口囲皮膚炎とは

口囲皮膚炎(こういひふえん)とは、口の周りや鼻のまわり、ほうれい線のあたりに赤みとポツポツ(丘疹や膿疱)が出現する症状です。またまぶたや目回りにも赤い発疹やぷつぷつがでることがありこちらを眼囲(がんい)皮膚炎と呼びます。口囲皮膚炎と眼囲皮膚炎が同時に出る場合は、開口部皮膚炎とも呼びます。
口囲皮膚炎は20~40歳代の女性に多くみられますが、男性にもよくみられます。
口囲皮膚炎は、一見湿疹や脂漏性皮膚炎にみえるため、ステロイドの塗り薬が処方され逆に悪化してしまうことがあります。口囲皮膚炎は酒さや酒さ様皮膚炎と似た症状であり、ステロイド薬が発症原因や悪化要因となってしまうため注意が必要です。
口囲皮膚炎の原因

口囲皮膚炎の原因として挙げられるものは以下です(PMID: 21396555)。
- ステロイド薬やプロトピック(タクロリムス)軟膏
- ニキビダニ(顔ダニ)
- 細菌感染(フソバクテリウム属・Fusobacteria)
- カンジダ
- 間違ったスキンケア
- 紫外線
- フッ素入りの歯磨き粉
- 吸入ステロイド
- ホルモンバランス
- 妊娠
- ストレス
ステロイド薬やプロトピック軟膏が原因になることが多いですが、ステロイド吸入薬やフッ素入りの歯磨き粉、ホルモンバランスやストレスなど日常の様々なものが発症に関わっています。またニキビダニやフソバクテリウム属の細菌、カンジダなども関与しています。
口囲皮膚炎の治療

治療の基本は、酒さや酒さ様皮膚炎の治療と似ています。
まずは原因を取り除くことが大切です。ステロイド薬やプロトピック軟膏を使用している場合は中止し、油分に注意してスキンケアの見直しが必要です。肌に優しい日焼け止めによる紫外線対策もおすすめです。
皮膚科での治療では、塗り薬、飲み薬、Vビームレーザー治療を行います。
塗り薬では、ロゼックスゲル(メトロニダゾールゲル)、アゼライン酸、イベルメクチンクリームを使用します。飲み薬では、抗炎症効果のあるビブラマイシンやミノマイシンの飲み薬を使用します。一般的な口囲皮膚炎では、塗り薬と飲み薬の治療により1ヶ月ほどで改善しますが、酒さ様皮膚炎も混ざっている口囲皮膚炎では治療に時間がかかります。
口囲皮膚炎の赤みが強い方にはVビームレーザーによる赤み治療を併用することがあります。Vビームレーザーは肌の拡張した血管や増えた血管を減らすことができるレーザーであり、口囲皮膚炎の赤みにも効果的です。
当院の酒さ治療については酒さのページご参照ください。
当院の症例
症例【30歳代男性】口囲皮膚炎
何件も皮膚科を受診され、治療するも改善なく当院を受診されました。口囲皮膚炎と診断し、イベルメクチンクリームとアゼライン酸外用、Vビームレーザー治療を5回行い赤みが改善しています。
【施術】Vビームレーザー治療5回
【費用】イベルメクチンクリーム 30g 4,400円 (税込)
AZAクリア(アゼライン酸クリーム) 15g 1,980円 (税込)
Vビームレーザー鼻+顎 16,280円 (自費の場合・税込)
(本症例では総額87,780円 (税込))
【副作用・リスク】腫れ・内出血・痛みなど

まとめ
口囲皮膚炎は、一見湿疹に見えるため湿疹としてステロイドを塗ってしまい悪化してしまうことがあります。酒さや酒さ様皮膚炎に近い症状で、診断も治療も難しい症状となります。治らない口周りの赤みやぽつぽつがみられましたら、口囲皮膚炎の可能性がありますのでお気軽に当院にご相談ください。当院では、皮膚科専門医が診察を行っており、酒さ・酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎の治療経験が豊富です。
【参考文献】
Lipozencic J, Ljubojevic S. Perioral dermatitis. Clin Dermatol. 2011;29:157-61. PMID: 21396555.