2023.02.21 ニキビ
治らない思春期ニキビで悩む方へ|原因や治療のポイントを解説
思春期はニキビに悩まされる人が多くなります。
そこで今回は思春期にできるニキビの特徴や原因、治療法などをご説明します。
ニキビとは
ニキビは顔や体などにでき、医学的には「尋常性ざ瘡」といいます。
思春期のニキビは10代前半~20代前半の若年層によくみられます。
特に思春期ニキビは額や鼻のまわり、頬など、皮脂分泌が活発な部分に生じることが多いです。
女性も男性も思春期頃に増加するアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンには、皮脂分泌を促進するはたらきがあり、ニキビの発生に関わっています。
皮脂が増えることで、毛穴が塞がりやすくなります。
毛穴が塞がることでアクネ菌・ニキビ菌が増えやすい状況になり、毛穴が炎症を起こし赤く盛り上がり赤ニキビになっていきます。
症状の程度はさまざまで、すぐに治る場合や長引くもの、最終的にニキビ跡として残るものなどがあります。
思春期ニキビの原因
ニキビの原因には、主に3つが考えられます。
皮脂の過剰分泌
思春期には、アンドロゲンの分泌が増加して皮脂分泌のはたらきが高まります。
また女性ホルモンの一つ、プロゲステロン(黄体ホルモン)も皮脂分泌を増やします。
思春期では、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが乱れ、皮脂が増えニキビができやすくなります。
毛穴のつまり
肌は約28日の周期でターンオーバーを繰り返し、古い角質が剥がれ落ち、新しい皮膚へ生まれ変わります。
なんらかの原因によりターンオーバーが乱れると、毛穴の角質が剥がれずに留まり、毛穴のつまりにつながります。
皮脂が毛穴の中に溜まっていき、毛穴が盛り上がっていくことでニキビが発生する場合があります。
アクネ菌の増殖
正常な皮膚には皮膚の常在菌であるアクネ菌が存在しています。
アクネ菌は皮脂を栄養とし、また嫌気性菌であるため酸素が苦手です。
毛穴の出口が塞がれていると、アクネ菌は増えている皮脂を栄養とするだけでなく、酸素がない環境で増殖を繰り返して炎症を引き起こします。
思春期ニキビの種類
ニキビの種類は状態によって異なり、患者さま一人ひとりの肌にはさまざまな種類のニキビが存在しているケースが多いです。
主に以下の5種類があります。
微少面ぽう
肌表面には目に見える変化はありません。
毛穴の出口が狭くなってきている状態で、ニキビの初期段階です。
白ニキビ(閉鎖面ぽう)
毛穴に皮脂がつまっている状態です。
白っぽい小さな点が生じます。
肌の内部では毛包が広がり、アクネ菌が増殖し始めます。
黒ニキビ(開放面ぽう)
白ニキビの毛穴が開いて、皮脂やメラニン色素が酸化することにより表面が黒く見えている状態です。
小さなほくろやシミのように見えることがあります。
赤ニキビ
白ニキビや黒ニキビが悪化し、炎症を起こしている状態です。
毛包でアクネ菌が活性化され、炎症を起こす物質が次々に生成されていきます。
黄ニキビ
赤ニキビが悪化し、さらに強い炎症を起こしている状態です。
肌表面には黄色い膿が見えるため、黄ニキビといわれています。
ニキビの炎症が周囲へ広がっていき、ニキビ跡となることがあります。
思春期ニキビを治すためのスキンケア
思春期ニキビは過剰な皮脂分泌やストレス、間違ったスキンケアなどが複雑に関係しています。
日常生活では主に以下の点に注意して過ごしましょう。
洗顔、保湿
朝晩2回の洗顔を基本とし、余分な皮脂を洗い流しましょう。
洗顔料をしっかりと泡立てて泡でやさしく洗い、人肌くらいのぬるま湯で肌の汚れや余分な皮脂を落とします。
肌をこすらないようにしてタオルで水分をふき取り、十分に保湿してください。
水分の蒸発を防ぐため、化粧水の後はニキビ肌用の乳液やクリームなどで肌に蓋をしましょう。
また普段からニキビを触る、潰すことは避けてください。
治りが遅くなることやニキビ跡になる可能性があります。
紫外線対策
紫外線は皮脂の酸化によってニキビを悪化させる恐れがあります。
紫外線は一年中降り注いでいるため、夏だけでなく、冬も日焼け止めを塗るようにしましょう。
敏感肌用の日焼け止めなど、できるだけ肌への負担がかからないタイプのものを選ぶことが大切です。
生活習慣の改善
ニキビの予防や改善のためには、食事や睡眠など、基本的な生活習慣の見直しが重要です。
甘いものや脂っこい食べ物は皮脂の過剰分泌を招くため、適量を摂るようにしましょう。
一方、タンパク質は肌の土台をつくり、ビタミンCやビタミンEなどはニキビの炎症を防ぐはたらきがあり、積極的に摂りたい栄養素です。
特に思春期は体が大きく成長する時期のため、必要な栄養をバランスよく体に取り入れるようにしましょう。
また睡眠不足や過度なストレスはホルモンバランスの乱れに影響していると考えられます。
お風呂に入ってリラックスする、好きな趣味に没頭する時間を作るなど、今の生活リズムを見直してみましょう。
病院のニキビ治療
ニキビの治療は、患者さま一人ひとりの症状に合わせて行います。
症状によっては、いくつかの治療を組み合わせて進めることなども考えられます。
医師と相談の上で治療を進めていきましょう。
塗り薬
アクネ菌を殺菌して増殖を抑える過酸化ベンゾイルや、毛穴のつまりを改善するアダパレンなどがあります。
過酸化ベンゾイルは赤ニキビのアクネ菌を殺菌する効果が期待できます。
またピーリング作用があり、毛穴つまりの解消が見込めます。
アダパレンは毛穴の細胞が正常に機能するように導く薬です。
毛穴の出口に角質が生成されることを抑えるはたらきがあります。
お肌の状態をみながら、肌質や症状に合わせて塗り薬を選んでいきます。
飲み薬
赤ニキビに対して、塗り薬で改善がみられない場合に併用することがあります。
ニキビの炎症を抑え、アクネ菌を殺菌する薬を処方します。
ビブラマイシン、ミノマイシン、ルリッドといった飲み薬になります。
また重症ニキビには、イソトレチノインを使用することがあります。
ビタミンA誘導体のレチノイドに属している薬で、皮脂分泌の抑制や毛穴のつまりを防ぐ強力な作用があります。
日本では保険適用外ですが、海外のガイドラインでは中症~重症ニキビにとても高い推奨度となっています。
胎児奇形のリスクが高まるため、内服中~内服後1ヶ月は避妊する必要があります。
経過とリスク
ニキビ治療の経過や効果には個人差があります。
気になる症状がみられた場合には、医師へ相談しましょう。
- 過酸化ベンゾイル…乾燥、紅斑 など
- アダパレン…乾燥、皮むけ、紅斑、かゆみ など
- イソトレチノイン…粘膜や眼の乾燥、頭痛、疲労など
- ビブラマイシン…腹痛、吐き気、食欲不振、頭痛、光線過敏症など
- ミノマイシン…めまい、食欲不振、吐き気、腹痛、発熱、むくみ など
- ルリッド…腹痛、下痢、食欲不振 など
ビブラマイシン、ミノマイシンは、妊娠中に内服すると胎児に一過性の歯牙の着色、骨の発育不全、エナメル質形成不全などが起きることがあります。
診察の流れ
一般的な診療の流れは以下の通りです。
1.問診、検査
ニキビの発生時期や生活習慣、今まで使われてきたお薬、ホームケアなどをお伺いします。
症状の程度によっては、血液検査などをすることがあります。
2.治療法のご説明
患者さまのご希望や肌の状態をもとに、治療の全体像や治療計画をご説明します。
症状に応じた薬を処方します。
3.薬の説明や注意点
処方する薬について、使用方法や注意点をご説明します。
気になることがある場合にはお気軽にご相談ください。
食生活やスキンケア方法などを指導することもあります。
料金
基本的に、思春期ニキビの治療は保険適用です。
ニキビ治療(自費)
イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日) | 30日分 16,500円 |
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思春期ニキビを治したい方は上野御徒町ファラド皮膚科へ
「気になって触ってしまう」「前髪で額のニキビを隠す」など行為はニキビを悪化させることがあります。
ニキビの発生を予防しながら、正しいスキンケアを通してニキビの改善を目指しましょう。
思春期ニキビを治療したい方は、当院へお気軽にご相談ください。
皮膚科専門医である院長が皮膚の状態に合わせて治療を行っていきます。