ほくろ

2022.11.29 ほくろ

ほくろが大きくなるのはなぜ?|原因と対処方法を解説

ほくろには先天性と後天性のものがあり、ほとんどが直径5mm以下の大きさで3~4歳頃から徐々に増えてきます。

一方で、大きくなる場合には注意を要するケースもあります。

今回は、ほくろが大きくなる原因やほくろと間違えやすい皮膚がんや腫瘍、ほくろの治療法などをご説明します。

 

ほくろとはなにか?ほくろの原因とは

ほくろとは、医学的には母斑細胞母斑または色素性母斑といいます。

褐色~茶色~黒色、形状はさまざまで、平らなものや隆起しているものもあります。

大人になった段階で直径20cmを超えるものは、巨大先天性色素性母斑と呼ばれ、将来的に悪性黒色腫が発生する可能性があります。

 

ほくろの種類とほくろが大きくなる原因

ほくろは良性のできもの(腫瘍)の一種です。

腫瘍のもととなる母斑細胞が増えて塊を作っています。

時間が経つにつれて、少しずつ母斑細胞が増えることでほくろ自体が大きくなります。

また乳幼児期に発生したほくろは、成長とともに皮膚が伸びてほくろが大きくなります。

ほくろは母斑細胞が増えている場所によって以下のように境界母斑、複合母斑、真皮内母斑に分類されます。

 

境界母斑

母斑細胞が皮膚の浅いところ(表皮と真皮の間)にあるほくろです。

ほくろは小さめで薄い特徴を持ちます。

 

複合母斑

母斑細胞が皮膚の浅いところ(表皮と真皮の間)と深いところ(真皮よりも深い部分)に集まってできたほくろです。

複合母斑は、境界母斑と真皮内母斑の混合型といわれています。

小児のほくろに多く、濃い色をしています。

 

真皮内母斑

母斑細胞が皮膚の深いところ(真皮内)に集まってできたほくろです。

成人のほくろに多く、半球型に盛り上がります。

黒っぽいことも多いですが、茶色や肌の色のこともあります。

一般的には時間の経過とともに境界母斑、複合母斑、真皮内母斑へ進行していき、次第に盛り上がって大きく見えることがあります。

また違う分類としては、Ackerman氏が提唱した分類では、以下の4種類があります。

 

Unna(ウンナ)母斑

体幹にできやすく、柔らかく盛り上がっているほくろです。

表面は凹凸があり、盛り上がり桑の実のような形状をしています。

10mm前後の大きさで比較的大きなほくろです。

 

Miescher(ミーシャ)母斑

顔や髪の毛の中によくできるドーム状のほくろです。

毛が生えていることがあります。

年齢とともに色が薄くなり、肌の色に近いものもあります。

 

Clark(クラーク)母斑

体幹や四肢にできる平らな楕円のほくろです。

中心部はやや色が濃く、外側に向かって徐々に色が薄くなっていくことが特徴です。

 

Spitz(スピッツ)母斑

幼児期や若い世代に多く、全身に発生します。

紅色や黒褐色など色はさまざまです。

このようにほくろにも分類があり、盛り上がり、大きくなりやすいタイプがあります。

その他、ほくろは物理的な刺激や紫外線などの影響も受け、新しくできたり大きくなったりすることがわかっています。

 

ほくろと間違えやすい腫瘍

 

悪性黒色腫(メラノーマ)

細胞増殖に関係している遺伝子の変異により、メラノサイトが悪性化して発症します。

ほくろが悪性黒色腫に進行することは基本的にありません。

紫外線や外傷、物理的刺激なども発症の誘因になるとされています。

 

メラニンの含有量と深さにより、褐色~茶色~黒色となりますが、まれにメラニンを産生しないメラノーマもあり赤色をしています。

進行するとリンパ節へ転移しやすく、さらに肺、脳、骨などにも遠隔転移することがあり、主に以下の4つのタイプがあります。

  • 結節型…結節のようにがん細胞の塊が少しずつ大きくなります。40~50歳代の発症が多く、さまざまな部位にみられます。
  • 表在拡大型…全身のどこでも発生する、平たく広がったタイプです。幅広い年齢で発生します。
  • 末端黒子型…手足の爪、手や足の裏などに発生しやすく、日本人に最も多い型です。
  • 悪性黒子型…不規則な形の色素斑が少しずつ大きくなり、やがて中央が膨らんで大きくなってきます。高齢者の顔面に発生しやすいです。
  • 粘膜型…4タイプには含まれませんが、数%の頻度で粘膜に生じることがあります。見つかりにくく症状が現れて初めて診断されるので進行していることが多いとされています。

 

悪性黒色腫(メラノーマ)は、下記のような特徴があります。

  • A(Asymmetry)…非対称性:不規則な形
  • B(Border)…不規則な境界:ギザギザした境界線
  • C(Color)…色:変色
  • D(Diameter)…直径:6mm以上の大きさ
  • E(Evolution)…変化:30歳以上で新しく発生、状態の変化

 

基底細胞がん

約5~10年かけて少しずつ大きくなる皮膚がんです。

比較的高齢者に多いですが、30歳代から発症する場合もあります。

基底細胞がんの表面が硬く、表面が崩れやすいことが特徴です。

下まぶたから鼻、唇の中央など、顔の中心部に多く発生するといわれています。

 

脂漏性角化症

加齢に伴い生じる良性腫瘍で老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも呼ばれます。

大きさは直径1~2cm程度のものから、5~10cm程度になるものまでさまざまです。

色は褐色〜黒褐色、手のひらと足の裏を除く全身のどこにでも発生します。

 

突出したものや少し盛り上がりがあるものなどがあり、表面はザラザラしているのが特徴です。

基本的に治療する必要はありませんが、自然消退することはなく、年齢とともに増加する傾向があります。

 

ほくろの診断方法・治療方法

悪性黒色腫、基底細胞がんなどの皮膚がんと見分けることが重要で、ダーモスコピーが有効です。

ただ時として判断が難しい場合もあり皮膚生検を行うこともあります。

ダーモスコピーで良性とされるものは経過観察で基本的に切除は必要ありませんが、患者さんの要望により切除することもあります。

比較的大きいほくろは、見た目や悪性化するリスクを考え、基本的には外科的切除を検討します。

 

切除

外科的切除には、くり抜き法と切除縫合法があります。

くり抜き法ではほくろを円形にくり抜き、軟膏やテープなどで傷を保護することで傷を治し塞ぎます。

抜糸は不要です。

4mm以下で鼻周りや目周りのほくろに適しています。

 

切除縫合法は、ほくろをメスで切り取って周囲の皮膚を引き寄せて縫合し、傷を塞ぎます。直線状に縫合してから、約1週間後に抜糸をします。

ただし、ほくろの大きさや部位によって縫合後に周囲の組織が変形などを生じる可能性がある場合は、他の場所から皮膚を移動させる皮弁や植皮を行うことがあります。

傷が自然に閉鎖するくり抜き法よりも、傷の治りが早いことが特徴です。

 

最近ではラジオ波やレーザー治療による除去が主流となっていますが、外科的切除は深い部分にある母斑細胞も除去できるため、再発のリスクが少ない方法です。

また、除去したほくろの組織を病理診断でき、良性または悪性を高い精度で診断できます。

 

ラジオ波メス(サージトロン)

ラジオ波メスは、通常の電気メスとは異なる特殊な波長でほくろやイボなどを除去する機器です。

ペン型の機器のため、針先を微調整しながら削り取ることが可能で、3~4mm程度のほくろ除去に適しています。

 

電気メスや炭酸ガスレーザーと比較して、周囲の組織への熱ダメージがより少ないことが特徴です。

通常、傷は2週間程度で治ります。

施術後は傷が治るまでテープと軟膏で保護し、自然に皮膚が回復するのを待ちます。

 

炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは、ほくろやイボなどの除去に有効とされる治療です。

炭酸ガスレーザーは水分を含むものに吸収されやすく、照射後すぐに熱エネルギーに変換されて組織を蒸散させることで皮膚が削られます。

狙ったところへ短時間で高エネルギーを照射でき、皮膚へのダメージを抑えられます。

 

また手術と比較して治りが早く、傷跡が目立ちにくいことが特徴です。

照射後は熱凝固作用で血管がすぐに固まるため、手術による切除よりも出血も抑えられます。

 

ただし手術と異なり、完全には切除できないこと可能性があることから再発のリスクがあります。

通常、傷は2週間程度で治ります。

施術後は傷が治るまでテープと軟膏で保護し、自然に皮膚が回復するのを待ちます。

 

治療の経過とリスク

ほくろの治療による経過と主なリスクには、以下のようなことが考えられます。

症状の現れ方や程度には個人差があります。

気になる症状がある場合には、医師へ相談しましょう。

 

切除

  • 施術直後に赤みが生じますが、半年~1年程度で少しずつ目立たなくなります。
  • まれに傷口からの出血や感染症、縫合することによる皮膚のゆがみが生じることがあります。
  • 施術直後は、飲酒や激しい運動は避けてください。
  • 洗顔やシャワーは翌日から可能です。
  • 傷部分のメイクは1週間後から可能です。

 

ラジオ波メス

  • 赤みや痛み、色素沈着、かさぶたが生じることがありますが、時間とともに改善します。
  • 施術後は患部が赤くなりますが、半年~1年程度で目立たなくなります。
  • 洗顔やメイクは、患部を除いて当日から可能です。
  • 妊娠中の方や光過敏症の方は、施術できない可能性があります。
  • 3ヵ月程度は、日焼け止めを塗って十分な紫外線対策をしてください。
  • 外科的切除と比較して、再発のリスクがあります。

 

炭酸ガスレーザー

  • ほくろの大きさや状態によっては、1回の治療で処置が完了しないことがあります。
  • 施術後、数日にわたって赤みや内出血が生じることがあります。
  • 洗顔やシャワーは当日から可能ですが、患部をテープで保護した状態で行ってください。
  • メイクは、患部を除いて当日から可能です。
  • 3ヵ月程度は、日焼け止めを塗って紫外線対策をしてください。
  • 外科的切除と比較して、再発のリスクがあります。

 

料金

ほくろ除去(健康保険適用) 3割負担  約7,000円〜14,000円
ほくろ除去(自費の場合) 5mm未満 11,000円
5mm以上 17,600円

 

ほくろ除去を健康保険適用で行えることがあります。

診察時にご相談下さい。

 

まとめ

ほくろは良性腫瘍のため、ほくろを作っている母斑細胞が増えてほくろ自体が大きくなることがあります。

またほくろは母斑細胞が増えている場所によって境界母斑、複合母斑、真皮内母斑に分類されるほか、Ackerman氏が提唱した分類もあり、それぞれの特徴により盛り上がって見えるほくろも存在します。

 

その他、物理的な刺激や紫外線などの影響で増えたり大きくなることがわかっています。

ほとんどのほくろは心配する必要はありませんが、まれに悪性黒色腫や基底細胞がんなどの病気が隠れている可能性があります。

気になるほくろがある方は、皮膚悪性腫瘍を専門にしていた皮膚科専門医のいる当院にお気軽にご相談ください。

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