナチュラルなツヤ肌を目指したい方
→ ブレッシングがおすすめ。短い休みで受けやすい。 - ダウンタイムを最小限にしたい方
→ ポテンツァのSチップがおすすめ。止血効果も高くダウンタイムが短い。 - ニキビ跡や凹凸をしっかり治したい方
→ ポテンツァのCPチップとブレッシングがおすすめ。特にブレッシングの「ニキビ跡モード」にはサブシジョン効果があり、瘢痕が固いニキビ跡に有効です。ただし、強い設定で行うと赤みや内出血が1週間ほど続くダウンタイムが出ることがあります。ダウンタイムをできるだけ抑えたい方は、まずポテンツァのCPチップで治療を開始し、肌の変化や改善の程度を見ながら途中でブレッシングへ切り替える方法もおすすめです。逆に、瘢痕が硬く凹みの深いニキビ跡の場合は、最初からサブシジョン効果が得られるブレッシングを選択することもあります。どちらの施術も、表面の肌質をなめらかに整えるだけでなく、真皮層の再構築を促すことで引き締め効果も期待できるため、総合的にニキビ跡の改善に優れた治療オプションです。 - 高い引き締め効果を求める方
→ ブレッシングやポテンツァのCPチップがおすすめ。特にブレッシングは傾斜型ニードルで真皮に効率的に熱を発生させることができ引き締め効果も高い - 酒さ、赤ら顔、酒さ様皮膚炎、ニキビ跡の赤みが気になる方
→ ポテンツァのCPチップまたはSチップがおすすめ。論文も多数報告あり(PMID: 34196817、PMID: 27608206)。 - しっかり肌に薬剤を届けたい方
→ ブレッシングがおすすめ。ジュベルックやプルリアルデンシファイ、リジュラン、ボトックスなどの薬剤を効率よく肌に導入できます。水光注射での注入とは異なり、RFによる熱刺激により止血効果があり、またコラーゲンを増やす効果も高めることができます。
ブレッシングもポテンツァも設定によって赤みやかさぶた、点状出血などのダウンタイムが変わりますので診察時にお気軽にご相談ください。
7. 治療後のケアと注意点
どちらの治療でも、紫外線対策・保湿ケアが最も重要です。
治療後は一時的にバリア機能が低下するため、刺激の少ない保湿剤や再生クリームの使用、日焼け止めの継続が推奨されます。
また、メイクや洗顔、入浴は翌日から可能です。
施術後はトラネキサム酸やCICAを使用した鎮静を行うとダウンタイムが短くなります。ベピオやディフェリン、レチノールなど肌に刺激になる成分は1週間ほど経ってから再開してください。
8. まとめ
ブレッシングとポテンツァはどちらもマイクロニードルRFによる肌再生治療ですが、
構造や熱の広がり方、薬剤導入の方式、そしてダウンタイムに違いがあります。
- ブレッシング:傾斜型ニードルで、針先から薬剤導入可能。毛穴・肌質改善に優れ、ダウンタイムが短め。サブシジョン効果によるニキビ跡治療も。
- ポテンツァ:チップにより深さやモノポーラ・バイポーラRFを調整可能。毛穴・ニキビ跡やたるみまで幅広く対応。
どちらもコラーゲンを増やし、肌のハリ・質感を改善する効果が期待できますが、「どんな悩みを改善したいか」「どれくらい休みが取れるか」によって最適な治療は変わります。
当院では、患者様のお悩みや肌状態によってブレッシングとポテンツァを使い分けています。毛穴、ニキビ跡、小シワ、肌質が気になる方はお気軽にご相談ください。
当院のブレッシング解説ページ、ポテンツァ解説ページもご参照ください。
ブレッシングの料金
導入薬剤はジュベルック、プルリアルデンシファイ、ジャルプロクラシック、サイトケア532、ボトックス、リジュラン、バイオリジェンのいずれか
施術モードは、ニキビ跡モード、毛穴モード、赤ら顔モード、肌質改善・小ジワモード、たるみ改善モードの5つの設定で行なっていますが部位ごとに調節することも可能です。
当院ではカスタマイズを行い全顔の場合、800~1000ショット程度行っております。
| 全顔 | 初回のみ 88,000円 |
| 1回 110,000円 | |
| 両頬 + 鼻 or 両頬 + こめかみ | 1回 88,000円 |
| 全顔 + 首 | 1回 143,000円 |
※すべて表面麻酔代+薬剤代 込
ポテンツァの料金
赤ら顔・毛穴の開き・肌質改善治療(Sチップ使用)
| 全顔 | 1回 55,000円 |
| 両頬 + 鼻 or 両頬 + こめかみ | 1回 44,000円 |
| 首 | 1回 55,000円 |
| 全顔 + 首 | 1回 88,000円 |
| ポテンツァ 毛穴モードにPRX-T33(マッサージピール薬剤)併用 | + 8,800円 |
ニキビ跡治療・スキンリジュビネーション治療 ドラッグデリバリーシステムによる薬液導入(CPチップ使用)
マックーム(MaCoom)、ジュベルック(JuveLook)、プルリアル デンシファイ、リジュラン
| 全顔 | 初回のみ 88,000円 |
| 1回 110,000円 | |
| 両頬 + 鼻 or 両頬 + こめかみ | 1回 88,000円 |
<参考文献>
- Park SY, Kwon HH, Yoon JY, Min S, Suh DH. Clinical and Histologic Effects of Fractional Microneedling Radiofrequency Treatment on Rosacea. Dermatol Surg. 2016 Dec;42(12):1362-1369. PMID: 27608206.
- Wang B, Deng YX, Li PY, Yan S, Xie HF, Li J, Jian D. Efficacy and safety of non-insulated fractional microneedle radiofrequency for treating difficult-to-treat rosacea: a 48-week, prospective, observational study. Arch Dermatol Res. 2022 Sep;314(7):643-650. PMID: 34196817.
この記事を書いた人
上野御徒町ファラド皮膚科 院長
上條 広章(かみじょう ひろあき)
- 資格
- 医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本美容外科学会(JSAS)認定 美容外科専門医
- 日本レーザー医学会専門医
- 所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本美容外科学会(JSAS)
- 日本美容皮膚科学会
- 日本レーザー医学会
- 受賞歴
- 第7回日本皮膚悪性腫瘍学会賞(石原・池田賞)
- 第20回マルホ研究賞
- Poster Prize, 47th Annual Meeting of European Society for Dermatological Research
略歴
| 2012年 | 東京大学医学部医学科 卒業 |
|---|---|
| 2014年 | 藤枝市立総合病院 初期研修 修了 |
| 2014年 | 東京警察病院 皮膚科 |
| 2016年 | 東京大学医学部附属病院 皮膚科 |
| 2019年 | 東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教 アトピー性皮膚炎専門外来、皮膚悪性腫瘍専門外来、レーザー専門外来担当 |
| 2021年 | 都内大手美容外科 入職 |
| 2022年 | 都内大手美容外科 本院 部長 美容皮膚科治療監修を担当 |
| 2022年 | 上野御徒町ファラド皮膚科 開院 |







