ニキビの原因は場所で違う?顎・おでこ・頬の特徴を医学的根拠から解説

- 「生理前になると顎ニキビが増える」
- 「夏になるとおでこにニキビができやすい」
- 「頬のニキビだけなかなか治らない」
このように、ニキビがいつも同じ場所にできると、「場所によって原因が違うのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。
ニキビができる基本的な仕組みは、顎・おでこ・頬など、どの部位でも共通しています。
一方で、皮脂分泌、ホルモン、気温や湿度、摩擦、スキンケアなどの影響は部位によって異なるため、ニキビには場所ごとの特徴があります。
場所だけで原因を決めることはできませんが、部位によって悪化しやすい要因には違いがあります。
この記事では、顎・おでこ・頬を中心に、ニキビができる場所ごとの特徴と医学的に考えられている原因を解説します。
顎・フェイスラインのニキビの原因は?

顎やフェイスラインは、特に成人女性でニキビが気になりやすい場所です。
実際の診療では、
「生理前になると顎に大きなニキビができる」
「毎月同じような時期にフェイスラインが悪化する」
という方をよく認めます。
生理前に悪化する顎ニキビとホルモン
成人女性では、月経前にニキビが悪化する方が多いことが研究でも確認されています。
成人女性ニキビ208例を調べた研究では72.6%が月経前悪化を認め、月経周期を追跡した研究でも、月経前の時期に炎症性ニキビが増加しています。
そのため、
「生理前になると顎やフェイスラインにニキビが増える」
という場合には、ホルモンが関係している可能性があります。
ただし、
顎ニキビ=ホルモン異常
という意味ではありません。
成人女性ニキビでは血液中の男性ホルモンが正常な方も多く、ホルモンの量だけでなく、皮脂腺や毛包のホルモンに対する感受性なども関係すると考えられています。また、大人ニキビが必ず顎だけにできるわけではありません。
さらに、共焦点顕微鏡を用いた成人女性ニキビの研究では、下顎部ではおでこに比べて毛包の過角化や角栓(keratin plug)、炎症が多いことが報告されています。
このことから、顎・フェイスラインのニキビでは、ホルモンの影響だけでなく、毛穴が詰まりやすい局所的な特徴や炎症も関係している可能性があります。
摩擦や髭剃りも悪化因子になる
顎・フェイスラインは、
- マスク
- 髭剃り
- 頬杖
- 手で触る習慣
などの刺激を受けやすい部位です。
こうした摩擦や閉塞が、もともと存在する毛穴詰まりや炎症を悪化させることがあります。
おでこのニキビの原因は?

おでこは、特に思春期にニキビが目立ちやすい代表的な部位です。
おでこは皮脂が多く、思春期にニキビができやすい
おでこから鼻にかけてのTゾーンは、顔の中でも皮脂分泌が多い部位です。
思春期にはアンドロゲンなどの影響で皮脂腺が発達し、皮脂分泌が増加します。
思春期前後を調べた研究でも、ニキビはおでこの中央・鼻・顎など顔の中央部に多く、思春期の進行とともに増加することが報告されています。
そのため、おでこでは特に思春期に、白ニキビや黒ニキビ、細かな赤ニキビなどが目立ちやすくなります。
夏におでこニキビが増える?高温多湿との関係
ニキビは季節によって悪化する場合があります。
高温多湿の地域で行われた研究では、夏にニキビが悪化する患者さんが多く、気温や湿度との関連も報告されています。
高温多湿になると、皮脂分泌や発汗が増え、蒸れや閉塞も加わることで、ニキビが悪化する可能性があります。
ただし、すべての方が夏に悪化するわけではなく、個人差や地域差があります。
前髪や整髪料の影響
おでこは、
- 前髪
- ヘアオイル
- ワックス
- 帽子やヘルメット
などが触れやすい場所です。
特に生え際にニキビが集中する場合には、こうした接触や閉塞も確認するとよいでしょう。
頬ニキビの原因は?

頬は成人のニキビでも非常によくみられる部位です。
成人女性ニキビ208例を調べた研究では87%で両頬にニキビが認められ、別の研究でも頬が最も多い罹患部位でした。
頬ニキビにも皮脂は関係する
頬はおでこほど皮脂が多くありませんが、ニキビ患者では頬を含めた顔全体の皮脂量が高いことが報告されています。
また、頬では皮脂量と閉鎖面皰(白ニキビ)との関連を示した研究もあります。
ただし、皮脂量だけでニキビの数が決まるわけではありません。
皮脂・毛穴詰まり・炎症などが重なって頬ニキビが形成されます。
生理前に頬ニキビが悪化することもある
成人女性ニキビでは月経前悪化が多くみられるため、頬のニキビでもホルモンの影響を受けることがあります。
ただし、「生理前には頬だけが悪化する」という意味ではなく、顔面全体のニキビが月経周期の影響を受けると考える方が適切です。
頬ニキビは原因が1つではない
頬は、クレンジングや洗顔、マスク、頬杖、化粧品などの影響を受けやすい場所です。成人ニキビの研究でも、化粧品によって悪化すると感じる患者さんは少なくありません。
特に、
- 強くこする
- スクラブを頻繁に使う
- 毛穴を無理に押し出す
- 肌に合わない化粧品を使い続ける
といったスキンケアは、ニキビを悪化させることがあります。
その一方で、ニキビ肌だからといって保湿をすべてやめたり、皮脂を徹底的に取り除いたりする必要はありません。
頬の赤いブツブツは酒さの場合も
頬に持続する赤みやほてり、ヒリヒリ感があり、その中に赤い丘疹や膿疱がみられる場合には、ニキビではなく丘疹膿疱型酒さなどの可能性もあります。
赤ら顔・酒さの原因やニキビとの違い、治療法については、酒さ(赤ら顔)治療のページで詳しく解説しています。
どの場所のニキビにも共通する4つの原因
場所による特徴はありますが、ニキビができる基本的な仕組みは共通しています。
特に重要なのが、
① 皮脂
② 毛穴の角化異常・毛穴詰まり
③ C. acnesを含む毛穴の環境
④ 炎症
です。
①皮脂
皮脂はニキビの重要な因子ですが、皮脂が多いだけで発症するわけではなく、毛穴の角化異常や炎症などが重なってニキビが形成されます。
皮脂やテカリが多くなる原因については皮脂・テカリ治療のページで詳しく解説しています。
②毛穴の角化異常と微小面皰
ニキビでは、毛穴の出口付近の角化が乱れ、角質が毛穴の内部にたまりやすくなります。
その結果、肉眼ではほとんど見えない微小面皰(microcomedone)が形成され、白ニキビや黒ニキビ、さらに炎症性ニキビへ進展します。
つまりニキビは、赤く腫れたときに突然始まるのではなく、目に見えない毛穴詰まりの段階から始まっています。
③C. acnesと毛穴の環境
いわゆるアクネ菌は、現在ではCutibacterium acnes(C. acnes)と呼ばれます。
C. acnesは健康な皮膚にも存在する常在菌のため、「アクネ菌がいるからニキビになる」「アクネ菌をすべてなくせば治る」という単純なものではありません。
現在は、菌株の違い、毛穴内部の環境、皮脂、皮膚常在菌のバランス、免疫反応などの相互作用がニキビの病態に関係すると考えられています。
④炎症
ニキビでは、見た目に赤くなるより早い段階から炎症反応が関係していると考えられています。
そのため、ニキビは単なる毛穴詰まりではなく、毛包脂腺系に生じる慢性炎症性疾患として理解することが重要です。
大人ニキビと思春期ニキビでは原因が違う?
思春期ニキビと大人ニキビの基本病態は同じですが、悪化因子の比重が異なります。
思春期ニキビ
皮脂分泌の増加が目立ち、おでこ・鼻などTゾーンに面皰が多くなることがあります。
大人ニキビ
月経周期、ホルモン、化粧品、摩擦、生活環境など複数の因子が影響します。
顎やフェイスラインに炎症性ニキビが目立つ方もいますが、成人女性では頬を含め顔全体にニキビがみられることも多く、「大人ニキビ=顎だけ」ではありません。
ニキビの場所と内臓は関係する?

「おでこ=胃腸」
「頬=肺」
「顎=子宮・卵巣」
など、ニキビの場所と特定の内臓を対応させる医学的根拠は確立していません。
一方で、ホルモンなど全身の状態がニキビに影響することはあります。
例えば、
「顎だから卵巣が悪い」のではなく、ホルモン変化によって顎を含むニキビが悪化することがある
という理解が適切です。
ニキビは「場所」だけでなく「いつ悪化するか」も重要
ニキビ診療では、できている場所だけではなく、
- 生理前に悪化するか
- 夏に悪化するか
- 思春期になって皮脂が増えたか
- スキンケアを変えて悪化したか
- 摩擦や閉塞がないか
- 同じ場所に繰り返すか
といった悪化するタイミングや背景を確認することも重要です。
例えば、
生理前に顎・頬が悪化する
→ ホルモンの影響を考える
思春期におでこ・鼻が悪化する
→ 皮脂分泌の影響を考える
スキンケア変更後に頬が悪化する
→ 化粧品や摩擦の影響を確認する
というように考えると、場所だけを見るよりもニキビの背景を捉えやすくなります。
当院では、ニキビの場所だけでなく、面皰・炎症・皮脂量、月経との関係、スキンケア、ニキビ跡の有無などを確認しながら治療方法を検討しています。
ニキビの治療方法や使用する薬剤の詳細は、ニキビ治療のページで詳しく解説しています。
また、2026年最新のニキビ治療に使用する外用薬について、コラム「皮膚科専門医が解説|ニキビ治療に使う最新の外用薬一覧【2026年版】」もぜひご覧ください。
関連するニキビページ
ニキビの治療方法や、ニキビに似た別の皮膚疾患、ニキビ跡について知りたい方は、以下のページもあわせてご覧ください。
ニキビの原因についてよくある質問
- 顎ニキビはホルモンが原因ですか?
-
ホルモンの影響が関係していることはあります。特に成人女性では月経前にニキビが悪化する方が多く、研究でも確認されています。
ただし、顎ニキビがある=ホルモン異常があるという意味ではありません。
- 生理前に顎や頬のニキビが増えるのはなぜですか?
-
月経周期に伴うホルモン環境の変化が、皮脂腺や毛包、炎症反応などに影響すると考えられています。
実際、月経周期を追跡した研究でも、月経前に炎症性ニキビが増加することが報告されています。
- おでこニキビは思春期に多いですか?
-
思春期には皮脂腺が発達して皮脂分泌が増えるため、おでこや鼻などTゾーンにニキビが目立ちやすくなります。
思春期初期の研究でも、おでこ・鼻・顎など顔の中央部にニキビが多いことが報告されています。
- 夏になるとニキビが増えることはありますか?
-
あります。高温多湿の環境では、皮脂分泌や発汗、蒸れなどが重なり、ニキビが悪化することがあります。
ただし、すべての方が夏に悪化するわけではなく、個人差があります。
- 頬ニキビはスキンケアが原因ですか?
-
スキンケアだけが原因ではありません。頬ニキビには皮脂、毛穴の角化異常、ホルモン、炎症など複数の因子が関係します。
一方、強いクレンジングや摩擦、肌に合わない化粧品などが悪化因子になることはあります。
- 腸内環境が悪いとニキビができますか?
-
腸内細菌叢の変化が、免疫や炎症、代謝などを介してニキビに影響する可能性が研究されています。
ただし現時点では、「腸内環境が悪いことが直接ニキビの原因になる」とまでは証明されていません。
プロバイオティクスで改善を示した研究もありますが、まだ標準治療として確立している段階ではなく、腸内環境はニキビに影響する可能性のある要因の一つと考えるのが適切です。
まとめ|ニキビは場所だけでなく原因を見極めることが大切
ニキビは、できる場所によって悪化しやすい要因に違いがありますが、皮脂、毛穴詰まり、C. acnesを含む毛穴の環境、炎症といった基本的な病態は共通しています。
そのため、「顎だからホルモン」「おでこだから皮脂」と一つの原因に決めるのではなく、どこにできるのか、いつ悪化するのか、どのようなニキビなのかを合わせて考えることが大切です。
当院では、ニキビの部位だけでなく、面皰や炎症、皮脂量、月経との関係、スキンケア、ニキビ跡の有無などを確認しながら、一人ひとりの状態に合わせて治療方法を検討しています。
ニキビを繰り返している方や、市販薬・スキンケアだけでは改善しない方、ニキビ跡をできるだけ残したくない方は、上野御徒町ファラド皮膚科にご相談ください。
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この記事を書いた人
上野御徒町ファラド皮膚科 院長
上條 広章(かみじょう ひろあき)
- 資格
- 医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本美容外科学会(JSAS)認定 美容外科専門医
- 日本レーザー医学会専門医
- 所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本美容外科学会(JSAS)
- 日本美容皮膚科学会
- 日本レーザー医学会
- 受賞歴
- 第7回日本皮膚悪性腫瘍学会賞(石原・池田賞)
- 第20回マルホ研究賞
- Poster Prize, 47th Annual Meeting of European Society for Dermatological Research
略歴
| 2012年 | 東京大学医学部医学科 卒業 |
|---|---|
| 2014年 | 藤枝市立総合病院 初期研修 修了 |
| 2014年 | 東京警察病院 皮膚科 |
| 2016年 | 東京大学医学部附属病院 皮膚科 |
| 2019年 | 東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教 アトピー性皮膚炎専門外来、皮膚悪性腫瘍専門外来、レーザー専門外来担当 |
| 2021年 | 都内大手美容外科 入職 |
| 2022年 | 都内大手美容外科 本院 部長 美容皮膚科治療監修を担当 |
| 2022年 | 上野御徒町ファラド皮膚科 開院 |



