水ぼうそう(水痘)とは
水ぼうそう(水痘)は、英語ではvaricellaもしくはchicken poxと言います。水痘・帯状疱疹ウイルス(varcella-zoster virus:VZV)が原因となり、全身にかゆみのある赤いぶつぶつや水ぶくれがでます。口の中など粘膜部分にも症状がでます。また38度前後の発熱が2-3日間出てしまうことや、だるさや頭痛もでてしまうことがあります。お子さんに多い感染症になります。潜伏期間は2週間ほどです。
水痘・帯状疱疹ウイルスについて
水痘・帯状疱疹ウイルスは空気感染するためとても感染力が強くなります。そのためお子さんが水ぼうそうになった場合、保育園や学校に通うのは一時的に禁止されます。また空気感染だけでなく、皮膚病変の部位にふれるなど直接ウイルスと接触することでも感染してしまいます。
また水ぼうそうの原因となるウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスは、名前の通り帯状疱疹の原因ウイルスでもあります。
帯状疱疹はこちらの記事を参照ください。
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染した場合(初感染)は、水ぼうそうとして症状がでます。このウイルスのやっかいな特徴は、水ぼうそうが治癒してもウイルスが体の中に潜伏し続けます。体内に潜伏したウイルスは普段は眠っているものの、身体の免疫が著しく低下すると再活動し、帯状疱疹を引き起こします。例えば、病気にかかった時や疲れがたまった時、抗がん剤や免疫抑制剤等の治療などで身体の免疫が落ちた時です。
水ぼうそうのワクチンは、2014年から定期接種になり1歳から受けられます。2回目もしっかり受けて免疫をつけることが大切です。ワクチンをしても水ぼうそうにかかってしまうことがありますが症状が軽くてすみます。
水ぼうそう(水痘)の症状
水ぼうそうは、症状が進行するにつれて病変が次々と出てきます。最初は、軽い頭痛、発熱、だるさがでて、24時間ほどで全身に紅斑(皮膚表面に赤い発疹)がでるようになります。赤い発疹の真ん中に小さい水疱がでることもあり、強いかゆみがあります。治ってくると徐々に赤みがとれ、かさぶたになっていきます(痂皮化といいます)。すべての発疹がかさぶたになると他人への感染力がなくなります。
水ぼうそうは他のウイルス感染症や、多発毛嚢炎(毛穴の炎症)、多発の虫さされなどと似て見えることがあるため診断には注意しています。
水ぼうそうになると、へこみ跡が残ってしまうことがあります。特に水ぼうそうの症状が強かった方に多くなります。
当院では大人になっても残った水ぼうそうのへこみ跡に対しても治療を行っています。ニキビのへこみ跡と同じ治療になり、TCAクロスやサブシジョンといった治療などをピンポイントで行うことがあります。気になる方は是非当院にご相談ください。
水ぼうそうに大人がなった場合
お子さんでよくみる水ぼうそうですが、水ぼうそうのワクチンを打っていない方、ご病気で免疫が落ちている方など大人になって水ぼうそうになってしまう方がいます。大人になってから水ぼうそうにかかると、水痘肺炎という肺炎にかかったり、高熱が出たりと重症化することがあります。重症化のリスクがある場合は、大きい病院で入院して治療することもあります。
水ぼうそうの治療
水ぼうそうにかかってしまった場合は、症状を楽にする対症療法を行います。また症状が強い方にはバラシクロビル(バルトレックス)という抗ウイルス薬をお出しします。お子さん用の粉薬もありますので体重に合わせて処方します。他には、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬や、発熱や頭痛に対して解熱鎮痛薬のカロナールを処方することもあります。
水ぼうそうは水ぶくれができてじくじくになりますので、ゲンタシン軟膏などのぬり薬を処方致します。
登園・登校について
水ぼうそうのお子さんは、「学校保健安全法」によって、出席停止となります。水ぼうそうは感染力がとても強く、空気感染で他のお子さんにうつしてしまいます。 学校などで1人発症すると、クラス内の生徒で水痘にかかったことのない人や、水痘ワクチンを受けていない人のほとんどが感染するといわれています。
学校保健安全法では、出席停止期間は「全ての発疹が痂皮化するまで」と定められています。痂皮化とは水ぶくれがかさぶたになる時期です。一般的には水ぼうそうの症状がでてから1週間から10日程かかります。実際に登校を開始できるタイミングは医師にかならず確認してください。
まとめ
水ぼうそうは、状態に応じて早めに治療することで早くかさぶたにすることができます。また周りにうつさないように管理が必要になります。水ぼうそうを疑うような赤いぽつぽつがでましたらお気軽に当院にご相談ください。