2023.08.03 肌のトラブル
顔にできるいぼを除去するには?|原因や治療方法を解説
顔にできたいぼは人からの視線を浴びやすく、気になっている人も少なくないでしょう。いぼの種類や原因にはさまざまなタイプがあり、治療法も異なります。今回は、顔にできるいぼの種類や原因、治療法や経過、リスクなどをご説明します。
顔にできるいぼとは
いぼには、ウイルス性と加齢や紫外線によるものの2種類があります。
ウイルス性の場合、以下のようなしくみで生じます。
- 皮膚表面にできた小さな傷口からウイルスが入り込む
- 表皮深層の基底細胞に感染が起こると、角化細胞が活性化する
- ウイルスに感染した細胞が皮膚表面を押し上げ、いぼができる
加齢や紫外線によるものは、次のようなしくみで生じます。
- 加齢や紫外線により表皮の細胞に異常がでる
- 表皮の細胞がメラニンを蓄えるようになって茶色いシミになる
- 表皮の細胞が増えて厚くなることでイボになる
顔いぼの原因(*1)
いぼには、ウイルス性と加齢や紫外線によるものの2種類があります。
ウイルス性
尋常性疣贅
尋常性疣贅は主にヒトパピローマウイルス2型が小さな傷口から侵入し、角化細胞に感染することによって生じます。剥がれ落ちた皮膚からウイルスが放出され、他の部位へ感染することがあります。潜伏期間は1~6ヵ月で、数mm~数cm大まで大きくなり、自覚症状はほとんどありません。単発のこともありますが、複数できる場合もあります。
伝染性軟属腫
伝染性軟属腫はいわゆる「水いぼ」といわれ、伝染性軟属腫ウイルスに感染することで生じます。小児の体幹、四肢、下腹部などに発症しやすい傾向があり、2~10mmのドーム状のしこりが多発します。表面は滑らかで光沢があり、自覚症状はほとんどないか、周囲に湿疹やかゆみを伴うことがあります。
青年性扁平疣贅
青年性扁平疣贅は、主にヒトパピローマウイルス3型・10型が傷口から感染して発症します。青年期女子の顔面にできやすく、数mm~1cm程度の丘疹が多発します。自覚症状はほとんどなく、正常皮膚色~淡紅色をしています。自然治癒することもありますが、数年にわたって治らないケースもあります。
加齢や紫外線
脂漏性角化症(老人性いぼ)
脂漏性角化症は中年以降の顔面や体幹などにみられる良性腫瘍です。20歳代から現れ、80歳代以降ではほぼ全員に発症しています。別名を「老人性疣贅」といい、老化によって生じます。一般的にシミといわれる老人性色素斑から盛り上がって脂漏性角化症となることもあります。直径1~2mmほどで、褐色から黒褐色までさまざまです。手のひら、足の裏には出現しません。また、痛みやかゆみは通常みられません。
軟性線維腫(スキンタッグ、アクロコルドン)
わきの下や首などに出現しやすい傾向があります。表面にはしわが多く、常色から淡褐色の腫瘍です。首やわきの下などに糸のような2~3mmの腫瘍が多発するものをスキンタッグ、またはアクロコルドンといい、体幹に単発の1cmほどのものを軟性線維腫、さらに巨大になって垂れ下がったものを懸垂性線維腫と呼んでいます。女性、また肥満者に多く、加齢が一因とされています。
老人性血管腫
老人性血管腫は体幹に点状の紅色丘疹が多発します。20歳代からみられますが、年齢とともに増加する傾向があります。血管の増殖が原因とされています。
顔いぼの治療方法とは
当院では、顔いぼに対して冷凍凝固療法とサージトロン(ラジオ波メス)で治療をしています。
冷凍凝固療法
冷凍凝固療法は、-196℃の液体窒素をいぼにあて、組織を壊死させることで取り除く方法です。スプレー式・綿棒式・ピンセットで行う3通りあり、スプレー式はもっとも広く行われ、液体窒素の強さを調整できます。綿棒は顔の小さなイボで最小限の範囲で液体窒素の効果を得たいときに使用します。ピンセットは飛び出たいぼで使用します。皮膚が厚くない手足以外の部位では、2~3回の治療でなくなることがあります。色素沈着リスクが高いことと治療回数が多く必要になります。
- メリット:保険適用
- デメリット:痛みを伴う、炎症後色素沈着などを起こすことがある
サージトロン
冷凍凝固療法で効果がみられない場合やクリニックに頻繁に受診できない場合にサージトロンによる治療を行うことがあります。高周波エネルギーを出しながら組織を切るため、周囲の組織へのダメージが少なく、出血を抑えられることが特徴です。治療中は腕時計やアクセサリー類は外していただきます。
- メリット:再発の可能性が低い、短時間で治療できる、抜糸が不要、ほとんど傷跡が残らない
- デメリット:内出血、腫れなどを起こすことがある
治療の流れと注意点
1. 診察
顔いぼができている部分を診察します。症状に応じて、治療法をご説明します。気になることや不安なことは、お気軽にお尋ねください。
2. 治療
液体窒素
-196℃の液体窒素をスプレー、または綿棒を使っていぼに当てて凍結させます。
サージトロン
局所麻酔を行い、サージトロンで削る範囲や深さを調節していぼを削り取ります。治療時間は10~15分程度です。1~2週間後には傷が塞がってきます。
3. アフターフォロー
液体窒素の場合、2~3週間ごとに治療を続けます。
サージトロンの場合、テープを貼っていただきます。治療翌日と2週間後に受診していただきます。
液体窒素凍結療法
- 治療中は痛みを伴います。
- 炎症後色素沈着、水疱ができる場合があります。
- 水疱は1~2週間で吸収されるます。無理に潰さないようにしてください。
サージトロン
- 炎症後色素沈着、傷跡、ケロイドなどを起こすことがあります。
- 術後に赤みが出ることがありますが、少しずつ落ち着きます。
- 再発することがあります。
以下に該当する方は、治療できない可能性があります。必ず事前にご相談ください。
- 妊娠中、授乳中の方
- 血液がサラサラになる薬を内服中の方
治療後の経過とアフターケア
治療の経過や効果には個人差があります。気になる症状が続く場合は、医師へ相談しましょう。
冷凍凝固療法
治療から1~2日後
液体窒素を当てた部分に水疱が生じ、痛みを感じる場合があります。
治療から5~7日後
水疱がかさぶたになり、血豆や再び水疱ができる場合があります。
治療から7~10日後
肌のターンオーバーとともに水疱は落ち着き、血豆は黒っぽいかさぶたになっていぼと一緒に剥がれ落ちます。いぼが残っている場合は、改めて冷凍凝固療法を行うことがあります。
サージトロン
7~10日ほどで傷が治ります。抜糸の必要はありません。
また、日常生活では以下の点に気をつけましょう。
- 洗顔やメイク、入浴、シャワーは当日から可能です。ただし違和感がある場合には控えましょう。
- 洗顔や入浴の際は、患部に刺激を与えないようにやさしく洗いましょう。
- 治療当日の飲酒や激しい運動はお控えください。
料金
イボの冷凍凝固療法 約700円
いぼ除去(自費の場合)
3mm未満 2つで10,780円
3mm以上 10,780円
顔のいぼが気になる方は、上野御徒町ファラド皮膚科へ
顔にできるいぼは、尋常性疣贅や青年性扁平疣贅、脂漏性角化症など、さまざまな種類があり、原因もウイルス性や加齢・紫外線によるものなどさまざまです。当院では、顔いぼに対して冷凍凝固療法とサージトロン(ラジオ波メス)で治療をしています。気になる顔いぼがある方は、当院へお気軽にご相談ください。
【参考】
(*1)清水 宏.「あたらしい皮膚科学第3版」.中山書店.2018