2023.03.23 アトピー
【子どものアトピー性皮膚炎にお悩みの方】|原因や気をつけることを解説
「子どもの顔や首に湿疹ができた」「肌のかゆみがあって眠りが浅い」ということがあると心配ですね。
今回は、子どものアトピー性皮膚炎の特徴や原因、日常生活で注意することなどをご説明します。
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚疾患です。
アトピー性皮膚炎の患者さまの多くが、アトピー素因をもっています。
アトピー素因とは、以下3つのことを指します。
- 家族でアトピー性皮膚炎の人がいるかどうか
- アレルギー性鼻炎や気管支喘息、アレルギー性結膜炎の既往歴があるか
- アレルギーに反応しやすいかどうか
アトピー性皮膚炎の人の肌はバリア機能が低下し、外部からの刺激に弱く、肌が乾燥しやすい状態です。
肌のバリア機能が低下していると細菌やウイルス、アレルゲンなど外部の刺激を受けやすくなります。
アトピー性皮膚炎は赤いブツブツした湿疹ができ、皮膚をかくことで悪化し、ジュクジュクした湿疹やかさぶたが生じ、肌がごわごわしてくることもあります。
左右対称に湿疹がみられ、成長の発達段階で症状が現れる部位が異なります。
小児アトピーの特徴とは
子どもの肌のバリア機能は未熟で、大人と比較して乾燥しやすいといわれています。
アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症する傾向があり、10%程度の小児にみられます。
子どもの頃のアトピー性皮膚炎は成長とともに症状が落ち着く可能性がありますが、大人の場合は仕事や家庭などライフスタイルの変化などにより、症状がなかなか落ち着かない場合があります。
発症部位
大人の場合は顔、首、背中、胸などの上半身に湿疹が出る傾向があります。
乳児期(2歳未満)では、頭や頬、口のまわりを中心に肌が赤くなります。
耳たぶの下が切れる耳切れという症状がみられることもあります。
かゆみを伴う場合、かくことで皮膚がダメージを受け、ジュクジュクとした湿疹を生じるようになります。
悪化すると、腹部や背中、手足など全身に広がることがあります。
幼児期・学童期(2歳~12歳)では、肘の内側やひざの裏の関節部分、手首などに症状が現れます。
かくことを繰り返すことで、皮膚がごわごわ硬くなる苔癬化(たいせんか)がみられることがあります。
アトピーの始まり方と原因
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能低下やアトピー素因などの体質的要因と、ダニやハウスダスト、汗などのアレルゲンによる環境的要因が関わっています。
皮膚のバリア機能が低下したところに外部刺激が重なると、皮膚症状が出やすいと考えられています。
人の皮膚は、表皮・真皮・皮下組織(皮下脂肪)から成り、もっとも外層の角質層がバリア機能の役割を果たしています。
バリア機能によって外部刺激から肌が守られ、水分量の調節をしています。
バリア機能には皮脂膜・天然保湿因子・細胞間脂質の3つの保湿因子が関係し、角質層の中に水分を保っていますが、3つの保湿因子が不足するとバリア機能の低下を招くとされています。
かゆみが悪化する原因として、皮膚への刺激、空気の乾燥や温度、衣類による摩擦、汗、紫外線などがあげられます。
複数の要因が重なり合って起きるため、ひとつの要因を除去しても改善がみられないこともあります。
アトピー性皮膚炎は、バリア機能の低下→外部刺激を受ける→かゆみを生じてかく→湿疹がひどくなる→さらにかゆくなる、という悪循環に陥りやすいため、正しいスキンケアや治療で症状を落ち着かせることが大切です。
子どものアトピーで気を付けるべきこと
子どものアトピー性皮膚炎では、肌の清潔を保つこと、ダニやハウスダストなどのアレルゲンを除去すること、かゆみなどを抑える薬物療法が重要です。
アトピー性皮膚炎の肌はバリア機能が低下し、外部の刺激を受けやすい状態になっています。
そのため、汗や汚れを洗い流して清潔を保ち、保湿剤などで肌の水分量を保ちましょう。
スキンケア
アトピー性皮膚炎は肌が乾燥し、バリア機能が低下している状態です。
肌を清潔にし、保湿剤でうるおいを保ちましょう。
起床後や入浴後など、こまめに塗り直して乾燥を防ぐことが大切です。
また入浴後は、できるだけ早めに保湿剤を塗りましょう。
軟膏やクリームの量は人差し指の先端から第一関節まで、ローションの場合は1円玉大を手にとり、ティッシュが肌に貼りつく程度塗るのが目安です。
同じ薬でも使用方法が異なると、期待している効果が得られない可能性があります。
当院では塗り方指導も行っているため、お気軽にご相談ください。
髪や爪のお手入れ
子どもは家の中はもちろん、外出先でもさまざまな場所に触れて汚れや細菌がつきやすいと考えられます。
また2歳未満の乳児は爪が薄く、傷になりやすいため、こまめに爪切りをしましょう。
髪の毛の毛先が耳やまぶたなどに触れていると、刺激でかゆみを生じやすくなる可能性があります。
髪の毛を短く整える、毛先が肌に触れないようにピンなどで留めるなど工夫しましょう。
衣類や寝具
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維やウールなどのチクチクした素材は避け、綿100%などのやわらかい素材を選ぶとよいでしょう。
特に肌着や靴下は直接肌に触れるため、肌触りがよく締め付けの少ないものをおすすめします。
また寝具も肌触りのよいものを選び、布団カバーはダニを通さない高密度のものを使用するとよいでしょう。
ベビー用品
チャイルドシートやベビーカーは、子どもの汗などで細菌が繁殖しやすく、汚れやすいと考えられます。
カバーがついているものなど、洗えるものはこまめに洗って清潔を保ちましょう。
入浴
お風呂の温度が熱すぎる場合や長時間お風呂に入った場合、入浴後のかゆみがひどくなることがあります。
温度は38~40℃程度に設定し、長湯は避けましょう。
またボディータオルは素材によっては皮脂を落とし過ぎることがあるため、子どもの場合はガーゼなどを使用するか、手で洗うとよいでしょう。
アトピー治療の基本
アトピー性皮膚炎は重症度に応じて、軽症・中等症・重症・最重症の4段階に分けられ、治療法が異なります。
症状の改善によって軽いステージの治療を進め、最終的な目標はプロアクティブ療法といい、予防的にお薬を使って湿疹・皮膚炎のない日常生活を送ることです。
アトピー性皮膚炎による薬物療法は、塗り薬が中心です。
アレルギー反応による炎症が改善することにより、バリア機能の低下を防ぎ、かゆみも和らぐとされています。
保湿剤、外用薬、内服薬、注射剤の4種類を使用します。また紫外線療法を行う場合もあります。
保湿剤
肌のバリア機能の低下を防ぐため、保湿剤で肌にうるおいを与えます。
軟膏、ローション、クリーム、泡タイプの4種類があります。
医療機関では症状や部位に応じて、ヒルドイドやワセリンなど適切な保湿剤を処方します。
外用薬
ステロイド薬は炎症を抑えるはたらきがあります。
重症度によって使い分け、決められた量を決められた期間に使用することで症状が改善すれば、より弱いステロイド薬に変更できます。
内服薬
アトピー性皮膚炎の症状が強い場合、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などを使用することがあります。
注射薬
外用薬や内服薬を使用しても症状の改善が見込めない場合、注射薬を検討することがあります。
紫外線療法
外用薬で症状の改善がみられない場合、紫外線療法をすることがあります。
紫外線療法とは、さまざまな皮膚疾患の治療法の一種です。
アトピー性皮膚炎のほか、円形脱毛症や乾癬、白斑などの皮膚疾患に有効と考えられており、保険適応で治療が可能です。
当院では全身型紫外線治療装置と局所型紫外線装置(エキシマライト)を完備しております。
塗り薬で改善しない湿疹は当院にご相談ください。
料金
基本的に、アトピー性皮膚炎の治療は保険適用です。
一部、治療内容によっては自由診療になることがあります。
子どものアトピーが気になったらファラド皮膚科へ
子どもの肌のバリア機能は未熟で、大人よりも乾燥肌になりやすいといわれています。
日常生活ではスキンケアをしっかり行い、バリア機能の低下を防ぎましょう。
院長は東大病院でアトピー性皮膚炎専門外来を行っていた経験があり、塗り薬の塗り方指導や、治りにくい湿疹に対する紫外線治療などアトピー性皮膚炎の治療に力を入れております。