2022.12.05 円形脱毛症
円形脱毛症で病院って行くべき?|行かないリスクと病院に行くことのメリットを合わせてご紹介
「突然抜け毛が増えたけどストレスだろう」「コインのような脱毛があるけど髪で隠れるから」と病院に行くべきか迷っていませんか?
円形脱毛症が疑われる症状がある場合は、できるだけ専門の医療機関を受診することをおすすめします。
今回は円形脱毛症の症状や原因、医療機関を受診することの必要性などをわかりやすくご紹介します。
円形脱毛症の初期症状とは?
円形脱毛症の初期は自覚症状を感じにくいと言われていますが、脱毛前にチクチクする、ピリピリするなどの軽い違和感や、かゆみ、赤い斑点が見られることがあります。
わかりやすい初期症状としては、突然抜け毛が増えることです。
シャンプー時や、ブラッシングの際に抜け毛の多さに気付いたり、周囲の人から指摘されたりすることで自覚するケースが多いでしょう。
円形脱毛症の種類
円形脱毛症と聞くと「コイン状」に一部分が抜けるイメージをお持ちの方も少なくありません。
しかし、実際はさまざまな種類があり、大きく分けて以下の5種類に分類されます。
単発型
円形脱毛症のタイプでもっとも多い単発型は、丸いコイン状や、楕円形の脱毛が一つだけ発生するタイプです。
このタイプを発症する方が一番多く、症状が進行すると数が増えて多発型になる場合があります。
サイズや、発症する箇所は人によって異なります。
多発型
丸いコイン状や、楕円形の脱毛が複数発生するタイプです。
初期から複数の脱毛が認められる場合と、単発型が進行することで、多発型に移行するケースがあります。
また、複数の脱毛斑が繋がって、1つの大きな脱毛斑になるケースもあります。
適切な治療を行っても、治療には半年から 2年くらいかかる場合が多いと言われています。
全頭型
脱毛が広範囲に広がり、頭髪のほとんどが欠損するタイプです。
改善には治療が長期におよぶ場合が多いとされており、そのため治療並行してウィッグなどを使用しながら日常生活を送っている方も少なくありません。
汎発型
毛髪だけではなく、まゆげやまつげ、体毛まで、すべての毛が抜け落ちるタイプです。
全身型は、円形脱毛症の中では最も重度なタイプと考えられています。
蛇行型
側頭部から後頭部の生え際にかけて、帯状に細長く脱毛するタイプです。
治療期間は数年にわたるケースがあり、治療が難しいタイプになります。
円形脱毛症の原因は?
円形脱毛症を発症するメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、髪の毛を作り育てる過程で大切な役割を果たす毛の構造(毛包組織)に対する「自己免疫疾患」と考えられています。
自己免疫疾患とは、普段はウイルスや細菌など外からの異物と戦う免疫が、自分の体内の毛包組織を攻撃してしまい脱毛になってしまうということです。
毛の構造に関わる遺伝子の個人差を背景にして,疲労や感染症など肉体的,精神的ストレスが引き金となるとされますが、実際には明らかな誘因がないことも多いと言われています。
円形脱毛症は男女差や年齢層を問わず、幅広い人に発症する疾患ですが、円形脱毛症患者の8.4%に家族内発症があり、患者との関係が近いほど発症率が高い傾向があると言われています。
また一卵性双生児での円形脱毛症の一致率は55%と言われており、遺伝子的な背景も関係していると言われています。
また、アトピー性疾患との合併率も高く、患者やその家族にアトピー素因が確認されており、円形脱毛症とアトピー素因は関連性が高いと考えられています。
皮膚を一部採取し病理学的検査で髪の毛の構造を観察すると、毛包の周囲に免疫反応を起こすリンパ球という免疫を担当する細胞が集まっていることが確認できます。
円形脱毛症を放置するとどうなる?
円形脱毛症は自覚症状を感じにくく、気付いたとしても「そのうち自然に治るだろう」「髪の毛で隠れて目立たないから様子を見よう」と医療機関を受診せずに放置していると脱毛が急速に拡大したり、症状が進行したりすることがあります。
毛髪が抜けるという症状だけでは、円形脱毛症であると診断できません。
円形の脱毛になる病気は他にもたくさんあります。
皮膚エリテマトーデス、限局性強皮症、毛孔性扁平苔癬、トリコチロマニア(抜毛癖)、休止期性脱毛、男性型脱毛・女性型脱毛、頭部白癬や梅毒など感染症による脱毛などがあります。
円形脱毛症の診断は、脱毛の症状だけでなく、既往歴や家族歴、合併症などを踏まえ、抜け毛の抜けやすさを判断するPull test、毛や毛穴の状態を拡大して観察するダーモスコピーやトリコスコピー、場合によっては皮膚を一部取って顕微鏡の検査で観察する皮膚生検などを行って円形脱毛症の診断を行うことが重要です。
「円形脱毛症かも?」と感じたら医療機関へ受診を
円形脱毛症の治療は、日本皮膚科学会で診療ガイドラインが作成され確立されています。
飲み薬や塗り薬での治療をはじめ、免疫の働きを調節する作用を利用した紫外線治療である「エキシマライト治療」があります。
また炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを脱毛斑に直接注射する「ステロイド局所注射」もあります。
円形脱毛症の原因と考えられている自己免疫疾患を根本から治療する「局所免疫療法」という治療法もあります。
初期の円形脱毛症のほとんどは治療により改善しますので、早めの受診が肝要です。
円形脱毛症は進行すると外見上の印象も大きく左右しますし、生活の質の低下も考えられます。
「前より抜け毛が気になる」など些細なお悩みでもまずは医療機関を受診することが大切です。
円形脱毛症の相談はファラド皮膚科へ
円形脱毛症はどなたにでも起こり得る疾患です。
当院では大学病院や総合病院で一般皮膚科、小児皮膚科、皮膚外科手術、アレルギー領域の診療を行ってきた「日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医」である医師が丁寧に診療いたします。
円形脱毛症ガイドラインで推奨されているエキシマライト治療、液体窒素治療、ステロイド局注療法なども行うことが可能です。
お一人おひとりの症状に合った適切な治療法を提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。