ケロイド・肥厚性瘢痕

ケロイド・肥厚性瘢痕とは

ケロイド(keloid)や肥厚性瘢痕(hypertrophic scar)について解説

ケロイド(keloid)や肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん:hypertrophic scar)とは、ケガ(外傷)・手術跡・やけど(熱傷)などの傷が治る過程で皮膚が過剰に反応し、盛り上がり・赤み・硬さが残ってしまう状態です。
時間が経っても傷跡が平らにならず、「赤く目立つ」「かゆみがある」「痛む」と感じる方は、このタイプの傷跡の可能性があります。

ケロイドと肥厚性瘢痕の症状

発症はケガや手術後1か月以内に起こることが多く、耳・首・肩・胸・背中など、皮膚に張力がかかりやすい部位にできやすい傾向があります。
赤色〜褐色の半球状の盛り上がりが特徴で、かゆみや痛みを伴う場合もあります。
特にケロイドでは、横方向に広がりながら中心部が小さくなり、お餅を引き伸ばしたような形になることがあります。

ケロイドと肥厚性瘢痕の違い

ケロイドと肥厚性瘢痕の治療症例を紹介

ケロイドと肥厚性瘢痕は似ていますが、違いがあります。

  • ケロイド:赤く盛り上がり、かゆみ・痛みを伴うことが多く、傷の範囲を超えて広がるのが特徴です。
  • 肥厚性瘢痕:盛り上がりはあるものの、赤みや痛みは軽く傷の範囲内にとどまる傾向があります。

ただし、両者は明確に区別できないこともあり、肥厚性瘢痕がケロイドへと進行する場合もあります。

ケロイドや肥厚性瘢痕ができる原因

通常の傷の治癒では、

  1. 炎症が起こり
  2. 修復細胞が集まり
  3. 血流が増え
  4. コラーゲンが増加して傷が治ります。

一方、ケロイド・肥厚性瘢痕では、炎症反応が長引き、コラーゲンや血管が過剰に増殖するため、皮膚が盛り上がり、赤みやかゆみ、痛みが出ます。

特に以下のような傷はケロイドになりやすいとされています。

  • 胸・肩・お腹など、皮膚が引っ張られる部位の傷
  • 深い傷や縫合が必要だった傷
  • 治癒に時間がかかった傷

ケロイドができやすい体質・リスク要因

ケロイドは以下のような要因で発生リスクが高まります。

  • 遺伝的要因:家族にケロイド体質の方がいる場合、発症しやすい傾向があります。
  • 人種差:白人よりも黄色人種・黒人で発症しやすいと報告されています。
  • 年齢20〜30代はケロイドができやすい時期です。
  • ホルモンの影響妊娠中や思春期は、性ホルモンによる血流増加でリスクが上昇します。
  • 高血圧や過度な飲酒・激しい運動:血流の促進により炎症が悪化しやすくなります。

ケロイドと肥厚性瘢痕の予防法

ケロイド体質の方や再発リスクのある方は、手術やケガの直後から予防ケアを行うことが大切です。

主なポイントは以下の3つです。

  • 保護(物理的刺激を避ける)
  • 保湿(乾燥を防ぎ皮膚の修復を助ける)
  • 紫外線対策(炎症や色素沈着を防ぐ)

保湿・保護にはヒルドイド軟膏シリコンジェルシート(メピフォーム・メピタック)、紫外線対策には日焼け止めクリームUVカットテープが有効です。

「手術や外傷(けが)後の傷のケア」のページに詳しく記載しておりますのでご参照ください。

ケロイドと肥厚性瘢痕の治療

ケロイドと肥厚性瘢痕の治療について詳しく解説

保険診療で行う治療

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療では、炎症・かゆみ・盛り上がりを抑えることが目的です。
主な治療には次のものがあります。

  • ステロイド外用薬(デルモベート軟膏・クリーム)
  • ステロイド貼付剤(エクラープラスター)
    → 数日に1回交換でOK。患部よりやや広めに貼付します。
  • ステロイド注射(ケナコルト注射)
    → 月1回のペースで3〜5回程度行います。
  • 内服薬(リザベン/トラニラスト)
    → かゆみや炎症を抑制します。

また、シリコンシート(メピフォーム・メピタック)も併用可能で、ネットでも購入できます。

なお、ケロイドは手術で切除しても再発しやすいため、原則として手術は行いません
ただし耳のケロイドでは、手術+圧迫ピアスで再発を防げる場合があります。

自由診療での治療

なかなか改善しにくい場合は、以下の治療を組み合わせることで効果を高めます。

ボトックス注射(傷跡ボトックス)

ケロイド周囲に細かく注射し、皮膚の引っ張りを抑え、広がりを防ぎます。
2か月ごとの施術を推奨。2×2cm範囲で13,200円(税込)。

Vビームレーザー

赤みや血管の増加を抑える治療。1か月ごとに3〜5回の照射が目安です。
詳しくは「[Vビーム治療についてはこちら]

ポテンツァ・トライフィルプロ

肌の凹凸や質感を整え、傷跡を周囲の肌になじませる治療として有効です。

当院の症例

症例【30歳代女性】上口唇の傷跡(ケロイド)

傷跡(ケロイド)に対して9回Vビーム照射を行いました。赤みがかなり減っています。
【施術】Vビームレーザー治療9回
【費用】ニキビ跡に対するVビームレーザー:狭い範囲 10,780円(税込)
(本施術では総額97,020円(税込))
【副作用・リスク】腫れ・内出血など

ケロイドと肥厚性瘢痕の治療症例について紹介1

まとめ

ケロイドや肥厚性瘢痕は、早期発見・早期治療・継続的なケアで改善が期待できます。
傷跡の赤みや盛り上がり、かゆみ・痛みなどが気になる場合は、お気軽にご相談ください。当院では様々な傷跡治療に力を入れています。

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