2025.01.27 ニキビ
ニキビ治療で使われるイソトレチノインについてよくある質問と専門家による答えをまとめました

「なかなかニキビが治らない」「顔全体にニキビがあって辛い」というお悩みはありませんか。イソトレチノインは重症ニキビに効果的とされ、ニキビ治療の切り札とも称される薬です。
副作用に注意が必要ですが30年以上前から知られているニキビ治療薬で、正しく使えば難治性のニキビに非常に有効です。
ですが、副作用に注意が必要なことから、インターネット上では様々な情報や質問が出回っています。
そこで、今回はイソトレチノインの副作用、禁忌、イソトレチノインが向いている方や飲み方の注意点だけでなく、皮膚科医がイソトレチノインの副作用に関する疑問にお答えしました。
質問の内容別に回答していますので、疑問点を解決しましょう。
服用後のニキビの症状について
Q.イソトレチノイン療法は、ニキビが良くなるのではなく、悪化する可能性はありますか?服用して一時期ひどくなったという記事をインターネットで見て不安です。
A.イソトレチノインを服用後、一時期ニキビが増える・肌が赤くなる場合があり好転反応と呼ばれています。
この症状は、薬の作用によって皮膚のターンオーバーが促進されて角栓や皮脂などが表面に出てくることが要因です。
一般的に悪化する状態は肌がターンオーバーの促進に慣れてくる数週間~1カ月です。
ひどくなって気になる場合は一度受診をおすすめしています。様々なお薬による対処が可能です。
特に、服用して1~2週間は悪化する場合があるので、この時期は根気強く治療を行うことが必要です。
Q.服用したらどれくらいで効果が出ますか?
A.効果を実感するタイミングは、元々の肌の状態によっても異なりますが、1カ月~3カ月ほどで効果を実感できます。
効果が出たからといって服用をすぐに辞めてしまうと再発のリスクが高くなるため、以下の量を飲むと再発リスクが低くなるとされています。
欧米人のデータですと、トータル内服量が120-150mg/kgにいくと 内服終了後もニキビが再発しにくいとされています。
1日20 mgから始め、治療効果をみながら40 mg増量することもあります。 場合によっては一日おきに飲む飲み方もあります。
Q.ニキビが再発することはありますか?副作用を我慢しても、再発するリスクがあるなら・・・と勇気を出せずにいます。
A.内服期間と内服量が多いほど飲み終えた後の効果持続期間が伸びますので、 当院では最低4ヶ月は飲むことをおすすめしています。
効果とその後の肌質改善含め、 6~10ヶ月内服する方が多くなります。
治療後に再度ニキビが現れた場合も、受診いただきその他の治療を行うか、再度イソトレチノイン治療を行うか診察・相談の上決定しています。
気になる症状が出た場合は気軽にご相談ください。
副作用の症状について
Q.イソトレチノインを飲み始めてから、肌が乾燥してツッパリます。何か対策はありますか?
A.イソトレチノインは皮脂の分泌を強力に抑える効果があるため、肌が乾燥する場合があります。
その際は、保湿効果のあるワセリンなどで頻繁に保湿を行うことをおすすめしています。
Q.イソトレチノインの副作用はどれくらい続きますか?
A.副作用の症状が続く期間は人によって異なります。
イソトレチノインの服用が終わると副作用が無くなることが多いです。避妊さえ気をつければ大きな副作用は通常出現しません。
Q.唇がガサガサになって剝けます。これも副作用ですか?
A.イソトレチノインは皮脂の分泌を強力に抑える効果があります。
特に唇の乾燥が強く出る方が多く、頻繁に保湿することをおすすめしています。唇の乾燥は、薬の効き・吸収の良さの現れでもあります。
Q.イソトレチノインを服用してから、気分が落ち込みやすくなった気がします。これは副作用ですか?
A.ごくまれな副作用として、うつ病が起こる可能性があると言われていましたが、現在は関係がないのではないかというデータも出ています。
気になる場合は一度医師にご相談ください。
Q.副作用に脱毛と書いてあるのを見つけたのですが、実際に脱毛したケースはありますか?
A.まれに髪の毛が抜けやすくなる副作用が出る場合があります。
この脱毛はイソトレチノインによる脱毛で、「薬剤性の慢性休止期形式脱毛症」です。
服用を辞めれば治まることがほとんどです。
Q.イソトレチノインを服用したら鼻血が良く出るようになったという内容をインターネットで見かけたのですが、本当ですか?
A.副作用である肌の乾燥により、鼻の粘膜が乾燥し、刺激で血が出る場合がまれにあります。
軽度の鼻血ですので、すぐに止まるケースがほとんどです。
血液検査についての質問
Q. なぜ血液検査が必要なのですか?
A.イソトレチノインの副作用としてまれに肝機能異常や腎機能障害、中性脂肪の上昇がみられることがあります。
これらの数値は血液検査で見る必要があるため、血液検査を行う必要があります。
当院でも、定期的な血液検査を行っています。
結果を見て、イソトレチノインの服用を続けるかどうかの判断を行っています。
Q.イソトレチノインを服用していたら、血液検査はどれくらいの間隔で受けるのが良いですか?
A.治療前、治療後1カ月、その後は必要に応じて検査を行う必要があります。
その他の質問
Q.一緒に飲んではいけないお薬はありますか
A.治療中は、ビタミンAを含んだ薬やサプリメントの使用を避けてください。
テトラサイクリン系の抗生物質(ミノサイクリン、ビブラマイシンなど)との併用はできません。
診察時に、服用している薬を医師に伝えると安心です。
Q.いつ飲むのがいいですか
A.1日1回、食後に服用してください。飲む量や回数は、症状や体重などにあわせて調整を行います。
必ず医師の指示に従い、決められた用法・用量を守っての服用が必要です。
以上、イソトレチノインに関するよくある質問にお答えしました。
ここからはさらに詳しく、イソトレチノインの副作用や効果、服用における注意点をお伝えします。
イソトレチノインは正しく使えば難治性のニキビに非常に有効なため、この記事でぜひ不安な点や疑問を解決してくださいね。
イソトレチノインの副作用とは
イソトレチノインは、副作用があるため米国食品医薬品庁(FDA)からも「医師や薬剤師などの専門家による厳密な指導の下でのみ使用する必要がある」と注意喚起が行われています。1)
そのため、当院では必要に応じた採血を行い、安全に服用できるよう配慮しています。
気になる症状や下記に該当する症状があらわれた方は、すみやかに医師へ相談しましょう。
服用してはいけない人、主な副作用についてお伝えします。
●禁忌
・妊娠中の方、授乳中の方、妊娠の可能性がある方
・12歳未満の方
・ビタミンA過剰症の方
・成長期で身長が伸び続けている方
・肝機能障害、うつ病を罹患している方
・テトラサイクリン系の抗生物質を服用中の方
●副作用と注意事項
イソトレチノインの副作用として、主に以下のようなものがあげられます。
・胎児の奇形、流産、早産、死産
・うつ病、肝機能障害、視力障害
・アナフィラキシーショック、急性膵炎
・皮膚・粘膜の乾燥、めまい、嘔吐、頭痛 など
そのため、以下の男女問わず以下の注意が必要です。
- ビタミンAの摂取を控える
- イソトレチノインはビタミンAの誘導体であり、追加のビタミンA摂取は体内で過剰になり、副作用が増す可能性があります。
サプリメントやビタミンAが豊富な食品(レバー、ニンジン、ホウレンソウなど)を摂りすぎないように注意してください。
- イソトレチノインはビタミンAの誘導体であり、追加のビタミンA摂取は体内で過剰になり、副作用が増す可能性があります。
- アルコールの摂取を減らす
- イソトレチノインは肝臓に負担をかけるため、アルコールを控えることで肝機能への影響を最小限に抑えることができます。
- 十分な水分補給を心がける
- イソトレチノイン服用中は肌や唇が乾燥しやすいため、体内の水分を保つために十分な水分を摂ることが重要です。
- 紫外線への対策をする
- イソトレチノインは皮膚を敏感にするため、日焼け止めを使用し、直射日光を避けることが勧められます。
- バランスの取れた食事を心がける
- 副作用を最小限にするため、栄養バランスの良い食事を意識してください。特に肌の健康を支えるタンパク質や亜鉛を含む食品を適量摂ると良いでしょう。
- 過度な運動を控える
- 関節や筋肉の痛みが副作用として現れる場合があるため、症状がある場合は激しい運動を避けるべきです。
補足ポイント
生活習慣を整えることで、副作用を軽減しながら安全に治療を進められる可能性が高まります。これらのアドバイスは医師の指導と併せて守ると安心です。
●女性における注意点
・妊娠中の方、授乳中の方、妊娠の可能性がある方は服用できません。
・イソトレチノインの服用中や最後の服用を終えてから1ヶ月は避妊してください。
●男性における注意点
・イソトレチノインの服用中や最後の服用から1ヵ月間は避妊し、献血をお控えください。
以上の副作用に注意は必要ですが、避妊を行うことさえ気をつけていれば、通常大きな副作用が出現しません。
当院では、患者さまの症状や状態に応じて処方をしています。
何度も繰り返して治らないニキビや重症のニキビにお悩みの方は、気軽にご相談ください。
イソトレチノインの副作用を防ぐには
イソトレチノインの副作用を防ぐためには、正しい方法で服用することが大切です。
米国食品医薬品局(FDA)では、インターネットや個人輸入により入手することのないよう、注意喚起を行っています。
日本では保険適用外のお薬でアキュテイン及びそのジェネリック医薬品については、数量に関係なく、医師の処方せんまたは指示書に基づき必要な手続きを行わない限り、個人輸入することはできません。1)
医師の指示にしたがって、正しい方法で服用しましょう。
イソトレチノインを服用する際の主な注意点をご紹介します。
服用するタイミング・量
・1日1回、必ず食後に内服しましょう。投与量によっては1日2回になることがあります。
・内服を忘れた場合も、2回分を1度に服用することはお控えください。
・通常、開始時は体重あたり、0.5mg/日を目安としています。当院では20mg/日から始めることが最も多く、効果をみながら40mg/日に増やします。
治療期間
・治療期間は1クール4ヶ月~9ヶ月です。
・ほとんどの方は1クールで改善がみられることが多いです。2クール目も続けて服用したい方も、3ヵ月の休薬期間が必要です。
・治療を開始してから最初の数週間はニキビが悪化することがあります。ほとんどの場合は2ヵ月ほどで改善します。
・必要に応じて定期的に血液検査をしています。検査で異常がないこと確認し、継続できるかどうかを決定いたします。
イソトレチノインが向いている人
重症のニキビにお悩みの方
イソトレチノインは重症のニキビに対して、30年以上前から認知されている治療薬です。
皮脂腺を退縮させて皮脂分泌を抑え、アクネ菌の増殖を抑えます。
またアクネ菌を排除しようとしてはたらく過剰な免疫反応を正常化させ、ニキビを鎮めます。毛穴づまりを防ぐ効果もあります。
これまで保険診療のニキビ治療で思うような効果が得られなかった方、何度も繰り返すニキビにお悩みの方に適している治療法です。
赤ら顔・酒さ、皮脂が気になる方
酒さ・赤ら顔は、なんらかの原因により顔が赤くなっている状態のことをいいます。
ニキビのような赤いポツポツが出る場合や、毛細血管拡張がみられることもあります。
基本的な治療はスキンケアや生活習慣の改善、塗り薬などがありますが、飲み薬として抗生剤が効かない場合にイソトレチノインを処方する場合があります。
赤いポツポツやぼんやりとした赤みを抑える効果が期待できます。
イソトレチノインは医師の指示に基づいて正しい使い方をすれば、これらの症状に悩んでいる方にとって切り札ともなる薬です。
副作用や使用方法が心配な方は、一度医師にご相談ください。
イソトレチノインの効果
皮脂分泌の抑制
イソトレチノインは皮脂腺を退縮させるはたらきがあり、ニキビの原因のひとつとなっている皮脂分泌を抑えます。
皮脂の分泌量が少なくなることにより、ニキビの原因菌とされるアクネ菌が増殖・定着することができず、ニキビの炎症を鎮めることにつながります。
毛穴つまりの解消
イソトレチノインは角化異常を改善し、正常化するはたらきがあります。
皮脂が毛穴に留まることを抑え、アクネ菌の増殖が抑えられることにより、ニキビの炎症を鎮めます。
ニキビの赤みや炎症を緩和
アクネ菌の増殖が進むと、皮膚内ではアクネ菌を除去しようとはたらきかける免疫反応が生じるため、炎症が起きます。
ニキビの炎症が重度の場合は、アクネ菌を除去する免疫反応が過剰にはたらくことで起きるとされています。
イソトレチノインは免疫反応を正常化し、ニキビの炎症を鎮めます。
イソトレチノインと他の治療法の併用について
イソトレチノインを服用中に他の治療法を併用する場合には、以下の点に注意する必要があります。
- 外用薬との併用
- イソトレチノインの服用中は、肌が非常に乾燥しやすくなるため、刺激の強い外用薬(特にレチノイドや過酸化ベンゾイルを含む製品)の使用は避けるべきです。
ただし、保湿クリームや敏感肌用のスキンケア製品は、乾燥を防ぐために推奨されます。
- イソトレチノインの服用中は、肌が非常に乾燥しやすくなるため、刺激の強い外用薬(特にレチノイドや過酸化ベンゾイルを含む製品)の使用は避けるべきです。
- 光線療法やピーリングとの併用
- イソトレチノイン服用中は肌が敏感になるため、レーザー治療や光線療法、化学ピーリングなどの施術は推奨されません。
これらの治療法は、服用が終了してから数ヶ月後に再開することが安全です。
- イソトレチノイン服用中は肌が敏感になるため、レーザー治療や光線療法、化学ピーリングなどの施術は推奨されません。
- ホルモン療法との併用
- ホルモン療法(経口避妊薬など)は、女性の患者において、イソトレチノインの効果を補完しつつ、副作用である催奇形性を防ぐために併用されることがあります。
この場合、医師の指示に従い、適切なホルモン療法を選択します。
- ホルモン療法(経口避妊薬など)は、女性の患者において、イソトレチノインの効果を補完しつつ、副作用である催奇形性を防ぐために併用されることがあります。
- 抗生物質との併用
- イソトレチノインとテトラサイクリン系抗生物質を併用すると、頭蓋内圧亢進のリスクが高まるため、通常は避けられます。他の種類の抗生物質については医師に相談してください。
- スキンケアや保湿治療との併用
- イソトレチノイン治療中は、保湿やバリア機能をサポートするスキンケア製品が重要です。
皮膚科医が推奨する敏感肌向けの保湿剤や日焼け止めを併用することで、乾燥や刺激を最小限に抑えられます。
- イソトレチノイン治療中は、保湿やバリア機能をサポートするスキンケア製品が重要です。
- 漢方やサプリメントとの併用
- サプリメントや漢方薬の併用についても、必ず医師に相談してください。
特にビタミンAを含む製品は、イソトレチノインの作用を増強しすぎて副作用を引き起こす可能性があるため、避けるべきです。
- サプリメントや漢方薬の併用についても、必ず医師に相談してください。
併用時の注意点
- 他の治療法や薬剤を併用する際は、必ず医師に相談し、適切な監視のもとで行う必要があります。
- 併用によってリスクが高まる副作用を防ぐため、定期的な血液検査や診察が推奨されます。
料金
以下の治療は、自由診療(自費)となります。
※すべて税込みとなります。
イソトレチノインにご興味のある方は上野御徒町ファラド皮膚科へ
イソトレチノインは何度も繰り返すニキビや重症化したニキビの治療薬として、海外では古くから知られています。
胎児の奇形や流産、うつ病など、重大な副作用もありますが、患者さまに処方可能と判断した場合のみ処方をしております。
イソトレチノインはニキビでお悩みの方におすすめの治療薬です。当院へお気軽にご相談ください。
<イソトレチノイン「未承認医薬品等」の表示>
- 未承認医薬品等:イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
- 入手経路等:当院医師の判断の元、インドのCipla社から個人輸入しています。
- 国内の承認機器の有無:国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
- 諸外国における安全性等に係る情報:米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
参考文献
1)https://dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/drugInfo.cfm?setid=a41ceb83-aaca-4f9d-ae33-c53b1ca71e41
2)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html
