イソトレチノインとは(概要)
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体(レチノイド)の内服薬で、重症〜中等症ニキビに対して非常に高い効果を持つ治療薬です(参考文献1)。
海外では標準治療として広く使用されていますが、日本では厚生労働省未承認薬のため保険適用外となります。
ニキビ治療はまず、ベピオ・エピデュオ・ディフェリンなどの保険適用薬による治療を基本とします。これらの治療で十分な改善が得られない場合、次の治療選択肢としてイソトレチノイン内服療法を検討します。
特に以下のような方に適しています。
- 繰り返すニキビ
- フェイスラインの難治性ニキビ
- しこりニキビ(嚢胞性ざ瘡)
- ニキビ跡を残しやすいタイプ
商品名(すべて同一成分)
- アクネトレント
- アキュテイン
- ロアキュタン
- イソトロイン
※いずれも有効成分はイソトレチノインです。
当院のニキビやニキビ跡についてはニキビのページ、ニキビ跡のページもご参照ください。
効果・作用機序
イソトレチノインはニキビの原因に多方面から作用するお薬です。
主な作用
- 皮脂分泌の強力な抑制(皮脂腺の縮小)
- 毛穴の角化異常の正常化(毛穴づまり・コメド形成の抑制)
- アクネ菌の増殖環境の抑制
- 炎症反応の抑制
「皮脂・毛穴・菌・炎症」すべてに作用する唯一の内服薬であり、従来治療で難しいニキビにも効果を発揮します。
また抗炎症があるため、ニキビ跡の赤み(炎症後紅斑)や酒さ・赤ら顔にも有効です。さらに皮脂抑制効果が高いため、皮脂や毛穴詰まり・黒ずみ・角栓が気になる方、脂性肌の方、脂漏性皮膚炎、脂腺増殖症にも効果が期待できます。
効果はいつから出る?
- 1ヶ月後:皮脂減少を実感
- 2〜3ヶ月後:ニキビ改善を実感する方が増加
- 3〜6ヶ月後:炎症性ニキビの大幅改善
※フェイスラインや重症ニキビでは半年程度かかる場合もあります。
1日の内服量や内服のタイミングについて
内服量については、海外では体重1kgあたり0.5〜1mg/日(体重50kgの場合25〜50mg/日)での連日内服が標準的とされています。
一方、近年の研究では、1日20mg程度の低用量でも十分な治療効果が得られ、かつ副作用を抑えられる(low dose therapy)ことが報告されています。
こうしたエビデンスとこれまでの治療経験を踏まえ、当院では1日20mgから内服を開始し、効果や副作用の程度を確認しながら必要に応じて40mgまで増量する方針としています。
また、患者様の状態によっては、副作用軽減を目的として隔日投与(1日おきの内服)を行う場合もあります。
イソトレチノインの内服は、朝・昼・夕いずれの時間帯でも問題ありませんが、毎日決まった時間に食後に服用することが重要です。特に脂質を含む食事(高脂肪食)後に内服することで、薬の吸収率が高まることが知られています。
また、アルコール(飲酒)については、適量であれば大きな影響は少ないとされていますが、過度の飲酒は肝臓への負担を増やすだけでなく、イソトレチノインの吸収低下につながる可能性があるため注意が必要です。
内服期間と累積投与量
イソトレチノインの大きな特徴は、内服終了後も効果が持続する可能性がある点です。
これは「累積投与量(トータル内服量)」が関係しています(参考文献2)。
- 推奨累積投与量:120〜150mg/kg(海外データ)
例)体重50kg
→ 20mg/日 × 約10ヶ月で目標量到達
内服期間の目安
- 最低:4ヶ月以上
- 一般的:6〜10ヶ月
ポイント
- 累積量が多いほど再発率が低下
- 途中でやめると再発リスクが上昇
「しっかり飲み切ること」が治療成功の鍵です。
どんなニキビに効く?
特に効果が高いのは、
- 重症ニキビ
- しこり・嚢胞性ニキビ
- フェイスラインの難治性ニキビ
- 再発を繰り返すニキビ
- 皮脂が多いタイプ
“治らないニキビ”に対する切り札的治療です。
他の治療との違い(比較)
| 治療 | 特徴 |
|---|---|
| ベピオ・ディフェリン・エピデュオ | 軽症〜中等症ニキビに。継続が必要。皮むけや赤みが出ることも。最大80%程度の効果 |
| 抗菌薬 | 殺菌や抗炎症効果。一時的改善。長期使用すると耐性菌のリスクあり。 |
| イソトレチノイン | 皮脂・毛穴・炎症すべてに作用。再発抑制。 |
イソトレチノインは唯一「ニキビができにくい肌質」に変える治療
副作用とリスク
主な副作用
頻度が高い
- 唇・皮膚の乾燥
- 皮むけ
- 目・鼻粘膜の乾燥(ドライアイや鼻血が出やすくなる)
唇の乾燥が強い方ほど効果を実感しやすい傾向も報告されています。
唇の乾燥に対してはワセリン・プロペトの保湿、肌の乾燥にはセラミドやヘパリン類似物質、ヒアルロン酸などの配合の保湿を行ってください。
イソトレチノイン内服中は日焼けしやすいため、日焼け止めを使い紫外線から皮膚を守るようにしてください。
定期チェックが必要
- 肝機能異常
- 中性脂肪・コレステロール上昇(脂質異常症)
定期採血で安全管理 内服前と内服1ヶ月後、また状態に応じて適宜採血検査を行っています。
まれ
- 頭痛
- 関節痛
- 脱毛(抜け毛)
- 生理不順
- うつ病(関連性については否定的な報告もあり)
- クローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(関連性については否定的な報告もあり)
適切な内服であれば、副作用は内服中止後1~4週間後には改善していきます。
妊娠・女性の注意点
最重要ポイント
イソトレチノインには催奇形性があります。女性の場合は
- 内服中は必ず避妊
- 内服終了後も1ヶ月間避妊継続
直近の妊娠予定がある方は使用不可(禁忌)となります。
最近の研究結果から、男性の方は内服中や内服後も避妊が不要となります。
女性・男性ともに内服中および内服終了1ヶ月後まで献血ができません。
小児(お子さま)での注意点
イソトレチノインは、成長への影響が懸念されるため、12歳未満の方には原則として内服は推奨されません。
12歳以上であれば内服が検討される場合もありますが、成長期であることを踏まえ、慎重な適応判断と経過観察が必要です。
これまで、イソトレチノインの内服により早期骨端閉鎖(骨の成長が早く止まる現象)が起こり、身長の伸びに影響する可能性が指摘されてきました。
一方で、近年ではこうした影響を明確には支持しない研究報告も増えてきており、一定の安全性が示唆されています。
ただし、完全にリスクが否定されたわけではないため、小児への投与は専門医の管理のもと、慎重に判断することが重要です。
好転反応(初期悪化)
約30%で一時的にニキビが悪化すること(好転反応)があります。特に内服前のニキビが重症の方やしこりニキビが多い方に出やすい特徴があります。
原因
- 皮脂腺の急激な変化
- ターンオーバー促進
- 炎症の一時的増加
対策
- 通常は経過観察
- 強い場合は内服量調整・抗炎症治療
内服開始1~2週間で好転反応がみられることが多く、一般的には1ヶ月ほどで落ち着き改善します。
効きにくい人の特徴
イソトレチノインが効きにくい方としては以下が報告されています。
- 微小面ぽうが多い
- 男性ホルモン優位
- 重症ニキビ
- 体質(吸収・代謝の違い)
効果の目安
- 唇の乾燥 → 効いているサイン
内服後の経過(再発・維持療法)
イソトレチノインを約10ヶ月程度内服した後は、ニキビができにくい状態になることが期待されます。
ただし、もともとニキビができやすい体質の方では、再発を予防するために維持療法として外用薬による治療を継続することをおすすめしています。
維持療法では、ベピオ、ディフェリン、エピデュオなどの保険適用の外用薬が基本となります。
なお、まれにニキビが再度悪化する場合があり、その際には医師の判断のもと、数ヶ月間イソトレチノインの追加内服(2クール目)を検討することがあります。
費用・通院
- 日本では保険適用外のお薬
- 毎月の定期診察が必要
- 内服前と開始後1ヶ月など定期的な採血が必要
当院では1日1錠の20mg/日で30日分を16,500円(税込み)で販売しています。
安全に治療するためには医療機関での管理が必須です。
内服中の脱毛などレーザー・美容施術について
イソトレチノイン内服中は肌が敏感になるため、脱毛や様々な美容治療を避けるように考えられていました。しかし、最近の研究による論文では、低用量イソトレチノイン(0.5mg/日以下:体重50kgの方が25mg以下)であれば、レーザー脱毛やフラクショナルレーザー、ポテンツァなどのマイクロニードルRF、ホクロやイボなどの表在性皮膚腫瘍の切除は内服していても安全に問題なく行えることがわかっています(参考文献6)。
肌状態にもよりますので、施術可否は最終的に医師の判断となります。
併用できないお薬(併用禁忌薬)
- イソトレチノインと併用できない内服薬としては、ビブラマイシン・ミノマイシンなどのテトラサイクリン系抗菌薬、プレドニンやリンデロンなどのステロイド内服薬、ビタミンA、抗てんかん薬(フェニトイン)があります。
- ピル(経口避妊薬)やテトラサイクリン系以外の抗菌薬は併用可能です。
- ピーリング効果があるベピオやエピデュオなどのニキビ外用薬、レチノールやグリコール酸、乳酸などのコスメはイソトレチノイン内服中も併用可能ですが肌乾燥や赤みに十分注意して使用し、乾燥を感じる際は使用を中止してください。
ファラド式イソトレチノイン治療について
当院では、ニキビやニキビ跡治療に力を入れており、イソトレチノインによるニキビ治療の経験が豊富です。
2023年12月~2026年1月の間に4113名の方に治療を行っています。
イソトレチノインは様々な注意点があり、また効果も個人差があります。
当院では、豊富な治療経験や最新の論文データに基づく知見からその方に合った飲み方や適宜他治療の併用を行いカスタマイズしたニキビ治療を行っております。
特に海外ではlow-dose regimenという飲み方が副作用も少なく、効果も実感できるため推奨されてきており、当院でもその方法をおすすめしています(参考文献3)
当院の症例
症例1【20歳代女性】頬のニキビ(イソトレチノイン 4ヶ月内服)
ベピオやエピデュオを使うもニキビが減らず当院受診されました。診察の上、イソトレチノイン内服を開始しました。
| 費用 | イソトレチノイン20mg 30日分 16,500円 本症例では、総額66,000円(税込) |
|---|---|
| 副作用・リスク | 乾燥、肝障害、脂質異常症、催奇形性など |
症例2【30歳代女性】頬のニキビ(イソトレチノイン 7ヶ月内服)
皮膚科でベピオやディフェリン、ゼビアックス、漢方薬を使うもニキビが減らず当院受診されました。診察の上、イソトレチノイン内服を開始しました。
| 費用 | イソトレチノイン20mg 30日分 16,500円 本症例では、総額115,500円(税込) |
|---|---|
| 副作用・リスク | 乾燥、肝障害、脂質異常症、催奇形性など |
症例3【30歳代女性】額のニキビ(イソトレチノイン 6ヶ月内服)
皮膚科でベピオを使うもニキビが減らず当院受診されました。診察の上、イソトレチノイン内服を開始しました。
| 費用 | イソトレチノイン20mg 30日分 16,500円 本症例では、総額99,000円(税込) |
|---|---|
| 副作用・リスク | 乾燥、肝障害、脂質異常症、催奇形性など |
よくある質問
イソトレチノインとはどんな薬ですか?
イソトレチノインはビタミンA誘導体の内服薬で、皮脂分泌を強力に抑え、毛穴の詰まりや炎症を改善することでニキビをできにくくする治療薬です。海外では中等症~重症ニキビの標準治療として広く使用されています。
イソトレチノインはどんなニキビに効果がありますか?
以下のようなニキビに特に効果が期待されます。
- 繰り返すニキビ
- フェイスラインの難治性ニキビ
- しこりニキビ(嚢胞性ざ瘡)
- ベピオやエピデュオなど外用薬で改善しないニキビ
イソトレチノインはいつから効果が出ますか?
早い方では1ヶ月程度で皮脂の減少、ニキビの治りが早くなった実感がありますが、多くの場合は2〜3ヶ月でニキビの改善がみられます。部位や重症度によっては効果実感まで数ヶ月かかることもあります。
イソトレチノインはどのくらいの期間飲みますか?
一般的には4〜10ヶ月程度の内服が目安です。
累積投与量(120〜150mg/kg)に達すると再発しにくくなるとされています。
イソトレチノインの適切な用量はどれくらいですか?
海外では体重1kgあたり0.5〜1mg/日が標準ですが、近年は副作用を抑えた低用量療法(1日20mg程度)も広く行われています。治療効果を見ながら増量することもあります。
イソトレチノインの副作用は何がありますか?
主な副作用は以下です。
- 唇や肌の乾燥
- 皮むけ
- 肝機能異常
- 中性脂肪の上昇
適切な管理と定期的な採血により安全に治療を行います。
イソトレチノインは危険な薬ですか?
アメリカでは40年前から保険適用で使用されており、正しい方法で内服し、医師の管理下で使用すれば安全性は確立されています。ただし、妊娠に関する注意など重要なルールを守る必要があります。
妊娠中や妊活中でも飲めますか?
イソトレチノインは催奇形性があるため、妊娠中・妊娠希望の方は内服できません。
女性は内服中および終了後1ヶ月間の避妊が必要です。
男性も避妊は必要ですか?
男性の場合も内服中は避妊が推奨されます。近年では影響は少ないとする報告もありますが、安全のため注意が必要です。
好転反応とは何ですか?
内服初期にニキビが一時的に悪化する現象です。約30%の方にみられますが、多くは一過性で自然に改善します。
イソトレチノインでニキビは完治しますか?
内服終了後もニキビができにくい状態が続くことが多く、長期的な改善が期待できます。
ただし体質によっては再発することもあります。
再発した場合はどうなりますか?
軽度であれば外用薬でコントロール可能です。再発が強い場合は追加内服を検討することもあります。
内服後はどんな治療を続けますか?
再発予防として
- ベピオ
- ディフェリン
- エピデュオ
などの外用薬による維持療法を行います。
イソトレチノインは保険適用ですか?
日本では未承認薬のため自由診療(自費診療)となります。
通院頻度や検査は必要ですか?
安全に治療を行うために、定期的な診察と血液検査(肝機能・脂質など)を行います。
イソトレチノインはニキビ跡にも効果がありますか?
抗炎症効果があるためニキビ跡の赤みを改善することができます。直接的にニキビ跡のへこみ・クレーターを改善する薬ではありませんが、新しいニキビを抑えることでニキビ跡の予防効果があります。
他のニキビ治療と併用できますか?
外用薬やニキビ跡治療(ポテンツァ・トライフィルプロ・サブシジョンなど)と併用可能です。状態に応じて治療を組み合わせます。
効きにくい人の特徴はありますか?
以下の方は効果が出にくい場合があります。
- ホルモンの影響が強い
- 微小面ぽうが多い
- 重症ニキビ
小児でも内服できますか?
12歳未満は原則内服できません。12歳以上でも成長への影響を考慮し慎重な判断が必要です。
イソトレチノインはどこで処方されますか?
医師の診察のもと、皮膚科・美容皮膚科などで処方されます。効果が高い分、肌状態に合わせた適切な内服方法が推奨されます。個人輸入はリスクがあるため推奨されません。
まとめ
イソトレチノインは、
- 他の治療で治らないニキビに有効
- 皮脂を抑え根本から改善
- 再発しにくい肌質へ導く
“ニキビ治療の最終手段かつ最も効果的な選択肢”です。
当院ではイソトレチノイン治療に加え、ニキビ跡治療も組み合わせて総合的な肌改善を行っています。
- ニキビが治らない
- 繰り返す
- 跡を残したくない
このようなお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
【参考文献】
- 1, Reynolds RV, Yeung H, Cheng CE, Cook-Bolden F, Desai SR, Druby KM, Freeman EE, Keri JE, Stein Gold LF, Tan JKL, Tollefson MM, Weiss JS, Wu PA, Zaenglein AL, Han JM, Barbieri JS. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. J Am Acad Dermatol. 2024;90:1006.e1-1006.e30. PMID: 38300170.
- 2. Rademaker M. Isotretinoin: dose, duration and relapse. What does 30 years of usage tell us? Australas J Dermatol. 2013;54:157-62. PMID: 23013115.
- 3. Lee JW, Yoo KH, Park KY, Han TY, Li K, Seo SJ, Hong CK. Effectiveness of conventional, low-dose and intermittent oral isotretinoin in the treatment of acne: a randomized, controlled comparative study. Br J Dermatol. 2011;164:1369-75. PMID: 21114478.
- 4.日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023 ※PDFファイルが開きます
- 5. American Academy of Dermatology Association Isotretinoin: Overview
- 6. Spring LK, Krakowski AC, Alam M, Bhatia A, Brauer J, Cohen J, Del Rosso JQ, Diaz L, Dover J, Eichenfield LF, Gurtner GC, Hanke CW, Jahnke MN, Kelly KM, Khetarpal S, Kinney MA, Levy ML, Leyden J, Longaker MT, Munavalli GS, Ozog DM, Prather H, Shumaker PR, Tanzi E, Torres A, Velez MW, Waldman AB, Yan AC, Zaenglein AL. Isotretinoin and Timing of Procedural Interventions: A Systematic Review With Consensus Recommendations. JAMA Dermatol. 2017 Aug 1;153(8):802-809. PMID: 28658462.
未承認医薬品等に関する案内
未承認医薬品であることの明示
本施術に使用する医薬品は、医薬品医療機器等法上、未承認医薬品です。
入手経路等の明示
施術に用いる医薬品および機器は、当院医師の判断の元、国内輸入販売代理店を通じて個人輸入手続きを行ったものです。
国内の承認医薬品等の有無の明示
同一の性能を有する国内承認医薬品・医療機器はありません。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
鬱、精神病、胎児の催奇形性などの副作用も報告されています。



