くすみ(茶色み・赤み・黄ぐすみ)|原因と治療
「肌が暗く見える」「疲れて見える」「透明感がない」「ファンデーションを塗っても顔色が冴えない」と感じる場合、くすみが関係していることがあります。
くすみという言葉は医学的に一つの病名ではありません。実際には、シミや肝斑による茶色み、赤ら顔やニキビ跡による赤み、糖化や酸化による黄ぐすみなど、複数の原因が重なって肌が暗く見えている状態です。
そのため、くすみを改善するには、単に美白ケアを行うだけでは不十分なことがあります。大切なのは、くすみの原因を見極め、茶色み・赤み・黄ぐすみを同時にケアすることです。
本記事では、くすみの原因を3つに分け、それぞれに合ったスキンケアや美容皮膚科治療について、皮膚科専門医の視点からわかりやすく解説します。
1. 肌の茶色み|シミ・肝斑・色素沈着によるくすみ
肌の茶色みは、主にメラニンが増えることによって起こります。
メラニンは本来、紫外線などの刺激から肌を守るために作られる色素です。しかし、紫外線、摩擦、炎症、ホルモンバランス、ニキビ跡、かぶれなどによってメラニンが過剰に作られると、シミ・ 肝斑 ・色素沈着 として残り、肌全体が茶色っぽくくすんで見えることがあります。
特に、頬や額、口まわりに薄い茶色みが広がっている場合は、肝斑や炎症後色素沈着が関係していることもあります。
茶色みのくすみに関係する症状
- シミ
- 肝斑
- 炎症後色素沈着
- ニキビ跡の色素沈着
- 摩擦による色素沈着
- レーザー後の色素沈着
茶色みのくすみに対するケア
茶色みのくすみでは、メラニンの産生を抑えるケアと、たまったメラニンを排出しやすくするケアの両方が大切です。
シミ・肝斑・炎症後色素沈着などは、いずれもメラニンが関係して肌が茶色っぽく見える状態です。ホームケアや外用薬と、美容皮膚科治療を肌状態に合わせて組み合わせます。
ホームケア・外用成分によるケア
美容施術によるケア
ただし、レチノール、トレチノイン、乳酸、グリコール酸、ピーリング治療は、使い方によって赤み・乾燥・ヒリつきが出ることがあります。
特に肝斑や敏感肌、赤みを伴う肌では、刺激によって炎症後色素沈着が悪化することもあるため、「メラニン生成を抑える」「メラニンを排出する」「炎症を起こさない」という3つの視点でケアを設計することが大切です。
2. 肌の赤み|赤ら顔・ニキビ跡によるくすみ
肌の赤みも、くすみの大きな原因です。
赤みがあると「赤ら顔」として自覚されることもありますが、軽い赤みの場合は、赤みだけでなく、肌が暗く見える、赤黒く見える、透明感がないと感じることがあります。
肌の赤みは、主に血管が増える・拡張する・皮膚表面から透けて見えることによって目立ちます。代表的には、赤ら顔・酒さ、毛細血管拡張症、ニキビ跡の赤み、ニキビの炎症などが関係します。
また、レチノールやピーリング成分などの刺激が肌に合っていない場合、赤みや乾燥が続き、くすみ感が強く見えることもあります。まれに、かぶれや湿疹などの炎症が背景にあることもあるため、赤みが長引く場合は原因を見極めることが大切です。
赤みのくすみに関係する症状
- 赤ら顔
- 酒さ
- 毛細血管拡張症
- ニキビ跡の赤み
- ニキビの炎症
- スキンケアによる刺激・乾燥
- かぶれ・湿疹などの炎症
赤みのくすみに対するケア
赤みのくすみでは、血管・炎症・バリア機能を整えることが重要です。
ホームケア・外用成分によるケア
美容皮膚科治療によるケア
酒さや毛細血管拡張による赤みには、Vビームなどの血管に反応するレーザー治療が選択肢になります。ニキビ跡の赤みや炎症を伴う赤みには、ポテンツァ、ブレッシング、IPL(フォトシルクLUXEA)などを組み合わせることもあります。
赤ら顔・酒さやニキビ跡など、赤みに対するVビーム治療の解説、治療症例、よくある質問について詳しくはVビームのページをご参照ください。
一方で、赤みがある肌にレチノール、トレチノイン、グリコール酸、乳酸、ピーリング成分を重ねすぎると、赤み・乾燥・ヒリつきが悪化することがあります。
そのため、赤みのくすみでは、「血管性の赤みを整える」「炎症を抑える」「バリア機能を守る」という3つの視点でケアを考えることが大切です。
3. 肌の黄ぐすみ|糖化・カルボニル化によるくすみ
肌の黄ぐすみは、加齢や紫外線、酸化ストレス、生活習慣などが関係して、肌が黄色っぽく見える状態です。
黄ぐすみの原因として重要なのが、糖化とカルボニル化です。

糖化とは
糖化は、体内で使いきれなかった糖分が、コラーゲンやエラスチンなどのタンパク質に結びつく反応です。
糖化によってAGEs、つまり終末糖化産物が蓄積すると、肌のハリや弾力が低下し、黄色みやくすみ、老化サインに関係すると考えられています。糖化によるAGEsは、皮膚の炎症、老化、黄色みなどに関与することが報告されています。
一般向けには、糖化は通称「肌のコゲ」と表現されることがあります。
カルボニル化とは
カルボニル化は、酸化した脂質などから生じる物質が、肌のタンパク質と結びつく反応です。
こちらは通称「肌のサビ」と表現されることがあります。
皮膚のカルボニル化、とくに脂質酸化由来のMDAによる真皮のカルボニル化は、真皮の黄色みや光老化による黄ぐすみに関与する可能性が報告されています。
黄ぐすみは、シミのように境界がはっきり出るというより、顔全体がなんとなく黄色っぽい、疲れて見える、透明感が落ちた、という形で目立つことが多いです。
黄ぐすみに対するケア
黄ぐすみでは、抗糖化・抗酸化ケアが重要です。
代表的な成分・生活習慣としては、以下があります。
黄ぐすみは、外用だけで短期間に大きく改善するというより、紫外線対策・抗酸化ケア・生活習慣の見直しを継続することが大切です。
特に、紫外線や喫煙、睡眠不足、食生活の乱れは酸化ストレスを増やし、肌の老化やくすみに関係します。そのため、スキンケアだけでなく、日常生活の見直しも重要です。
また、黄ぐすみには光老化や肌質の低下が関係していることもあります。肌の状態に応じて、ピーリング、ケアシスS、IPL(フォトシルクLUXEA)、美肌治療・肌質改善治療 などを組み合わせて、肌全体の透明感やハリ・ツヤを整えることもあります。
紫外線は茶色み・赤み・黄ぐすみのすべてを悪化させます
くすみ治療で最も重要な共通対策が、紫外線対策です。
紫外線はメラニン産生を促し、シミ・肝斑・色素沈着などの茶色みを悪化させるだけでなく、肌の炎症や酸化ストレスにも関係します。そのため、赤みや黄ぐすみを含め、どのタイプのくすみでも日焼け止めを習慣にすることが大切です。
特に肝斑や色素沈着がある方では、紫外線だけでなく可視光線の影響も考慮し、必要に応じて色付きの日焼け止めやファンデーションを組み合わせるとよいでしょう。
くすみのタイプ別・治療選びの早見表
ここまで解説した内容を、くすみのタイプ別に整理すると以下のようになります。実際には複数の原因が重なっていることも多いため、肌状態に合わせて治療を組み合わせます。
くすみ治療でよくある失敗
1. 美白ケアだけを続けている
くすみというと、シミ・色素沈着などのメラニンをイメージしがちです。
しかし、赤ら顔、毛細血管拡張、ニキビ跡の赤み、肌荒れ、黄ぐすみなどが重なっている場合、美白ケアだけでは肌全体のくすみ感が残ることがあります。
美白ケアを続けても改善しない場合は、赤み・黄ぐすみ・肌荒れが隠れていないかを確認することが大切です。
2. 肝斑をシミとして強く治療してしまう
肝斑は、頬や額、口まわりなどに左右対称に出やすく、刺激で悪化しやすい茶色みです。
通常のシミと同じ感覚で、強いレーザー治療や摩擦、刺激の強いスキンケアを続けると、かえって濃くなることがあります。
茶色みのくすみでは、シミ・肝斑・炎症後色素沈着の見極めが重要です。
肝斑が疑われる場合は、トラネキサム酸や低刺激の美白ケアなどを組み合わせ、刺激を抑えながら治療を考えることが大切です。
3. レチノールやピーリングを重ねすぎる
レチノール、トレチノイン、グリコール酸、乳酸などは、正しく使えばくすみやざらつきの改善に役立つことがあります。
一方で、使用頻度や濃度が肌に合っていないと、赤み・乾燥・皮むけ・ヒリつきが出ることがあります。
その炎症が続くと、炎症後色素沈着や赤みの原因となり、結果的に肌がさらにくすんで見えることがあります。
特に肝斑、赤ら顔、敏感肌では、攻めのケアを重ねすぎず、バリア機能を守りながら治療することが大切です。
よくある質問
- くすみの原因は何ですか?
-
くすみの原因は、主にシミ・肝斑・色素沈着による茶色み、赤ら顔・毛細血管拡張・ニキビ跡による赤み、糖化や酸化による黄ぐすみに分けられます。複数の原因が重なることも多いため、原因を見極めて治療を選ぶことが大切です。
- くすみとシミは違いますか?
-
シミは、比較的境界がはっきりした茶色い色素沈着を指すことが多いです。
一方で、くすみは、肌が暗く見える、透明感が低下する、疲れて見えるなど、より広い状態を指します。シミ・肝斑・色素沈着だけでなく、赤みや黄ぐすみが重なることで、肌全体がくすんで見えることもあります。
- 美白ケアをしてもくすみが改善しないのはなぜですか?
-
美白ケアは、シミ・肝斑・色素沈着など、メラニンによる茶色みには役立つことがあります。
しかし、くすみの原因が赤ら顔・毛細血管拡張・ニキビ跡の赤み・黄ぐすみにある場合、美白ケアだけでは十分に改善しないことがあります。美白ケアを続けても変化が乏しい場合は、メラニンだけでなく、赤み・炎症・糖化・酸化などが関係していないか確認することが大切です。
- 肌が赤いのにくすんで見えることはありますか?
-
あります。
赤みがある肌は、顔全体が赤黒く見えたり、色ムラが出たりして、透明感が低下して見えることがあります。赤ら顔、酒さ、毛細血管拡張症、ニキビ跡の赤みなどが関係します。血管性の赤みによってくすんで見える場合には、Vビームなどの治療が選択肢になることがあります。
- 肝斑によるくすみはありますか?
-
あります。
肝斑は、頬や額、口まわりなどに左右対称に出やすい茶色みで、顔全体がくすんで見える原因になることがあります。肝斑は摩擦や紫外線、刺激の強いスキンケア、強すぎるレーザー治療などで悪化することがあります。シミと肝斑では治療方針が異なるため、茶色みのくすみでは、シミ・肝斑・炎症後色素沈着の見極めが重要です。
- 黄ぐすみの原因は何ですか?
-
黄ぐすみには、糖化・カルボニル化・酸化ストレス・紫外線ダメージ・生活習慣などが関係します。
糖化は、余分な糖がコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質に結びつく反応です。カルボニル化は、酸化した脂質などが肌のタンパク質と結びつく反応です。
黄ぐすみは、美白ケアだけで短期間に改善するというより、紫外線対策、抗酸化ケア、食生活・睡眠・禁煙などを含めて継続的に整えることが大切です。
- くすみは皮膚科・美容皮膚科で相談できますか?
-
はい、相談できます。
くすみは、シミ・肝斑・色素沈着、赤ら顔、ニキビ跡、毛細血管拡張、黄ぐすみなど、複数の原因が関係していることがあります。皮膚科・美容皮膚科では、肌の状態を確認したうえで、ホームケア、外用薬、美容皮膚科治療、紫外線対策、生活習慣の見直しなどを組み合わせて治療を検討します。
まとめ
くすみは、単なる「美白不足」ではなく、シミ・肝斑・色素沈着による茶色み、赤ら顔やニキビ跡による赤み、糖化・酸化による黄ぐすみが重なって見えることがあります。
そのため、くすみを改善するには、メラニンケアだけでなく、赤みの治療、紫外線対策、スキンケアの見直しを含めて、原因に合わせたケアを行うことが大切です。
上野御徒町ファラド皮膚科では、肌の状態を診察したうえで、ホームケア・外用薬・美容皮膚科治療を組み合わせ、くすみの原因に合わせた治療をご提案しています。
美白ケアを続けても改善しにくいくすみ、赤みや色ムラを伴うくすみ、黄色っぽく疲れて見える肌でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
【参考文献】
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- McKesey J, Tovar-Garza A, Pandya AG. Melasma Treatment: An Evidence-Based Review. Am J Clin Dermatol. 2020;21(2):173-225. PMID: 31802394.
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記事制作監修
院長 上條 広章(かみじょう ひろあき)
資格
- 東京大学医学部卒業
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 医学博士(東京大学大学院医学系研究科)など
所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会 など
※詳しくは医師紹介のページをご覧ください。



