高濃度5%トラネキサム酸ローション

はじめに|肝斑・赤ら顔・色素沈着に「外用トラネキサム酸」という選択
シミや肝斑、なかなか引かない赤ら顔やニキビ跡の赤みにお悩みの方は少なくありません。
これらの多くは、単なる色素沈着ではなく「炎症」が関与する皮膚トラブルです。
当院では、こうした炎症性の肌トラブルに対して、医学的根拠に基づいた治療の一つとして高濃度5%トラネキサム酸ローションをご提案しています。
市販の美白化粧品とは異なる、医療機関ならではのアプローチについて解説します。
トラネキサム酸の効果|肝斑・赤みに効く3つのメカニズム
トラネキサム酸は、止血剤・抗炎症薬として長年医療で使用されてきた成分であり、近年は皮膚領域でも有用性が報告されています。
1. 抗炎症作用と肌バリア機能の回復
紫外線や摩擦などの外的刺激を受けると、角化細胞(ケラチノサイト)から炎症を誘発する物質(プロスタグランジン等)が放出されます。トラネキサム酸はこのプロセスを初期段階で抑えます。肌バリア機能を回復・向上させることで、外部刺激に強く、トラブルの起きにくい健やかな肌基盤を作ります。
2. メラニン生成の「スイッチ」をブロック(肝斑への効果)
刺激を受けた肌内部では「プラスミン」という酵素が活性化し、メラノサイト(色素細胞)に「メラニンを作れ」という指令を出します。トラネキサム酸はこのプラスミンの働きを阻害(抗プラスミン作用)し、シミ・肝斑の元となるメラニンの過剰生成を根本から防ぎます。
3. 異常な血管新生の抑制(赤ら顔への効果)
近年では、トラネキサム酸が血管内皮増殖因子(VEGF)などの発現を抑制することが示唆されています。これにより、赤ら顔(酒さや毛細血管拡張)の原因となる毛細血管の広がりや増殖を抑え、肌の赤みを引かせる効果が期待できます。
なぜ「5%」の高濃度なのか|市販との違い
一般的な市販の薬用化粧品では、トラネキサム酸濃度は1〜2%程度が主流です。
一方、臨床研究ではより高濃度での有効性が報告されています。
当院では
有効性と安全性のバランスを考慮し、5%濃度で調剤しています。
論文で報告された5%トラネキサム酸外用の効果(一例)
- 肝斑の重症度指標(MASI)の改善
- 酒さ患者における赤みや自覚症状の改善
- ニキビ跡の赤み(炎症後紅斑)の軽減
- 炎症後色素沈着の軽減
使用方法
- 朝・夜の洗顔後に使用
- 適量を顔全体または気になる部位に塗布
継続使用が重要です
副作用・注意点
- 赤み、刺激感、かゆみ、接触皮膚炎などが生じる場合があります
- 異常が出た場合は使用を中止しご相談ください
保管方法
- 直射日光・高温を避けて保管
- 開封後はなるべく早めに使用
料金
| 高濃度5%トラネキサム酸ローション | 30ml 3,300円 |
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※料金はすべて税込みです
よくある質問
- 高濃度トラネキサム酸ローションはどれくらいで効果が出ますか?
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効果の実感には個人差がありますが、赤みや肌の炎症の落ち着きについては4週間程度で変化を感じる方が多くいらっしゃいます。肝斑や炎症後色素沈着(シミ・ニキビ跡)については、1〜3ヶ月程度の継続使用で改善が期待されます。慢性的な炎症を抑える治療の一環であるため、焦らず継続して使用することが重要です。
- 市販のトラネキサム酸化粧品(医薬部外品)と何が違いますか?
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主な違いは「成分濃度」と「処方設計」です。一般的な市販品はトラネキサム酸濃度が1〜2%程度ですが、当院の院内製剤は治療エビデンスに基づいた「5%」という高濃度で調剤しています。また、デリケートな肌の方でも毎日使えるよう、アルコールや香料を排除したシンプルかつ低刺激な設計にこだわっています。
- 肝斑には内服薬と外用、どちらが効果的ですか?
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肝斑の治療では、内服と外用を併用することで高い相乗効果が期待できます。外用(ローション)は、シミや赤みの気になる部位へダイレクトに作用し、副作用のリスクを最小限に抑えられる点がメリットです。血栓症のリスクや体質により内服薬が服用できない方や、全身への副作用(吐き気など)が心配な方には、まず高濃度の外用剤をおすすめしています。
- 敏感肌や酒さ(しゅさ)でも使用できますか?
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はい、ご使用いただけます。本製剤は酒さや敏感肌のバリア機能修復を目的とした低刺激設計ですが、すべての方に刺激が起きないわけではありません。特に赤みが強い時期は、まずは狭い範囲から少量ずつ開始し、肌の反応を確認しながら全体へ広げていく方法を推奨しています。診察時に適切な導入方法をご提案します。
- 他のスキンケアや美容施術(レーザー等)と併用できますか?
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基本的に併用可能ですが、レーザー治療後やピーリング後などは一時的に刺激を感じやすくなる場合があります。施術内容によって適切な使用タイミングが異なるため、診察時にご相談ください。
まとめ|肝斑・赤ら顔は“炎症コントロール”が鍵
高濃度トラネキサム酸ローションは、単なるスキンケアではなく、炎症制御に基づいた治療アプローチです。
肝斑・赤ら顔・色素沈着でお悩みの方は、まずは診察にて肌状態をご相談ください。
【トラネキサム酸ローション 未承認医薬品等に関する注意事項】
本製品は、当院の医師の責任において調剤される「院内製剤(未承認医薬品等)」です。医療広告ガイドラインに基づき、以下の情報を公開いたします。
- 未承認医薬品等であることの明示:本剤は、医薬品医療機器等法(薬機法)における日本国内の承認を得ていない院内製剤です。
- 入手経路等の明示:当院において、医薬品原料(トラネキサム酸等)を使用して医師の管理のもと調剤しています。
- 国内の承認医薬品等の有無:国内では、トラネキサム酸を主成分とする承認医薬品として内服薬や外用剤、また医薬部外品(薬用化粧品)としての市販薬が流通しています。しかし、本製品のような「5%という高濃度」の外用ローションとして承認された国内医薬品は存在しません。
- 諸外国における安全性等に係る情報の明示:トラネキサム酸外用剤は、海外においても肝斑や炎症後色素沈着の治療に広く用いられており、重大な副作用の報告は少ないとされています。ただし、体質により赤みや刺激感が生じる可能性があり、万が一重篤な副作用が出た場合、国の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となる点にご注意ください。
※本剤の処方には、医師による診察が必要です。
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- 美容医療診療指針 (令和3年度改訂版) ※PDFファイルが開きます
